既存添加物の品質評価と規格試験法の開発に関する研究

文献情報

文献番号
201234019A
報告書区分
総括
研究課題名
既存添加物の品質評価と規格試験法の開発に関する研究
課題番号
H23-食品-一般-006
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
穐山 浩(国立医薬品食品衛生研究所 食品添加物部)
研究分担者(所属機関)
  • 天倉 吉章(松山大学 薬学部)
  • 水上 元(名古屋市立大学大学院 薬学研究科)
  • 受田 浩之(高知大学 研究教育部総合科学系生命環境医学部門)
  • 松井 利郎(九州大学大学院農学研究院)
  • 石川 洋哉(福岡女子大学 国際文理学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 食品の安全確保推進研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
14,800,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
研究目的:既存添加物365品目のうち、国の成分規格設定済は第8版食品添加物公定書までで約130品目にとどまっている。第9版公定書に新規収載が期待される約90品目(約60品目の酵素を含む)を除くと、まだ約140品目の成分規格が未設定である。本研究では成分規格が設定されていない既存添加物約140品目についての調査研究、含有成分の解析と基原(製造原料)確認及び成分規格試験法の検討を行う。また酸化防止剤製品では、DPPH法、WST-1法などの抗酸化活性測定法を用いた酸化防止剤の規格試験法素案を作成する。
研究方法
研究方法:(1) 国の成分規格が設定されていない既存添加物約140品目について、今後の成分規格作成の技術的実現性を調査研究する。それにより、既存添加物の今後の成分規格作成の優先順序を判断する。(2) 今後規格設定する価値があり、かつ技術的に可能と考えられる品目については、含有成分の解析と基原(製造原料)確認及び成分規格試験法の検討を進める。(3) 規格試験として抗酸化活性測定法の導入が必要なのは、含有成分の分離分析ができない酸化防止剤製品である。それらの品目を対象にして、DPPH法、WST-1法などの抗酸化活性測定法を用いた酸化防止剤の規格試験法素案を作成する。
結果と考察
結果と考察:第9版食品添加物公定書に未収載の既存添加物の中から、第10版公定書の作成に備え製品情報の収集を実施した。既存添加物カンゾウ油性抽出物及びその基原植物と類縁植物の乾燥試料の分析結果から7種の指標成分を選択し、流通製品のLC/MSによる定量を行った。タマネギの乾燥外皮から,赤橙色の新規色素2を単離精製し構造決定した。既存添加物「クチナシ青色素」において、ゲニピンとアミノ酸の反応による青色色素の生成において,アミノ酸の側鎖が発色に大きく影響することを確認した。製造用剤「ブドウ果皮抽出物」の品質規格作成のための化学的検討として、ブドウ果皮抽出物製品中の縮合型タンニンオリゴマー画分について平均分子量を求めた。「ベニバナ赤色素」中のcarthamin含量のqHNMR法による定量法の検証を行った。カラメルⅢの純度試験 2-アセチルテトラヒドロキシブチルイミダゾールのHPLCの改良法を検証した。DPPH, ABTS, FRAP法での活性値の比較により、DPPH法がラジカル消去活性だけでなく、鉄イオンに対する還元能も同時に評価できる可能性が高いことを示し、酸化防止剤の規格試験法として妥当であることを示した。カンゾウ油性抽出物の抗酸化成分の解明に取り組んだ。その結果、測定に用いた8種類すべてのカンゾウ油性抽出物に抗酸化活性を確認することができた。
結論
結論:既存添加物の国際規格、国内規格と事業者の持つ製品情報の収集・整理及び、既存添加物の鉛及び有害重金属についての国際規格、国内規格と類似品目情報の収集・整理を行った。対象となる規格の内、回答の得られたものは70品目で今後さらなる情報の収集が必要である。既存添加物カンゾウ油性抽出物及びその基原植物と類縁植物の乾燥試料、計20検体以上のNMR測定データを用いて多変量解析を行い、添加物製品の基原を推定した。タマネギの乾燥外皮から,赤橙色の新規色素2を単離精製し構造決定した。精密質量解析および重水素置換体のNMR分析の結果,新規色素はcepaic acidの4位にケトカルボン酸が置換した構造であると決定された。ゲニピンとアミノ酸の反応による青色色素の生成において,アミノ酸の側鎖が発色に大きく影響することを確認した。製造用剤「ブドウ果皮抽出物」製品中のプロアントシアニジンの簡便測定法について検討したところ、バニリン、硫酸を加えて呈色させ、吸光度測定することで測定可能であることが明らかとなった。「ベニバナ赤色素」中のcarthamin含量のqHNMR法による定量について16位のプロトンに加えて、8,8’位および9,9’位のプロトンを用いても定量可能であり、測定値は非常によく一致することを示した。DPPH法を公定法として採用するためには、さらに他の試験法との相違点を明らかにする必要がある。また、抗酸化物の併用効果についてはそのメカニズムも含めて不明な点も多い。カンゾウ油性抽出物の抗酸化成分の解明に取り組んだ。測定に用いた8種類すべてのカンゾウ油性抽出物に抗酸化活性を確認することができた。しかし、既知物質の抗酸化力価に対する寄与率は低かった。

公開日・更新日

公開日
2013-06-24
更新日
-

研究報告書(PDF)

収支報告書

文献番号
201234019Z