新開発バイオテクノロジー応用食品の安全性確保並びに国民受容に関する研究

文献情報

文献番号
201234037A
報告書区分
総括
研究課題名
新開発バイオテクノロジー応用食品の安全性確保並びに国民受容に関する研究
課題番号
H24-食品-一般-005
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
手島 玲子(国立医薬品食品衛生研究所 代謝生化学部)
研究分担者(所属機関)
  • 今村 知明(奈良県立医科大学 健康政策医学講座)
  • 小関 良宏(東京農工大学大学院 工学研究院生命機能科学部門)
  • 太田 大策(大阪府立大学大学院 生命環境科学研究科)
  • 五十君 静信(国立医薬品食品衛生研究所 食品衛生管理部)
  • 近藤 一成(国立医薬品食品衛生研究所 代謝生化学部 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 食品の安全確保推進研究
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
44,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では、多様化、複雑化する新機能遺伝子組換え食品の安全性確保のための科学的知見の蓄積、当該食品並びに未承認組換え食品の検知に関する試験法の確立、安全性審査基準への反映並びに社会的受容の促進を図るためのリスクコミュニケーションを行い、遺伝子組換え食品の安全性のより一層の確保を目的とする。
研究方法
(1)新機能性組換え体としてアスタキサンチン・レタスおよびアレルゲン低減化コメを用いてDNAチップを用いたトランスクリプトーム解析および食品成分分析、フーリエ変換型質量分析(FT-ICR/MS)にLC-TOF/MSとGC-MSを補完したメタボロミクスプラットフォームによるメタボローム解析、2D-DIGEによるプロテオーム解析及びアレルゲノーム解析を行った。また、平成25年度に向け、2 品種の耐塩性遺伝子組換えシロイヌナズナの後代交配品種スタックを作出し、成長ホルモンを導入した遺伝子組換えアマゴの成長期別のサンプリングも行った。
(2) 組換え食品の検知法に関する研究では、今年度は、未承認組換え食品として中国産コメの複数の品種に対応できる検査法の開発を行った。また、遺伝子組換えサケの検知法を陽性コントロールを入手して確立した。さらに、トウモロコシ粉末試料に適応可能な新規定量試験法の標準プラスミドの構築や内標比の決定などの検討を行った。
(3)遺伝子組換え食品の社会的受容の調査研究として、社会的受容の推移の調査、社会的受容の水準の調査、社会的受容の海外との比較調査、消費者と専門家の認識のギャップの調査を行い、さらには、遺伝子組換え動物、組換え微生物、遺伝子組換え魚、遺伝子組換え薬用植物に関して、現状の把握を行い、リスクコミュニケーションの先進的取り組みの調査を実施した。
結果と考察
非意図的並びに意図的影響を知るためのポストゲノム手法導入のための調査研究では、レタス及びコメの網羅的プロファイルの比較解析が可能となった。アスタキサンチン産生レタスのメタボローム解析で、アスタキサンチン産生に関わる代謝変動として、解糖系中間体を経由したイソプレノイド生合成とカロテノイド生合成の促進を実証する広範な代謝変動を認めた。トランスクリプトーム、プロテオーム解析では、非組換え体と比較して大きな変化は認められなかった。アレルゲン低減化コメを用いたオミクス解析では、アレルゲンタンパク質の発現の低下、及びそれらタンパク質をコードする遺伝子の発現の減少を確認することができた。遺伝子組換え食品の検知に関する試験法の確立では、安全性未審査の3種(東南アジア産ヒヨコマメ、中国産Btコメ、東南アジア産バスマチィコメ)の定性試験法を開発した。社会的受容に関する調査研究では、組換え食品の消費者意識調査の分析を進め、消費者と専門家の認識のギャップ等が明らかとなった。また、今後の組換え動物のガイドライン作成に向けた各国の準備状況についても明らかとなった。
結論
多様化、複雑化する新開発バイオテクノロジー応用食品の安全性に関する研究、当該食品の検知に関する試験法の確立は、安全性審査への反映、監視体制に直接つながる社会的に要請の高い研究である。これら研究をさらに進めると共に、社会的受容に関する研究等も持続することにより、透明性を確保しつつ、より一層の安全確保、消費者の不安解消に努める必要があると考えられる。

公開日・更新日

公開日
2013-06-24
更新日
-

研究報告書(PDF)

収支報告書

文献番号
201234037Z