被災地における心不全患者の在宅療法に関する研究

文献情報

文献番号
201232061A
報告書区分
総括
研究課題名
被災地における心不全患者の在宅療法に関する研究
課題番号
H24-医療-指定(復興)-002
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
橋本 信夫(独立行政法人国立循環器病研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 小川 久雄(独立行政法人国立循環器病研究センター 心臓血管内科部門、熊本大学大学院生命科学研究部循環器病態学)
  • 下川 宏明(東北大学大学院医学系研究科 循環器内科学)
  • 坂田 泰彦(東北大学大学院医学系研究科 循環器EBM開発学寄付講座)
  • 岡山 明(公益財団法人結核予防会第一健康相談所)
  • 中村 元行(岩手医科大学医学部内科学講座心血管・腎・内分泌内科分野)
  • 河野 雄平(独立行政法人国立循環器病研究センター 高血圧、腎臓部門)
  • 中谷 武嗣(独立行政法人国立循環器病研究センター 移植部、臨床栄養部 )
  • 宮本 恵宏(独立行政法人国立循環器病研究センター 予防健診部、研究開発基盤センター予防医学疫学情報部)
  • 西村 邦宏(独立行政法人国立循環器病研究センター 研究開発基盤センター予防医学疫学情報部)
  • 安斉 俊久(独立行政法人国立循環器病研究センター 心臓血管内科部門)
  • 横山 広行(独立行政法人国立循環器病研究センター 医療安全管理部、レジストリー情報室)
  • 宍戸 稔聡(独立行政法人国立循環器病研究センター 研究企画調整室)
  • 石原 正治(独立行政法人国立循環器病研究センター 心臓血管内科部門)
  • 大原 貴裕(独立行政法人国立循環器病研究センター 心臓血管内科部門)
  • 竹上 未紗(独立行政法人国立循環器病研究センター 予防医学・疫学情報部)
  • 安田 聡(独立行政法人国立循環器病研究センター 心臓血管内科部門)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
140,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
高齢者において「罹患率が高く」かつ致命的」な疾患である心不全をモデルケースとして、在宅医療を推進し早期回復と患者の負担軽減が図られる方策を提言することを目的とする。
研究方法
被災地における心不全患者の在宅療法に関する実態調査を東北地区に既存する心不全コホートの枠組みを用いて行う。
 
結果と考察
≪結果≫被災地における心不全患者在宅医療の実態調査:東北地区24基幹病院が協力して行っている慢性心不全症例の大規模前向き観察調査CHART-2研究(NCT00418041) 総計10,219例 では、75歳以上の高齢者が全体の約4割を占める。平成24年度はこの研究体制を活用し在宅における服薬状況や医療機関との連携を中心に十数項目からなるアンケートを実施、慢性心不全在宅治療の実態を調査した。
 循環器コホート研究とのモデル解析比較:医療機関に収容された心不全症例の実態を把握するために全国レベルでインターネットによるWeb登録を用いた悉皆的循環器病疾患実態調査を実施し得る環境を国立循環器病研究センターに整備した。体内設置型補助人工心臓植込み患者の在宅管理を開始した。
 被災地における循環器病管理WEBシステムの構築:被災地において活用できる心不全患者のWeb管理システムプロトタイプの設計・開発を行った;1)システムが有すべき項目・機能の検討、仕様の決定, 2)入力端末の決定, 3) 選定端末によるソフトウェアの開発。更に被災地宮城県内において心不全患者に対する薬剤師の在宅支援活動状況、服薬指導の実施状況等を把握するための予備的調査を行った。
 生活習慣病・生活不活発病への介入:減塩食事普及プログラムおよび運動推進プログラムを開発し、被災地岩手県野田村・久慈市において市民公開講座を開催、保健師・栄養士・食生活改善推進員に対する生活習慣への対策指導(尿検査による食塩摂取量推定を含む)を行った。さらに在宅心不全ハイリスク患者に対する生活習慣病改善支援の有効性に関するパイロット介入研究(支援群vs通常群)を始した;長期の保健指導を実施した場合入院率・死亡率に加え活習慣・検査成績が改善するか否か、また医療費がどのように変化するかを明らかにする。
≪考察≫介護・福祉はIT活用のニーズが高い一方で、システムの独自開発などコストの面が障壁となってきた。本研究での循環器病管理システム・生活習慣病管理システム(仮称)が今後提供されることにより新たな基幹産業の一つとして汎用雇用創出効果がもたらせることが期待できる。生活習慣病の管理に加え、心不全の病態に即したソフトウェアの機能を追加することにより、従来困難であった在宅心不全患者の情報収集がより容易となるものと思われる。その結果医療従事者のみなみならず、介護従事者、保健師・栄養士、地域の薬剤師など、幅広い応用が期待される。
結論
被災地(=極端な少子高齢化=我が国の近未来像) において種々の心血管疾患の終末像「心不全管理」を、効率的な医療提供体制の維持のために今後さらにその必要性が高まる「在宅医療」で行うことは、保健・医療、介護・福祉・生活支援サービスが一体的に提供される将来ビジョン策定に役立つことが期待される。在宅医療では、医師だけではなく、ケアマネジャー、訪問看護師、ホームヘルパー,薬剤師・栄養士等、多職種が参加するため、情報管理の効率化とともにその共有化が不可欠である。循環器病管理WEBシステムの導入とともに、被災地における心不全患者の動向病像評価を推進していく必要がある。

公開日・更新日

公開日
2013-08-27
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
201232061C

収支報告書

文献番号
201232061Z