文献情報
文献番号
201234001A
報告書区分
総括
研究課題名
非食用モダンバイオテクノロジー応用生物の食品への混入危害防止のための検知法開発に関する研究
課題番号
H22-食品-一般-001
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
穐山 浩(国立医薬品食品衛生研究所 食品添加物部)
研究分担者(所属機関)
- 五十君 静信(国立医薬品食品衛生研究所 食品衛生管理部)
- 小関 良宏(国立大学法人東京農工大学大学院共生科学研究院生命機能科学分野)
- 吉松 嘉代(独立行政法人医薬基盤研究所・薬用植物資源研究センター筑波研究部)
- 中島 治(国立医薬品食品衛生研究所 代謝生化学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 食品の安全確保推進研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
9,600,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
研究目的:非食用モダンバイオテクノロジーを応用した非食用植物・生物について食品への混入に関する安全性確保を実施するため、それらの動向の調査研究を進め、非食用モダンバイオテクノロジー応用植物・生物の食品中への混入を防止するための安全性確保に有用な検知法の開発を行うことを目的とする。
研究方法
研究方法:国内外における非食用モダンバイオテクノロジー応用植物・生物に関する開発・実用化の情報を収集し解析を行う。対象試料あるいは疑似試料に関しては入手または作製を検討する。また項目毎に非食用モダンバイオテクノロジー応用植物・生物に共通して利用される可能性の高い遺伝子の塩基配列情報を迅速に検出する手段の開発を検討し、検知法を確立する。確立された手法を混入の恐れのある試料から実態調査を行う。
結果と考察
結果と考察:リアルタイムPCR法を用いてジャガイモ加工食品中に混入する可能性のある未承認非食用遺伝子組換え(GM)ジャガイモを検知する方法を開発するため、GM表示対象のジャガイモ加工食品から抽出したジャガイモDNAの断片長の検出下限値を解析した。その結果、ジャガイモ加工食品から精製したDNAを定性PCR法に供したところ、すべての加工食品において検出可能な増幅断片長は51~101 bp以下であった。この結果から、増幅断片長を51~101 bp以下に設計することで、標的遺伝子を検出できることが示唆された。非食用バイオテクノロジーの開発状況に関するWeb公開用データベース検索サイトを確立し、一般公開した。乳酸菌のモデル組換え体を食肉に添加し、定量PCR法により定量的な検知が可能であるか検討した。グラム陽性菌の組換え体にしばしば用いられる2種類のエリスロマイシン耐性遺伝子を標的として検知法を検討した。ゲノム上に挿入した“ery”とプラスミド上にコードする“ermC”のそれぞれのモデル組換え体を用いた検討により、純培養では定量的な検知が可能である方法を開発した。添加回収実験を行った食肉からは、2種のエリスロマイシン耐性遺伝子を保有する常在菌が分離された。それぞれStaphylococcus spp.及びStreptococcus spp.が分離できたことから、食品や環境中にこのような耐性菌が広く分布しているものと思われた。生分解性プラスチックの合成に頻用されている phb A と phb B 遺伝子につき人工合成してプラスミドに導入することでこれらの標準プラスミドを作成した。DNA チップ上にそれらの遺伝子の一部をプローブとして固定化を行い、それらの遺伝子とコメゲノムDNAを蛍光標識したものをハイブリダイズさせることによって、DNAチップ上でそれらの遺伝子を混入率約 1%程度まで検出することに成功した。医薬品及び環境浄化目的のGM植物の動向の調査研究を進め、開発例が多い食用作物は、イネ、トマトであり、意図しない食品への混入により健康危害が生じる可能性の高い経口ワクチンの開発ではコレラトキシンBサブユニット(CTB)が汎用されていることを明らかとした。機能性タンパク質であるミラクリンを生産する組換えトマトの入手及びCTB生産イネの作出を行い、それらの遺伝子検知法及びコピー数推定法を確立した。 非食用GM魚、ニワトリ、ブタについて開発状況を調査してデータベースを作成した。米国における臓器移植を目指したGMブタの報告が多数あることを明らかにした。また、ヒトエリスロポエチン遺伝子を導入された非食用GMニワトリの肉を検知する方法を確立した。この方法を利用して実態調査を行ったところ、ヒトエリスロポエチン遺伝子を導入された非食用GMニワトリの肉は市場から検出されなかった。
結論
結論:昨年に引き続きWeb公開用のデータベースの公開を継続した。確立した非食用ジャガイモ検知法の加工食品への応用と実態調査を行った。非食用GM微生物に関してはグラム陽性菌の組換え体にしばしば用いられる2種類のエリスロマイシン耐性遺伝子を標的として検知法を確立した。生分解性プラスチックの合成に頻用されている phb A と phb B 遺伝子につき人工合成してプラスミドに導入することでこれらの標準プラスミドを作成した。DNAチップ上でそれらの遺伝子を混入率約 1%程度まで検出することに成功した。機能性タンパク質であるミラクリンを生産する組換えトマトの入手及びCTB生産イネの作出を行い、それらの遺伝子検知法及びコピー数推定法を確立した。ヒトエリスロポエチン遺伝子を導入された非食用GMニワトリの肉を検知する方法を確立及び実態調査を行った。非食用モダンバイオテクノロジー応用植物・生物の開発の状況と検知法開発研究のまとめを行った。
公開日・更新日
公開日
2013-06-24
更新日
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