文献情報
文献番号
201232053A
報告書区分
総括
研究課題名
歯科捕てつ物等の情報の追跡等の効果等に関する研究
課題番号
H24-医療-指定-046
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
宮崎 秀夫(新潟大学 大学院医歯学総合研究科口腔生命科学専攻口腔健康科学講座予防歯科学分野)
研究分担者(所属機関)
- 佐藤 博信(福岡歯科大学 歯学部 歯科補綴学)
- 末瀬 一彦(大阪歯科大学歯科技工士専門学校)
- 阿部 智(帝京大学医学部 衛生学公衆衛生学 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
2,600,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
歯科技工物の生産履歴に関する通知「歯科医療における補てつ物等のトレーサビリティに関する指針について」の運用が開始されてから1年経過したことから,歯科技工物のトレーサビリティの運用状況を調査し,諸外国の歯科補綴物の管理体制と比較しながらその内容の再検討を行うことを目的とした。
研究方法
2012年12月10日から12月28日に,歯科診療所より歯科補綴装置製作を製作されている47都道府県から抽出した歯科技工所計1400技工所を調査対象とし,トレーサビリティーなど,歯科補綴物等の作製履歴や情報提供についての自由記載を含め,歯科医師への情報提供の実態など6項目の質問票調査を実施した。本研究は,個人情報保護に配慮した無記名調査(連結不可能匿名化データ)のため,新潟大学歯学部倫理審査委員会から審査付議不要の承認を得て行われた。
結果と考察
1400技工所のうち参加承諾が得られた計302歯科技工所からの回答について結果を集計した(回収率は21.5%)。
歯科技工のデジタル化により,小規模の歯科技工所ではCAD/CAMなどの技術やジルコニアなどの新材料に自己資本で対応できないことを理由として,外部委託や再委託を行っていることが判明した。しかし,再委託に関する情報を歯科医院に提供している書面で報告している歯科技工所は少なかった(21.2%)。特に安全性に関わる歯科材料の組成(14.9%),使用材料の確認に必要な承認番号(6.0%)やロッド番号(11.3%)に関する情報を歯科医師にあまり提供していなかった。また,グローバル化の進展に伴い問題となっている歯科補綴物の管理体制のうち,「歯科医療における補てつ物等のトレーサビリティに関する指針について」などの通知等の認知が30%前後と極めて低くかった。
一方,諸外国の歯科技工関連一次資料から,歯科補綴物に関する情報を患者に提供する制度を行っている国はなく,歯科技工士免許制度が全国レベルで整備されている国も少なく,医療機器製造業者として位置付け,歯科技工所の設置基準によって行われていたことが判明した。これらの結果から,日本で実施されている歯科補綴物の安全管理体制,特にトレーサビリティによる追跡できる体制は諸外国では実施されていなかった。
海外流通する歯科補綴物の安全性をトレーサビリティで管理する方式は日本独自の制度で世界に先駆けた取組であると考えられた。しかし,当局による通知の認知度が低く,実施率も低いことから,歯科技工所だけでなく歯科医師に対しても制度の啓発が必要であると考えられた。
歯科技工のデジタル化により,小規模の歯科技工所ではCAD/CAMなどの技術やジルコニアなどの新材料に自己資本で対応できないことを理由として,外部委託や再委託を行っていることが判明した。しかし,再委託に関する情報を歯科医院に提供している書面で報告している歯科技工所は少なかった(21.2%)。特に安全性に関わる歯科材料の組成(14.9%),使用材料の確認に必要な承認番号(6.0%)やロッド番号(11.3%)に関する情報を歯科医師にあまり提供していなかった。また,グローバル化の進展に伴い問題となっている歯科補綴物の管理体制のうち,「歯科医療における補てつ物等のトレーサビリティに関する指針について」などの通知等の認知が30%前後と極めて低くかった。
一方,諸外国の歯科技工関連一次資料から,歯科補綴物に関する情報を患者に提供する制度を行っている国はなく,歯科技工士免許制度が全国レベルで整備されている国も少なく,医療機器製造業者として位置付け,歯科技工所の設置基準によって行われていたことが判明した。これらの結果から,日本で実施されている歯科補綴物の安全管理体制,特にトレーサビリティによる追跡できる体制は諸外国では実施されていなかった。
海外流通する歯科補綴物の安全性をトレーサビリティで管理する方式は日本独自の制度で世界に先駆けた取組であると考えられた。しかし,当局による通知の認知度が低く,実施率も低いことから,歯科技工所だけでなく歯科医師に対しても制度の啓発が必要であると考えられた。
結論
厚生労働省の通達は基本県単位に行われており,末端の歯科技工所まで主知徹底ができていないと思われる。また,歯科医師会,関連学会等でも同様に通知が届いているとは言い難いと考えられる。この問題は歯科医師,歯科技工士だけでなく歯科関連の業者も関わってくる問題で,歯科医療メーカーの認識も必要でかつ現状では十分とはいえない。メーカー側への調査も今後必要であると考えられた。関係省庁,関連団体,関連メーカーの相互の意思疎通と情報の共有が今後望まれる
公開日・更新日
公開日
2013-08-27
更新日
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