電子的医療情報の利活用に必要な標準化の整備と普及策に関する研究

文献情報

文献番号
201232034A
報告書区分
総括
研究課題名
電子的医療情報の利活用に必要な標準化の整備と普及策に関する研究
課題番号
H24-医療-一般-027
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
大江 和彦(東京大学医学部附属病院 企画情報運営部)
研究分担者(所属機関)
  • 康 東天(九州大学医学研究院 基礎医学部門病態制御学講座)
  • 木村 通男(浜松医科大学医学部附属病院 医療情報部)
  • 近藤 克幸(秋田大学医学部附属病院 医療情報部)
  • 土屋 文人(国際医療福祉大学 薬学部)
  • 中島 直樹(九州大学病院 医療情報部)
  • 山本 隆一(東京大学大学院 情報学環)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
9,372,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では、これまでの医療情報の標準化において後回しにされてきた、しかし重要となる課題に対して、今後の技術展開を見据えつつ現場レベルに焦点をあてた具体的課題の存在を整理した。1年目として、症状所見マスタの現状調査と方針の立案、手術コードの課題、臨床検査マスタの改善と運用のあり方、放射線マスタJJ1017の課題、医薬品マスタの一般名への対応方針とデータベース整備の課題について調査をもとに検討した。また、ユーザインタフェイスの標準化、在宅生体情報収集と送信の標準化手法、医療機関外に存在する標準化リソースへの安全なオンラインアクセスについて、現状分析を行うことを目的とした。
研究方法
これまで達成されてきた標準化は厚生労働省標準に制定されることで一定の成果をあげてきた。しかし、まだ標準化がなされていない患者の症状所見、手術処置の標準コード化、在宅生体情報種集管理の標準化、および標準化はあるものの臨床現場での導入、普及のためには更に深いレベルでの課題解決が必要な放射線検査情報、臨床検査結果情報、医薬品情報における標準化普及策の開発、そして医療安全の確保に重要なシステム全体の現場レベルでの使い方の標準化とネットワーク上の標準リソースへの安全なアクセスの確保策の策定が必要であることが分かってきた。
 本研究が対象とする各課題はいずれもこれまでなされてきた医療情報の標準化において必要性は言及されていたものの、手をつけにくい課題であるために先送りにされてきたものであり、国際的な標準化も未熟で、これらを対象とすることは今後の電子的医療情報の利活用で必要不可欠である。そこで本研究では、これらの課題に焦点をあてて1年目は標準原案もしくは追加案の策定をするための現状分析を中心に各分担研究者が各課題を分担して実施した。
結果と考察
システムの標準化では、ユーザインタフェイスの標準化のための操作ログ分析を行い、退院サマリから分類した疾患群毎の操作手順の傾向分析を行った結果、全体的に共通する手順が抽出できる反面、一部の疾患群では検査結果や画像の参照が早期に行われる傾向が見られた.一方、今後重要な課題となる在宅生体情報収集と送信の標準化手法について、生体センサーからデータセンタまでの通信経路を含む統合的なデバイスとアプリケーションの開発と実証を行うとともに、JPEG形式に生体モニター情報を格納し、保存性、およびユーザビリティに富んだ方式を提案、実証を行った。最後に、医療機関が外部存在する標準化リソースを日常的に利用するための安全なオンラインアクセスに関して現状を調査したところ、外部接続のリスク分析では対策を十分講じたとしても残余リスクが存在することが明らかになり、一定の運用負荷が避けられないことが明らかになった。
結論
本研究班が対象とした症状所見、手術、医薬品、放射線JJ1017、臨床検査のいずれの標準マスタさらに細かい課題の解決が必要不可欠である。また、システム全体のユーザビリティー、今後広まる在宅医療情報のそれぞれ標準化、およびそうした標準化リソースを日常的に医療機関の情報システムがアクセスできる安全な環境構築と運用のためのガイドラインの整備の必要性が確認され、2年度目においてそれぞれの進展が必要である。

公開日・更新日

公開日
2013-06-02
更新日
-

研究報告書(PDF)

収支報告書

文献番号
201232034Z