医療放射線防護に関する研究

文献情報

文献番号
201232024A
報告書区分
総括
研究課題名
医療放射線防護に関する研究
課題番号
H24-医療-一般-017
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
細野 眞(近畿大学 医学部附属病院)
研究分担者(所属機関)
  • 山口 一郎(国立保健医療科学院 生活環境研究部学)
  • 高橋 健夫(埼玉医科大学 医学部)
  • 赤羽 正章(東京大学 医学部)
  • 成田 雄一郎(弘前大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
3,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、医療における放射線防護の推進のため、国内の医療現場における放射線利用と放射線防護の状況を分析して、最近の新しい診断や治療に対応するための法令や指針の検討、災害等による事故の場合の措置やその防止に関する検討、医療放射線防護に係る国際基準の取り入れの検討に重点的に取り組み、医療施策としての観点を通じ国民の健康向上のための放射線利用に繋がる放射線防護の構築を目指した。
研究方法
医療放射線防護に関しては、既に国内でも関連学会、団体、機関によって多くの検討がなされ資料が蓄積されており、国際機関等においてもさまざまの勧告・指針・資料が提示されている。また東日本大震災にあたって医療放射線の安全な運用に生かすべき多くの教訓が得られた。本研究ではこれらの知見を収集・精査するとともに、また必要な実験・測定を実施して、新しい医療放射線の手法を国民医療に生かし、また緊急時に対応できる強固な医療体制を整え、わが国の医療の実態に即した放射線防護を確立するために研究代表者・研究分担者・研究協力者で分担して各課題の検討を行った。
結果と考察
本研究では、検討の重点を医療における放射線診療従事者と公衆の放射線防護に置いた。既存の資料の解析に、必要な実験・測定を加えて、各課題に共通する放射線防護の概念を踏まえつつ、各課題に固有な内容について検討した。国際的な医療放射線防護の動向を整理して示した。ヨウ素-125シード線源による前立腺がん治療においては、前立腺体積の大きな患者にも適用を広げる可能性を示した。前立腺がん骨転移に対する塩化ラジウム(Ra-223)の管理について合理的な手法を提示した。PET/MRI複合装置について、放射線防護の観点、またMRIの安全の観点から管理の指針を示した。また東日本大震災にあたって医療放射線の放射線防護を考慮した運用に生かすべき多くの教訓が得られた。放射線治療は高精度化が進み、がん治療に不可欠な治療法となっている。本研究では現状に合わせた対応指針の運用に関する調査を医療放射線防護の観点から実施した。放射線診断領域の放射線防護については、CT透視を利用する際には、術者被ばくを低減するために散乱線遮蔽プロテクタの有効性を示した。医学物理分野の専門家の取り組みは、放射線診療従事者や公衆の放射線防護はもちろん、患者の放射線防護においても鍵となる事項であり、今後ますます重要性が増していくと考えられた。
結論
本研究においては、医療放射線防護を推進していくうえで、医療放射線各分野(放射線診断・核医学・放射線治療・医学物理)の専門家が緊密に連携して共同研究を実施することの必然性、また医療放射線防護に取り組む後進を育成することの重要性を改めて示すことができたと考えられる。本研究によって得られた成果は、わが国の医療実態に即した放射線防護を推進するために準拠できる資料として医療放射線の発展に寄与することが期待できる。

公開日・更新日

公開日
2013-05-22
更新日
-

収支報告書

文献番号
201232024Z