医療計画を踏まえた医療の連携体制構築に関する評価に関する研究

文献情報

文献番号
201232044A
報告書区分
総括
研究課題名
医療計画を踏まえた医療の連携体制構築に関する評価に関する研究
課題番号
H24-医療-指定-037
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
松田 晋哉(産業医科大学 医学部・公衆衛生学)
研究分担者(所属機関)
  • 伏見 清秀(東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科・医療情報システム学)
  • 藤森 研司(北海道大学病院 医地域医療指導医支援センター・病院管理学)
  • 石川 ベンジャミン 光一(国立がんセンター がん対策情報センター情報システム管理課情報システム開発室・医療情報学)
  • 伊藤 弘人(国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所 社会精神保健研究部)
  • 尾形 裕也(九州大学大学院医学研究院 医療経営・管理学講座)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
5,360,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
厚生労働省のNational Database(NDB)を用いて47都道府県の2次医療圏別に傷病構造及び受療動向、さらには主たる傷病についての連携や在宅医療の状況を検討するための基礎資料を作成している。また、患者調査やDPCデータを用いて同様の分析もすでに行っている。本研究ではこれらのデータをもとに医療計画に有用と考えられる指標の設定を行い、それを活用するための方法論の開発を行った。また、都道府県の医療計画担当者を対象とした研修会等を開催することで、医療計画の策定・評価に関する支援を行うことを目的とした。
研究方法
1) 我々がこれまでの研究で作成してきたNDB、DPC、患者調査データを用いて二次医療圏ごとの傷病構造、患者の受療動向などに関する分析を総合的に行うための方法論を構築するとともに資料集を作成した。また、医療計画の5疾病5事業を中心に医療計画の進捗状況及び医療の質評価のための指標を作成した。さらに以上の情報を地理情報システムGISを用いて視覚化する方法論を考案した。
2) 研究成果について厚生労働省及び都道府県の医療計画策定担当者を対象とした研修会を開催した。
結果と考察
主な結果は以下の1)-4)の通りである。
1) Excel,Access,Qlikviewを用いたDPCデータ分析: 平成23年度厚生労働省DPC公開データ(平成23年4月~平成24年3月)を用いて、二次医療圏ごとの救急医療及びがん医療の現状をExcel、Access、Qlikviewにより可視化する方法論を開発した。さらにそれを実習形式で都道府県担当者に学んでもらうためのセミナーを開催した。DPCデータをAccessで加工して分析用Excelファイルを作成し、それをPivot tableあるいはQlikviewを用いて可視化することで、医療計画の策定及び評価に活用できる資料を簡単に作成できることが示され、また参加した都道府県担当者もおおむねこの作業を行うことができた。
2) 患者調査の結果を用いた地域別将来患者数推計のシステム開発: 患者調査のデータと国立社会保障人口問題研究所『日本の市区町村別将来推計人口』のデータを用いて開発した二次医療圏ごとの入外別患者数を推計するシステムを用いて、各都道府県の担当者がそれぞれの地域における二次医療圏ごとの将来の傷病構造の変化を推計する実習を行った。研修に参加した都道府県担当者の全員がこのシステムを使って、推計を行うことができた。
3) GISで二次医療圏の状況を可視化する-NDB活用実践的QGIS演習-: 平成24年度の厚生労働省科研費事業の「医療計画を踏まえ医療の連携体制構築に関する評価に関する研究」(研究代表者:河原 和夫、東京医科歯科大学【H22―医療-指定-047】)成果として、National Database(以下、NDB)から平成22年度下半期の全国の電子レセプトを使用して、二次医療圏別に210の指標(提供体制及び受療動向)を作成し、都道府県に配布した。今回の研究ではこのデータをオープンソースのGISソフトであるQuantum GIS(QGIS)を利用して、二次医療圏別の分析を行う演習を行った。
4) 患者のアクセシビリティを考慮したGISによる地域医療提供体制の分析: 地域における医療機関の機能と配置に基づいて患者視点からのアクセシビリティについて検討し、地域保健医療計画の立案に必要な基礎資料を整備することを目的として、GISによる急性期入院医療を中心とした地域医療提供体制の分析を行なった。その結果、現在の医療提供体制による地域のカバー状況や地域の人口に基づく需給のバランスについての可視化を実現することができた。

今回開発した方法論を用いることで、既存の資料を活用して、各都道府県の医療計画の内容を将来推計も含めて検討することが可能であることが示された。
結論
我々がこれまでの研究で作成してきたNDB、DPC、患者調査データを用いて二次医療圏ごとの傷病構造、患者の受療動向などに関する分析を総合的に行うための方法論を活用することで、各医療圏の課題を将来推計も含めて検討することが可能であることが示された。今後、この方法論が広く活用されるためのマニュアルの整備が必要である。これについては平成25年度研究で対応する予定である。

公開日・更新日

公開日
2013-08-27
更新日
-

研究報告書(PDF)

収支報告書

文献番号
201232044Z