文献情報
文献番号
201232014A
報告書区分
総括
研究課題名
医療広報におけるソーシャルメディアの可能性
課題番号
H24-医療-一般-007
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
成松 宏人(山形大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
- 田中 敦(山形大学 工学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
770,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
申請者らは、がん患者における情報流通およびネットワーク形成について研究を行い、近年、Blogといった新しいWebサービスにより新たな患者ネットワークが生まれつつある可能性を指摘している。本研究で注目するTwitterは双方向性および即時性という面でBlogより優れており、患者コミュニティー形成について重要な役割を担っていくと申請者らは予想している。実際に、われわれが行ったpreliminaryな調査では、日常を記した投稿の中に,自身の患っている病気の闘病様子についての記載をしている事例を確認している。治療の様子や,治療を受けた感想,その病気に対する自身の考えが記されており,同じ病気にかかっているユーザーの参考となっていると考えられ,そのようなユーザー同士のコミュニティーが形成されていると推測された。しかし、今まで、患者のコミュニティーの視点でTwitterを扱った研究は国内外でもなく、今回本研究計画を立案するに至った。
研究方法
1) がん患者におけるツイッター利用度調査・解析:Twitter上で公開されているアカウントを利用してがん患者にアカウントを同定して、アカウント間のつながりやツイートの内容を解析する。
2) 共起ネットワークによるツイート解析手法の開発:ツイート内容の網羅的かつ効率的な解析法の確立のため、Twitter上のアカウント間のコミュニケーションネットワークとツイートに含まれる単語の共起ネットワークを分析する。
2) 共起ネットワークによるツイート解析手法の開発:ツイート内容の網羅的かつ効率的な解析法の確立のため、Twitter上のアカウント間のコミュニケーションネットワークとツイートに含まれる単語の共起ネットワークを分析する。
結果と考察
1) がん患者におけるツイッター利用度調査・解析
がん患者ユーザー同士のつながりを調べた結果,実際に患者間で情報のやりとりを行っていることを示すことができた。これにより,初めてソーシャルメディアを介した患者の情報交換ネットワークが成立していることを示した。まだ規模は小さいが,安価で迅速に双方向の情報交換が可能であるソーシャルメディアの特性を考慮するとこのメディアはホームページやブログといったインターネット上のがん患者の情報収集ツールと同様にがん患者にとって重要なツールになるかもしれない。
さらに興味深いことは,患者間で交わされていたツイートの内容である。挨拶や日常生活にまつわる内容がほとんどであり,当初予想していたようながんに関する医学的な情報交換はほとんど見られなかった。これは,患者がTwitterをゆるやかではあるものの,患者同士でつながることによる,精神的なサポートのためのツールとして使用していることを示唆している。
2) 共起ネットワークによるツイート解析手法の開発
Twitter ユーザーアカウント間のコミュニケーションネットワークを調べた所、大きく2つのカテゴリに分けられることがわかった。すなわち、卵巣癌・直腸大腸結腸癌・肺癌・脳腫瘍・悪性リンパ腫においては特に密な構造を持たないが、子宮癌・白血病・乳癌においては、まとまった密なコミュニティが形成されていた。
がんコミュニティーにおける1ツイートに同時に含まれる共起単語のつながりの中で、頻繁に現れるものをリンクとしてネットワークを作成した。前述のコミュニケーションネットワークに比べると、どの疾患に対しても、図2のような密な構造のネットワークが形成された。そのような中でも、食道癌における共起ネットワークでは、全体が1つのネットワークを形成していながら、それが2つの大きなコミュニティーに明確にわかれており、それらを結びつける媒介的なノードの存在が確認できた。
本研究ではTwitter ユーザーアカウント間のコミュニケーションネットワークと、各ツイートに含まれる単語の共起ネットワークに分析から、その構造の特徴を明かにした。コミュニケーションネットワークでは、子宮癌・白血病・乳癌において、全体がまとまった密な構造が観察された。これは、ある中心的な人物の存在がいるだけでなく、お互いのツイートをフォローしある活発なコミュニケーションがなされていると考えられる。
ツイートの共起ネットワークに関しては、どの疾患においても密な構造が観察された。その中でも、食道癌等いくつかの疾患において、2つのコミュニティが確認され、それぞれのコミュニティはある意味を持ったものとなっている。例えば食道癌においては、治療に関する専門的なものと食生活にかかわる日常的なものとに概ね大別される。
がん患者ユーザー同士のつながりを調べた結果,実際に患者間で情報のやりとりを行っていることを示すことができた。これにより,初めてソーシャルメディアを介した患者の情報交換ネットワークが成立していることを示した。まだ規模は小さいが,安価で迅速に双方向の情報交換が可能であるソーシャルメディアの特性を考慮するとこのメディアはホームページやブログといったインターネット上のがん患者の情報収集ツールと同様にがん患者にとって重要なツールになるかもしれない。
さらに興味深いことは,患者間で交わされていたツイートの内容である。挨拶や日常生活にまつわる内容がほとんどであり,当初予想していたようながんに関する医学的な情報交換はほとんど見られなかった。これは,患者がTwitterをゆるやかではあるものの,患者同士でつながることによる,精神的なサポートのためのツールとして使用していることを示唆している。
2) 共起ネットワークによるツイート解析手法の開発
Twitter ユーザーアカウント間のコミュニケーションネットワークを調べた所、大きく2つのカテゴリに分けられることがわかった。すなわち、卵巣癌・直腸大腸結腸癌・肺癌・脳腫瘍・悪性リンパ腫においては特に密な構造を持たないが、子宮癌・白血病・乳癌においては、まとまった密なコミュニティが形成されていた。
がんコミュニティーにおける1ツイートに同時に含まれる共起単語のつながりの中で、頻繁に現れるものをリンクとしてネットワークを作成した。前述のコミュニケーションネットワークに比べると、どの疾患に対しても、図2のような密な構造のネットワークが形成された。そのような中でも、食道癌における共起ネットワークでは、全体が1つのネットワークを形成していながら、それが2つの大きなコミュニティーに明確にわかれており、それらを結びつける媒介的なノードの存在が確認できた。
本研究ではTwitter ユーザーアカウント間のコミュニケーションネットワークと、各ツイートに含まれる単語の共起ネットワークに分析から、その構造の特徴を明かにした。コミュニケーションネットワークでは、子宮癌・白血病・乳癌において、全体がまとまった密な構造が観察された。これは、ある中心的な人物の存在がいるだけでなく、お互いのツイートをフォローしある活発なコミュニケーションがなされていると考えられる。
ツイートの共起ネットワークに関しては、どの疾患においても密な構造が観察された。その中でも、食道癌等いくつかの疾患において、2つのコミュニティが確認され、それぞれのコミュニティはある意味を持ったものとなっている。例えば食道癌においては、治療に関する専門的なものと食生活にかかわる日常的なものとに概ね大別される。
結論
Twitter上に,多くのユーザーにフォローされ発言に影響力があると考えられるアカウントを中心としたがん患者同士の情報交換ネットワークが存在していることが示された。
また、がん患者のツイートを網羅的かつ効率的に解析する方法を開発した。
次年度は上記をふまえて、さらに疾患範囲を拡げた解析をおこない、様々な疾患におけるツイッターの利用実態を明らかにして、医療広報における政策提言につなげる。
また、がん患者のツイートを網羅的かつ効率的に解析する方法を開発した。
次年度は上記をふまえて、さらに疾患範囲を拡げた解析をおこない、様々な疾患におけるツイッターの利用実態を明らかにして、医療広報における政策提言につなげる。
公開日・更新日
公開日
2018-06-06
更新日
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