文献情報
文献番号
201234055A
報告書区分
総括
研究課題名
国内における食品を介した種々の放射性物質による暴露量の評価
課題番号
H24-食品-指定(復興)-004
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
寺田 宙(国立保健医療科学院 生活環境研究部)
研究分担者(所属機関)
- 飯島 育代(神奈川県衛生研究所 理化学部)
- 三宅 定明(埼玉県衛生研究 生体影響担当)
- 山口 一郎(国立保健医療科学院 生活環境研究部 )
- 児玉 浩子(帝京平成大学 健康メディカル学部)
- 杉山 英男(帝京平成大学 健康メディカル学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 食品の安全確保推進研究
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
10,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
東京電力(株)福島第一原子力発電所事故後、多くの都市を対象とした放射性物質の摂取量調査を実施することが求められていることから、陰膳方式による食品中の放射性物質のトータルダイエットスタディ(TDS)を行った。事故後、特に幼児への健康影響が懸念されているため、成人だけではなく幼児(3-6歳児)についても調査対象とした。さらに、厚生労働省の食品中の放射性物質の検査ならびに平成22年国民健康・栄養調査の結果をもとに、事故直後から2012年12月までの積算実効線量の推計を試みた。
研究方法
(1)対象集団と試料
対象地域については以下の10都道府県とした。
北海道、岩手県、宮城県、福島県、茨城県、埼玉県、東京都、神奈川県、大阪府、高知県
このうち、福島県については相馬市、南相馬市、福島市、郡山市、伊達市、会津若松市の6都市を調査対象とした。
成人については福島県内の6都市と、福島県以外の9都道府県の計15地域を対象とし、それぞれの地域から3名を選定して研究協力者とした。幼児については前述の15地域のうち、岩手県、神奈川県、高知県の3県を除いた12地域において3名の研究協力者を選定した。
研究協力者にはそれぞれ連続した2日分の食事(陰膳試料)を提供していただくとともに、陰膳試料に含まれる食品群等を調査票に記入していただいた。年間放射線量(預託実効線量)は当該試料を1年間摂取し続けたものとし、陰膳試料中の放射性物質濃度(Bq/kg) をもとに、摂取量(2日分の食事の摂食量)とICRPの預託実効線量係数を適用して算出、評価した。
(2)測定方法
陰膳試料は大型のブレンダ―を用いて混合・均一化し、乾熱乾燥した後、450℃で24時間灰化処理した。灰化物をプラスチック製容器に充填し、分析用試料とした。
γ線放出核種である放射性セシウム(放射性Cs)、カリウム40(K-40)は、ゲルマニウム半導体検出器のエンドキャップに陰膳試料を載せ80,000秒以上測定した。
バックグラウンド値は検出器に何も載せない空の状態で適時200,000~300,000秒間計測して求めた。測定にあたり、事前にエネルギー校正曲線及びピーク効率曲線について混合核種基準線源を用いて作成した。エネルギー校正、効率校正および定量にはγ線核種解析用ソフトを使用した。測定は「ゲルマニウム半導体検出器によるガンマ線スペクトロメトリー」(文部科学省放射能測定法シリーズ7、平成4年改訂)に準じて行った。定量結果は試料採取終了日における測定試料あたりの放射能として算出した。
対象地域については以下の10都道府県とした。
北海道、岩手県、宮城県、福島県、茨城県、埼玉県、東京都、神奈川県、大阪府、高知県
このうち、福島県については相馬市、南相馬市、福島市、郡山市、伊達市、会津若松市の6都市を調査対象とした。
成人については福島県内の6都市と、福島県以外の9都道府県の計15地域を対象とし、それぞれの地域から3名を選定して研究協力者とした。幼児については前述の15地域のうち、岩手県、神奈川県、高知県の3県を除いた12地域において3名の研究協力者を選定した。
研究協力者にはそれぞれ連続した2日分の食事(陰膳試料)を提供していただくとともに、陰膳試料に含まれる食品群等を調査票に記入していただいた。年間放射線量(預託実効線量)は当該試料を1年間摂取し続けたものとし、陰膳試料中の放射性物質濃度(Bq/kg) をもとに、摂取量(2日分の食事の摂食量)とICRPの預託実効線量係数を適用して算出、評価した。
(2)測定方法
陰膳試料は大型のブレンダ―を用いて混合・均一化し、乾熱乾燥した後、450℃で24時間灰化処理した。灰化物をプラスチック製容器に充填し、分析用試料とした。
γ線放出核種である放射性セシウム(放射性Cs)、カリウム40(K-40)は、ゲルマニウム半導体検出器のエンドキャップに陰膳試料を載せ80,000秒以上測定した。
バックグラウンド値は検出器に何も載せない空の状態で適時200,000~300,000秒間計測して求めた。測定にあたり、事前にエネルギー校正曲線及びピーク効率曲線について混合核種基準線源を用いて作成した。エネルギー校正、効率校正および定量にはγ線核種解析用ソフトを使用した。測定は「ゲルマニウム半導体検出器によるガンマ線スペクトロメトリー」(文部科学省放射能測定法シリーズ7、平成4年改訂)に準じて行った。定量結果は試料採取終了日における測定試料あたりの放射能として算出した。
結果と考察
調査対象とした15の地域ではいずれも陰膳試料から原発事故に特有のCs-134が検出され、事故の影響が認められた。また、事故前に行ったマーケットバスケット方式によるTDSの結果と比較すると、放射性Csによる預託実効線量は依然として高いレベルにあった。しかしながら、2011年度のマーケットバスケット方式によるTDSの結果との比較では、放射性Csによる成人の年間の預託実効線量(μSv)は福島市で16.8から1.9、仙台市で12.4から1.1、東京都で3.8から1.1と大きく減少した。また、放射性Csによる預託実効線量は最大でも7.46 μSv(幼児)で、現行の食品の基準値を設定する上で基となった年間の線量上限である1 mSvの約130分の1と、十分に小さい値であることが示された。預託実効線量については自然放射性物質であるK-40が放射性Csよりも遥かに大きく寄与し、放射性Csによる預託実効線量が最も大きかった伊達市(成人)でも、放射性Cs による線量はK-40による線量の3%程度であった。また、食品を購入する際に産地を気にするか、自家栽培の野菜等を摂取しているかといった食品の摂取状況による放射性Csの預託実効線量の大きな違いは認められなかった。
さらに、厚生労働省の食品中の放射性物質の検査ならびに平成22年国民健康・栄養調査の結果をもとに、事故直後から2012年12月までの積算実効線量を算出した。現行の基準値を適用した場合、積算実効線量の90パーセンタイルは、3-6歳、15-18歳、20歳以上の各年代において0.3mSv以下であった。これらの値はK-40やポロニウム210といった自然放射性物質による年間線量0.99 mSvよりも低いレベルで、線量上限1 mSvと比較してもその4分の1以下と十分に小さい値である。
さらに、厚生労働省の食品中の放射性物質の検査ならびに平成22年国民健康・栄養調査の結果をもとに、事故直後から2012年12月までの積算実効線量を算出した。現行の基準値を適用した場合、積算実効線量の90パーセンタイルは、3-6歳、15-18歳、20歳以上の各年代において0.3mSv以下であった。これらの値はK-40やポロニウム210といった自然放射性物質による年間線量0.99 mSvよりも低いレベルで、線量上限1 mSvと比較してもその4分の1以下と十分に小さい値である。
結論
調査対象とした15の地域ではいずれも事故の影響が認められたものの、陰膳試料を1年間摂取し続けた場合の放射性Csによる預託実効線量は現行の食品の基準値を設定する上で基となった年間の線量上限である1 mSvの約130分の1と、十分に小さい値であることが示された。
公開日・更新日
公開日
2013-07-24
更新日
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