文献情報
文献番号
201232003A
報告書区分
総括
研究課題名
医療安全に関連する臨床指標の開発と実証に関する研究
課題番号
H23-医療-一般-004
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
長谷川 友紀(東邦大学 医学部社会医学講座)
研究分担者(所属機関)
- 飯田 修平(全日本病院協会)
- 西澤 寛俊(全日本病院協会)
- 北澤 健文(東邦大学 医学部社会医学講座)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
2,400,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
DPCデータから患者安全指標(Patient Safety Indicators:PSI)を算出し、手術件数、手術難易度等、医療機関の特性との関連を明らかにした。また、周術期に関連する3つの指標(PSI4:術後の治療可能な重症合併症による死亡、PSI9:術後の出血、血腫、PSI13:術後の敗血症)については、手術件数と指標改善との関連も検討した。
研究方法
PSIは、米国Agency for Healthcare Research and Quality(AHRQ)が開発した技術仕様書に基づき算出した。分析には公益社団法人全日本病院協会(全日病)のDPCデータ分析事業であるMedi-Target事業のデータベースから得た、2008年1月から2010年12月に退院した患者の連結不可能匿名化されたDPCデータを用いた。分析対象は188施設、1,383,872名であった。
結果と考察
手術件数の多い施設では褥瘡や術後の治療可能な重症合併症による死亡の発生が少ない一方、術後出血や術後敗血症の発生が多かった。また、手術件数の少ない施設では難手術の実施割合が低く、術後の治療可能な重症合併症による死亡が多くみられた。
手術件数と周術期に関するPSIの改善状況との関係をみたところ、術後の治療可能な重症合併症による死亡率は手術件数の多い群で改善している施設が多く、術後の出血、 血腫発生率は、手術件数の少ない群で改善している施設が多くみられた。
PSIと手術件数に関する分析結果から、手術件数が少なく難手術の経験も少ない施設では、手術手技や周術期ケアに関する経験の蓄積が乏しく、術後発症病態等への対応が十分に行えず、患者が死に至る可能性が高くなると考えられた。一方、手術件数が多く、難手術の実施割合の高い施設における医療安全対策の事例は、ベストプラクティスとして活用できる可能性があると考えられた。
手術件数と周術期に関するPSIの改善状況との関係をみたところ、術後の治療可能な重症合併症による死亡率は手術件数の多い群で改善している施設が多く、術後の出血、 血腫発生率は、手術件数の少ない群で改善している施設が多くみられた。
PSIと手術件数に関する分析結果から、手術件数が少なく難手術の経験も少ない施設では、手術手技や周術期ケアに関する経験の蓄積が乏しく、術後発症病態等への対応が十分に行えず、患者が死に至る可能性が高くなると考えられた。一方、手術件数が多く、難手術の実施割合の高い施設における医療安全対策の事例は、ベストプラクティスとして活用できる可能性があると考えられた。
結論
DPCデータが医療安全向上の目的にも使用可能であることを示す本研究の知見は、全症例データであるDPCデータの他、厚生労働省が構築しているレセプト情報・特定健診等情報データベースに格納されているレセプトデータの今後の活用方針に関する政策決定に資すると考えられる。
公開日・更新日
公開日
2013-05-15
更新日
-