食品由来細菌の薬剤耐性サーベイランスの強化と国際対応に関する研究

文献情報

文献番号
201234040A
報告書区分
総括
研究課題名
食品由来細菌の薬剤耐性サーベイランスの強化と国際対応に関する研究
課題番号
H24-食品-一般-008
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
渡邉 治雄(国立感染症研究所 国立感染症研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 黒田 誠(国立感染症研究所 国立感染症研究所)
  • 秋庭正人(独立行政法人 農業・食品産業技術総合研究機構 動物衛生研究所 動物衛生研究所)
  • 五十君静信(国立医薬品食品衛生研究所 食品衛生管理部第一室)
  • 浅井鉄夫(農水省動物医薬品検査所 農水省動物医薬品検査所)
  • 甲斐明美(東京都健康安全研究センター 東京都健康安全研究センター)
  • 倉園貴至(埼玉県衛生研究所 埼玉県衛生研究所)
  • 泉谷秀昌(国立感染症研究所 国立感染症研究所)
  • 田口真澄(大阪府立公衆衛生研究所 大阪府立公衆衛生研究所)
  • 田村 豊(酪農学園大学 酪農学園大学)
  • 柴山恵吾(国立感染症研究所 国立感染症研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 食品の安全確保推進研究
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
12,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
家畜に由来する薬剤耐性菌が畜産食品を介してヒトに伝播し、ヒトの健康に危害を与える可能性について評価するため、モニタリング体制が構築されてきている。WHOは、世界における耐性菌の実態を明らかにするためAdvisory Group on Integrated Surveillance of Antimicrobial Resistance(AGISAR)を設立し、食中毒菌などの薬剤耐性の国際的なサーベイランス体制の確立や検査法の統一を図ろうとしている。当研究班では、家畜由来の耐性菌が食品等を通し、ヒトの世界に入り込んでいるかに関する実態調査体制を確立するため、動物で行われているモニタリングシステム(JVARM;Japanese Veterinary Antimicrobial Resistance Monitoring Syatem) とヒトにおける同システム(JANIS: Japan Nosocomial Infections Surveillance)の連携を強化し、分離菌株の関連性の詳細な解析を行うとともに、WHO等への国際的なネットワークへの対応態勢を確立することを目的とする。
研究方法
家畜,食品及び患者由来のサルモネラ,カンピロバクターの分離菌株の耐性型、遺伝型の経時変化を調査し、新たに出現した耐性菌の全ゲノム配列を決定する。それにより耐性菌がどのように進化してきているのかを明らかにする。WHO等の国際会議に参加する。
結果と考察
1) 第4回動物等由来耐性菌の統合的サーベイランス構築に関するWHOの専門家会議「 The 4th Meeting WHO Advisory Group on Integrated Surveillance of Antimicrobial Resistance:AGISAR」が2012年6月にフランスで開催された。WHO加盟の国において、統合的なデータを得られる様にするためのガイドラインの作成が行われた。WHOnetの様式の活用、データの集計、解析、還元方式、それらのトレーニング(GFNのネットのなかに組み入れる)方法についての一定の方向性が確認された。サーベイランスのcapacity buildingが確立していない国においては、国際機関の相当なる持続的支援が必要であろう。
2) ブロイラーとヒトに定着する大腸菌の遺伝子型は異なるが、ブロイラー由来株とヒト由来株の間で薬剤耐性プラスミドあるいは耐性因子の交換が起こっている可能性が示唆された。鶏分離のESC耐性IncI1-Iγプラスミド及びIncK, B/Oプラスミドの宿主域を明らかにする目的で伝達試験を行ったところ、両プラスミドが異種細菌に接合伝達されることが示された。今後、ブロイラーおよびヒト由来株のプラスミド解析を行い、両者の間に共通性が認められるか否かを検証する。
結論
この研究班での成果をAGISARへの報告に使えるようにし、国際貢献を図る。耐性菌は動物―ヒト間ばかりでなく環境汚染も考慮に入れ、大きな視野で考えなければならない状況にあり、国際的活動への貢献は重要である。

公開日・更新日

公開日
2013-06-24
更新日
-

研究報告書(PDF)

収支報告書

文献番号
201234040Z