安全衛生活動の費用対効果を算出する手法の開発とその公表ガイドの作成

文献情報

文献番号
201233010A
報告書区分
総括
研究課題名
安全衛生活動の費用対効果を算出する手法の開発とその公表ガイドの作成
課題番号
H23-労働-若手-006
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
永田 智久(産業医科大学 産業保健経営学研究室)
研究分担者(所属機関)
  • 柴田 喜幸(産業医科大学 産業医実務研修センター)
  • 梶木 繁之(産業医科大学 産業保健経営学研究室)
  • 立石 清一郎(産業医科大学 産業医実務研修センター)
  • 永田 昌子(産業医科大学 産業医実務研修センター)
  • 岡原 伸太郎(産業医科大学 産業医実務研修センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 労働安全衛生総合研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
3,099,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では、安全衛生活動の費用対効果を可視化することで、事業者が自ら活動を評価し、効率的・効果的な活動を促進するとともに、その結果を外部に公表することで企業価値が高まることがインセンティブとなり、より一層、自主的活動が推進されることを目指す。そのため、安全衛生活動の費用対効果を算出するための手法を確立すること、CSR報告書等で公表するためのガイドライン(安全衛生会計案)を作成することを目的とする。
研究方法
1.衛生・健康管理コスト集計表、安全衛生コスト集計表を使用し、4事業所においてコストを集計した。2.評価指標について、その実用性を検討する目的で、業界団体(101団体)に対して質問紙調査を実施した。3.2012年度に発行された東証一部上場企業のCSR報告書を分析し、2004年以降のデータと合わせ分析を行った。
結果と考察
1.1事業場において、衛生・健康管理活動コストは労働者1人あたり245,370円であり、労務費の3.29%を占めていた。安全コストを3事業所で算出した。安全衛生コスト集計表で不足している項目は認めず、集計法を完成させた。2.評価指標は、安全に関する指標(度数率、強度率)に比較して、健康に関する指標を把握している団体は少なかった。その中で、病気による休務者数、日数を把握している団体は14.8%であり、把握している休務日数は4~7日以上であった。把握したい評価指標は、労働災害件数、プレゼンティーイズム、ストレスの程度とともに、労働安全活動にかけている費用、福利厚生費等、コストに関する情報などがあがった。休務日数を把握している団体にインタビューを実施した。データ収集をはじめて以降、回数を重ねるごとに回答の正確さが向上し、男女別、年齢別、疾病別で調査を実施しているとのことであった。7日以上の休務と定義した上でデータを収集することは実現可能性が高い。3.企業のCSRに対する関心が高まりにより、4割弱の企業が報告書を公開していた。安全衛生について、平均1ページ強と限られているものの、多くの企業(12年報告書発行企業の77.8%)が安全衛生を記載しており、CSR活動の一環であるとの認識が定着した。一方、記述内容では、大半の企業がメンタルヘルス対策を記述していたが、その他の内容は画一的であり、良好事例や安全衛生活動の結果(効果指標)を掲載して積極的にアピールを行っていた企業は少なかった。産業保健スタッフは、自社の報告書に産業保健の良好事例や結果指標を掲載するよう働きかけることが必要と考える。
結論
安全衛生にかかるコストは、労働者1人あたり、約10万円~20万円であった。業種・業態にばらつきがみられた。安全衛生に関する評価指標とあわせ、費用対効果を表現すること、また、その結果をCSR報告書に記載することが期待される。

公開日・更新日

公開日
2013-11-05
更新日
-

研究報告書(PDF)

収支報告書

文献番号
201233010Z