いわゆる健康食品による健康被害情報の因果関係解析法と報告手法に関する調査研究

文献情報

文献番号
201234038A
報告書区分
総括
研究課題名
いわゆる健康食品による健康被害情報の因果関係解析法と報告手法に関する調査研究
課題番号
H24-食品-一般-006
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
梅垣 敬三(独立行政法人国立健康・栄養研究所 情報センター)
研究分担者(所属機関)
  • 山田 浩(静岡県立大学薬学部)
  • 石見 佳子(独立行政法人国立健康・栄養研究所 )
  • 志村 二三夫(十文字学園女子大学)
  • 千葉 剛(独立行政法人国立健康・栄養研究所 情報センター )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 食品の安全確保推進研究
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
13,860,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
いわゆる健康食品(以下、健康食品)による健康被害の未然防止・拡大防止を目的に、健康被害情報の効果的な収集法、因果関係の分析法の開発、健康食品特有の健康被害に関する安全性の基礎実験ならびに調査研究を行う。
研究方法
因果関係評価法としてポイント付評価法と樹枝状評価法を開発し、その信頼性を検討した。保健所を介して厚生労働省に集約されている情報(保健所情報)、国民生活センターに集約されている全国消費生活情報ネットワーク・システム(PIO-NET)(PIO-NET情報)、各企業の収集情報(企業情報)の事例について、報告者、情報内容の詳細を調査した。保健所情報とPIO-NET情報については、開発中の因果関係評価法に試行的に適用して評価法の改善点を把握した。過去に発生した健康被害事例の特徴の分析、ダイエット系ハーブとミネラルの安全性に関する実験的検討を行い、医療機関受診者に着目した健康食品の利用実態を調査した。
結果と考察
因果関係評価法(ポイント付評価法と樹枝状評価法)の信頼性は高かった。健康被害情報源の中で、保健所情報は件数が少ないが約4割が医療関係者からの通報で医学的データが多く、PIO-NET情報は件数が多いが8割程度が本人からの通報で因果関係評価に必要な内容が少ないこと、企業情報(提供を受けた13企業約1300件)は、本人からの通報が9割以上で大部分が顧客からの苦情に相当する内容であった。保健所情報とPIO-NET情報を2つの因果関係評価法に試行的に適用したところ、いずれも同様の評価結果となったが、評価法の改善するべき問題点が明らかとなった。過去に発生した健康被害関連情報の調査では、「痩身および性機能改善を標榜」「カプセル形態で医薬品成分が混入」「インターネットで購入された製品」という特徴があった。ダイエット素材として人気の高いコレウス・フォルスコリエキスはマウスにおいて肝薬物代謝酵素を強く誘導し、過剰投与では脂肪肝も惹起した。製品中のセレン酵母に含まれるセレンの分析方法を検討した。医療機関受診者が健康食品を継続して利用していることが明らかとなった。これらの安全性に関する基礎的研究と健康食品の利用実態調査は、被害情報の収集と因果関係の分析をさらに進める上で参考となる知見であった。以上の研究結果を踏まえてさらに検討を行えば、被害情報の収集・評価・統合ができ、類似事象の明確化と健康被害の発生原因や特徴を明らかにできるであろう。
結論
現在収集されている健康食品に関する健康被害の3情報源の事例を、因果関係評価という視点で分析し、各情報源の特徴を明らかにし、健康食品に適した因果関係評価法を検討した。また、健康食品特有の健康被害を考慮した安全性に関する実験ならびに調査研究を行った。以上の研究をさらに進めることにより、健康食品が関係した健康被害の未然防止と拡大防止が可能となる。

公開日・更新日

公開日
2013-06-24
更新日
-

研究報告書(PDF)

収支報告書

文献番号
201234038Z