EBMに基づく診療ガイドラインの導入が医療に与える影響に関する研究

文献情報

文献番号
201232027A
報告書区分
総括
研究課題名
EBMに基づく診療ガイドラインの導入が医療に与える影響に関する研究
課題番号
H24-医療-一般-020
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
長谷川 友紀(東邦大学 医学部社会医学講座)
研究分担者(所属機関)
  • 松本 邦愛(東邦大学 医学部社会医学講座)
  • 北澤 健文(東邦大学 医学部社会医学講座)
  • 瀬戸 加奈子(東邦大学 医学部社会医学講座)
  • 飯田 修平(社団法人全日本病院協会)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
3,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 近年、社会の医療に対する期待がますます高度化、多様化する傾向にあり、この期待にいかに対応するかは喫緊の課題である。EBM(Evidence Based Medicine)手法に基づく診療ガイドラインは、医療の標準化、質確保を図るための重要な役割を担っている。また、その評価ツールであるAGREE評価票は、23ヶ国語に翻訳され世界的に利活用されている。本研究では、AGREE評価票の改訂に伴い、データの連続性を確保しながらデータ移行のための換算表の検討を行うこと、アンケート調査から急性期病院における診療ガイドライン・クリティカルパスの導入状況、診療ガイドライン作成におけるAGREE調査票の使用実態を明らかにすることを目的とした。
研究方法
 2012年には、新刊、改定版も含めて35冊の診療ガイドラインが発行され、これらについて、original AGREEとAGREEⅡの2つの評価票を用いて同一評価者により評価を行った。また、2011-2012年に発行された診療ガイドライン67冊についてoriginal AGREEを用いた評価を行い、これまでに評価を行った250冊の診療ガイドラインについて経時的な分析を実施した。
 診療ガイドライン、クリティカルパスの導入状況等を明らかにするためのアンケート調査を1505のDPC病院に実施した。診療ガイドライン作成者の調査は、2006-2011年に発行された167の診療ガイドラインの作成代表者を対象に実施した。また、台湾において診療ガイドラインの導入状況等についてのヒアリング調査を実施した。
結果と考察
 2012に発行された診療ガイドラインについて、original AGREEとAGREEⅡの2つの評価票を用いて同一評価者により評価を行い、データ移行に伴うデータセット及び換算手法の検討を行った。これまでに評価を行った250冊の診療ガイドラインの経時的な分析からは、全体的に質が向上傾向にあることが窺えたが、編集の独立性、適応可能性については未だに低くまだ十分とはいえない現状が明らかとなった。
 DPC病院に対し、診療ガイドラインライン、クリティカルパスの導入状況等を明らかにするためのアンケート調査を行い、急性期病院における現状を明らかにした。アンケート調査票は1505病院に送付し、351病院から回答を得た(回答率23.3%)。診療ガイドライン作成者の調査からは、診療ガイドラインの作成体制、普及の方策について明らかにするとともに、評価手法としてのAGREE評価票の使用実態を明らかにした。アンケート調査票は2006-2011年に発行された167の診療ガイドラインの作成代表者を対象とし、64の作成代表者から回答を得た(回答率38.3%)。
 台湾は、国民皆保険を導入し、一部DRG、プロセス・アウトカム評価に基づく支払いが導入される等、医療の質向上に対する取り組みが行われている。現地調査により、診療ガイドラインの利用状況について、また、診療報酬及び医療費等に与える影響等について明らかにした。
結論
 AGREE評価票を用いた評価結果から、診療ガイドラインの質は向上傾向にあることが明らかとなり、AGREE評価のデータ移行についても換算手法を検討することができた。また、アンケート調査の結果から急性期病院における診療ガイドライン・クリティカルパスの導入状況、診療ガイドライン作成におけるAGREE調査票の使用実態を明らかにした。

公開日・更新日

公開日
2013-06-02
更新日
-

研究報告書(PDF)

収支報告書

文献番号
201232027Z