第七次看護職員需給見通し期間における看護職員需給数の推計手法と把握に関する研究

文献情報

文献番号
201232026A
報告書区分
総括
研究課題名
第七次看護職員需給見通し期間における看護職員需給数の推計手法と把握に関する研究
課題番号
H24-医療-一般-019
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
小林 美亜(千葉大学 大学院看護学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 伏見 清秀(東京医科歯科大学大学院)
  • 白岩 健(帝京大学医学部)
  • 手島 恵 (千葉大学大学院看護学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
2,850,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 本研究は、「第七次看護職員需給見通し」の需給見通し期間(平成23~25年)で実際に生じた看護職員の需要数の把握を試みるための試行調査を行うことを目的とした。また、需要数を予測する方法論の検討や供給予測に必要となる潜在看護職員の推計についても行った。
研究方法
1.試行調査
 調査対象として、平成23年から平成27年の需要数の各県の増加率を「高位」「中位」「低位」のカテゴリに分類し、各カテゴリから1県ずつ抽出を行った。次に、その3県から研究協力の同意を得た上で、計108施設(36施設/1県)を抽出し、調査票を配布した。各施設には、「実現可能な需要数」を前提条件とした上で、平成24年時点の需要数の回答(以下、実際値)を求めた。
 実際値は、「平成21年度 第七次看護職員需給見通しに係る調査(以下、見通し調査)」で予測された平成24年の需要数(以下、予測値)との比較を行い、その乖離要因について、①病床の増減、②手術件数の増減、③外来機能の拡大・縮小、④労務管理の強化、⑤研修体制などの充実・強化、⑥管理体制、専門機能の充実・見直しなどの視点から検討した。また、平成24年に配置されている看護職員数(以下、現員数)と、予測値、実際値との比較についても行い、現員数と実際値との間に乖離が存在する場合にはその要因についても把握した。

2.一般病床の機能分化に基づいた需要数の把握
 平成27年における需要数について、今後の一般病床の機能分化の方向性に基づき回答する調査票を作成した。研究対象は、試行調査と同じ、3県から抽出した計108施設(36施設/1県)とした。調査票は試行調査と同時に配布した。得られた回答は、見通し調査の平成27年の需要数と比較し、その差と乖離率を算出した。また、一般病床の機能分化に係わる具体的な想定条件や看護職員配置の方針についても把握した。

3.潜在看護職員数の推計方法
 厚生労働省が平成14年末時点で推計した潜在看護職員の推計方法に基づき、一部、変更を加え、平成22年末時点の免許保持者数から看護職員就業者数を差し引くことにより、潜在看護職員数の推計を行った。
結果と考察
 3県の計108施設(36施設/1県)に調査票を配布し、21施設から回答が得られた(回収率19.4%)。
実測値と予測値の乖離率は、1.8±5.7%(平均値±標準偏差)であった。乖離要因は、施設によって様々であり、医療制度に応じた施設の経営・運営方針、労務管理方針、看護師の雇用方針等によって影響を受けていた。また「現員数」と「実際値」との比較において、7施設(36.8%)で乖離は認められず、需要を満たしていた。
 一般病床の機能分化の方向性に基づいた需要数を把握は可能であった。その把握した需要数と見通し調査の需要数の比較では、前者の方が低く算出されていた。乖離が大きかった施設(実人員ベースで約35~37%の乖離率)では、病床区分や機能の変化の方向性に応じて、看護職員の需要数を検討し直したことが推察された。
 潜在看護職員数は714,669人と推計され、潜在看護職員率は33.9%であった。
結論
1.見通し調査期間における実際の需要数を把握するための試行調査として、平成24年における予測値と実際値との比較を行ったところ、その乖離率は約2%であった。乖離要因は、経営・運営方針、労務管理方針や雇用方針等によって影響を受けていた。
2.一般病床の機能分化に基づいた需要数把握の試行調査では、見通し調査と比較し、需要数が低く算出されていた。今後の経営・運営方針が明確である場合、機能分化に基づき、実現可能な看護職員の需要数を回答することは可能であることが示唆された。
3.潜在看護職員数は714,669人(潜在看護職員率:33.9%)であった。

公開日・更新日

公開日
2013-05-29
更新日
-

研究報告書(PDF)

収支報告書

文献番号
201232026Z