被災地に展開可能ながん在宅緩和医療システムの構築に関する研究

文献情報

文献番号
201232060A
報告書区分
総括
研究課題名
被災地に展開可能ながん在宅緩和医療システムの構築に関する研究
課題番号
H24-医療-指定(復興)-001
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
堀田 知光(独立行政法人国立がん研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 木下 寛也(独立行政法人国立がん研究センター東病院)
  • 的場 元弘(独立行政法人国立がん研究センター中央病院)
  • 森田 達也(聖隷三方原病院 緩和医学)
  • 内富 庸介(岡山大学大学院 医歯薬学総合研究科精神神経病態学)
  • 川越 博美(医療法人社団パリアン 在宅看護)
  • 小川 朝生(独立行政法人国立がん研究センター東病院)
  • 佐々木 治一郎(北里大学医学部呼吸器内科学)
  • 福井 小紀子(日本赤十字看護大学大学院 地域看護学分野)
  • 川越 正平(あおぞら診療所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
87,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
がん在宅緩和医療における東日本大震災の被災地の直接的支援、被災地におけるがん患者の在宅緩和医療において生じた課題と解決策の明確化、高齢多死社会に向けたがん在宅医療の推進の課題解決に向けたプログラム作成である。以下3つの研究に取り組む。1)被災地におけるあらたな地域緩和ケアネットワークの構築、2)大規模災害に備えたがん在宅緩和医療の課題と対策の明確化、3)被災地に応用できるがん在宅緩和医療システムの構築である。
研究方法
1)被災地におけるあらたな地域緩和ケアネットワークの構築
岩手県釜石医療圏、気仙医療圏において、地域緩和ケアネットワーク構築を支援し、そのプロセスの記述した。
2)大規模災害に備えたがん在宅緩和医療における課題と対策の明確化
被災地域とその周辺で援助を行った医療・福祉従事者を対象にがん在宅緩和医療において生じた問題、実際に行われた対応、今後の大震災に対する課題と対策等についてインタビュー調査を行い、内容分析を行った。
3)被災地に応用できるがん在宅緩和医療システムの構築に関する研究
a.がん緩和医療を在宅で実践するための治療アルゴリズムの開発
在宅診療所を対象に、がん在宅緩和医療において症状緩和で必要とされるツールに関する調査を行った。
b.がん緩和医療を在宅で実践するための精神医学的介入に関する研究
在宅医療におけるせん妄への対応について、知識、スキルを盛り込んだビデオを作成し、模擬患者・家族を用いたロールプレイを含む研修を実施し、評価を行った。
c.看護師を対象とした在宅緩和ケアにおける実践能力取得のためのプログラムの開発と教育に関する研究
看護師を対象とした教育プログラムを開発し、実施・評価を行った。
d.高齢がん患者に対する外来診療を支援する予防的コーディネーションに関する研究
高齢者がん患者を対象とした、包括的マネジメントシステムを開発し、研究計画を作成した。
e.がん診療地域連携クリティカルパスを利用したがん診療在宅支援システムの構築に関する研究
進行非小細胞肺癌患者に対して、初回入院時から治療中に患者の意識決定支援を行い、地域連携や在宅支援の導入率を検討する研究計画を作成した。
f.在宅医療における急変時の対応及び24時間体制構築に向けた実態調査
在宅あるいは病院で亡くなった事例について訪問看護師にインタビュー調査行い、在宅療養の継続の阻害因子について検討を行った。
g.施設職員に対するがん患者の看取りに関する教育プログラムに関する研究
介護職を対象とした教育プログラムを開発し、実施・評価を行った。
結果と考察
1)被災地におけるあらたな地域緩和ケアネットワークの構築
岩手県釜石医療圏、気仙医療圏において、地域緩和ネットワークの構築するため支援活動を行った。継続的な支援が必要である。
2)大規模災害に備えたがん在宅緩和医療における課題と対策の明確化
インタビュー調査の分析を行い、課題を整理した。1)医療用麻薬に関しては概ね足りていたという意見が多かったが、「県外から来た援護班が医療用麻薬の処方箋を書くことが出来ない」ことが問題としてあがった。2)在宅緩和医療を受けている患者の入院受け入れに関してはPEACEプロジェクト(がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会)の指導者同士の顔の見える関係による連携が有用で有った。3)被災地では震災後一定期間は災害急性期医療に重点を置くため。がん緩和医療のために入院している患者に関しては後方病院への転院が必要であった。4)被災地の緩和医療を担当する病院医師にとって、災害医療へ取り組んだ後に震災前の医療提供体制に戻り、緩和医療に再び取り組むことは精神的負担が大きい。地域により状況は異なり、さらなるインタビュー調査の拡大が必要である。
3)被災地に応用できるがん在宅緩和医療システムの構築に関する研究
がん在宅緩和医療推進に有用と考えられる、様々な教育プログラムとがん患者の支援のためのプログラムが開発された。本研究は単年度の研究であるため、一部の患者を対象とした介入は、研究計画書の研究倫理審査委員会承認までを行った。
 
結論
被災地の直接支援、被災地に生じた課題と対策の明確化、被災地に応用でするがん在宅緩和医療システムの構築に利用出来る医療・福祉従事者への教育プログラム、及び患者の支援プログラムの開発に取り組んだ。
被災地の直接支援に関しては、活動は開始されたばかりで、今後も継続的な支援が必要である。

公開日・更新日

公開日
2013-06-02
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2018-06-07
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
201232060C

収支報告書

文献番号
201232060Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
100,000,000円
(2)補助金確定額
100,000,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 17,157,838円
人件費・謝金 27,355,907円
旅費 2,992,344円
その他 39,506,847円
間接経費 13,000,000円
合計 100,012,936円

備考

備考
通帳管理の利息分と自己資金を入れて支払いを行ったため交付金額より増額となっている。

公開日・更新日

公開日
2014-07-16
更新日
-