診療関連死の中立的原因分析と再発防止に関する研究

文献情報

文献番号
201232001A
報告書区分
総括
研究課題名
診療関連死の中立的原因分析と再発防止に関する研究
課題番号
H23-医療-一般-002
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
高本 眞一(社会福祉法人 三井記念病院)
研究分担者(所属機関)
  • 木村 哲(東京逓信病院)
  • 山口 徹(虎の門病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
4,060,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
現在、医療事故の後の行政処分は刑事処分を受けた事例について、医道審議会が後を追うかたちで行うことがほとんどで、中立的死因究明調査の後の行政処分についての詳細かつ具体的な議論はなされていない。医療事故の原因究明再発防止のために医療専門家で構成される第三者機関の早期の法制化を早急に考えていかなければならないが、これと同時に医療事故再発防止のための教育的な行政処分を行う機関として新しく医療安全倫理審議会(仮称、以下医療安全倫理審議会と記す)を確立することが求められている。
かっての医療安全調査委員会案では重大な過失(故意に近い悪質な医療行為に関する死亡又は死産の疑いがある場合)と判定されるものに関しては警察への届出が必要であったが、新たな第3者機関として医療安全倫理審議会が稼働すれば、刑事事件での処理は明らかな犯罪のみとなり、その他の事例は医療安全調査委員会が調査し、医療安全倫理審議会において独立した形で教育的行政処分を行うことができ、医療事故の原因となったことがらに対してより効果的な対応が出来る。再発防止策としても有効な再教育のプログラムとなる。医療事故における処分のあり方を改善するためには、現行の医道審議会にすべてまかせるのではなく、医療安全倫理審議会の設立が必須であり、ここでの自律した教育的行政処分案の作成が可能となれば、当該施設での医療システムの改善並びに事故当事者の再教育を通して、さらなる医療の質の向上が期待できる。
研究方法
研究方法
① 現在公表されている実際の医療事故の事例を取り上げ、行政による新しい教育的処分を考慮しながら、医療安全倫理審議会の必要性を明らかにし、制度のイメージをより明確にした。
②  外国(英国・米国)で活用されている制度を調査し、これを参考とする。特に英国におけるGeneral Medical Council (GMC)、米国におけるMedical Quality Assurance Commission (MQAC)の仕組みを検討した。
③ 平成25年2月23日に「診療関連死の中立的原因分析と再発防止に関する研究シンポジウム-----医療事故における行政指導と再教育―――」を行い、研究成果を公表。 
厚生労働科学研究費補助金地域医療基盤開発推進研究 高本班平成24年度総括報告書参照
結果と考察
本研究により、診療関連死原因究明、再発防止のための中立的な調査機関の調査できる範囲が現在のモデル事業よりも広がり、故意に近い悪質な事例も処理し、医療安全倫理委員会にて行政処分をし、さらに医学界全体で再教育をすることにより、本邦の医療の質がさらに向上することが考えられる。医師法21条により医療関連死も警察届け出が強要される時もあるが、この新医道審議会での行政処分、再教育の仕組みが機能すると、警察の届け出は故意、改ざんなどの純粋に犯罪だけに限られるので、本邦の医療関係者が安心して医療に取り組めるようになる。これらの仕組みが出来上がると、医療関係者自身の自律的な働きにより、医療事故が減少し、国民に安心な医療を提供できるようになる。厚労省としても、医療安全調査委員会、医療安全倫理審議会を全国に展開するべく、医療政策を実施することになる。現在まで警察への届け出の範囲において、国民の間にまだ合意ができてなかったが、この制度を導入することができると多くの国民の合意ができ、医療安全調査委員会制度も早急に法制化が可能となることが期待される。
結論
過去の医療刑事事例を振り返って分析してみると、たまたま担当した医療者が刑事処分を受けて決着している事例が認められるが、むしろ事例が発生した場所での医療システムを改善したほうが良いと考えられるものも多くあることが認識された。英国並びに米国での医療事故報告制度ならびに処分制度の中から、本邦に適応可能で、医療の質の向上、事故当事者の教育を目指した新しい教育的処分制度の導入が必須であろうと考えられる。考えられる医療安全倫理審議会は医療安全調査委員会の調査で倫理上さらなる審議が必要と考えられる事例に関してはさらに詳しく調査して、システムエラーに関しては施設に改善案を提示し、医療人に対しては教育的な指導案を作り、医道審議会に上程する。また、これらの改善策の経過も随時チェックすることが望ましい。
かっての医療安全調査委員会案では重大な過失(故意に近い悪質な医療行為に関する死亡又は死産の疑いがある場合)と判定されるものに関しては警察への届出が必要であったが、独立した形で医療安全倫理審議会を稼働できれば、警察での取り調べでなく、医療安全調査委員会が調査し、医療安全倫理審議会での教育的行政処分が可能になり、刑事事件での処理は明らかな犯罪のみになると考えられる。

公開日・更新日

公開日
2013-05-29
更新日
-

研究報告書(PDF)

文献情報

文献番号
201232001B
報告書区分
総合
研究課題名
診療関連死の中立的原因分析と再発防止に関する研究
課題番号
H23-医療-一般-002
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
高本 眞一(社会福祉法人 三井記念病院)
研究分担者(所属機関)
  • 木村 哲(東京逓信病院)
  • 山口 徹(虎の門病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
現在、医療事故の後の行政処分は刑事処分を受け事例について、医道審議会が後を追うかたちで行うことがほとんどで、中立的死因究明調査の後の行政処分についての詳細かつ具体的な議論はなされていない。医療事故の原因究明再発防止のために医療専門家で構成される第三者機関の早期の法制化を早急に考えていかなければならないが、これと同時に医療事故再発防止のための教育的な行政処分を行う機関として新しく医療安全倫理審議会(仮称、以下医療安全倫理審議会と記す)を確立することが求められている。本研究では、この医療安全倫理審議会の在り方を明確にするとともに、取り巻く組織や具体的な運用方法など、これらのシステムの全体像を提案していきたい。
研究方法
① 現在公表されている実際の医療事故の事例を取り上げ、行政による新しい教育的処分を考慮しながら、医療安全倫理審議会の必要性を明らかにし、制度のイメージをより明確にする。
② 外国(英国・米国)で活用されている制度を調査し、これを参考とする。特に英国におけるGeneral Medical Council (GMC)、米国におけるMedical Quality Assurance Commission (MQAC)の仕組みを検討する。
結果と考察
過去の医療刑事事例を振り返って分析してみると、たまたま担当した医療者が刑事処分を受けて決着している事例が認められるが、むしろ事例が発生した場所での医療システムを改善したほうが良いと考えられるものも多くあることが認識された。英国並びに米国での医療事故報告制度ならびに処分制度の中から、本邦に適応可能で、医療の質の向上、事故当事者の教育を目指した新しい教育的処分制度の導入が必須であろうと考えられる。考えられる医療安全倫理審議会は医療安全調査委員会の調査で倫理上さらなる審議が必要と考えられる事例に関してはさらに詳しく調査して、システムエラーに関しては施設に改善案を提示し、医療人に対しては教育的な指導案を作り、医道審議会に上程する。また、これらの改善策の経過も随時チェックすることが望ましい。
かっての医療安全調査委員会案では重大な過失(故意に近い悪質な医療行為に関する死亡又は死産の疑いがある場合)と判定されるものに関しては警察への届出が必要であったが、独立した形で医療安全倫理審議会を稼働できれば、警察での取り調べでなく、医療安全調査委員会が調査し、医療安全倫理審議会での教育的行政処分が可能になり、刑事事件での処理は明らかな犯罪のみになると考えられる。
結論
医療事故における行政処分のあり方を改善するためには、現行の医道審議会ではなく、第三者機関としての医療安全倫理審議会の設立が必要である。ここにおいて独立した形で教育的行政処分を行うことができれば、当該施設での医療システムの改善並びに事故当事者の再教育を通して、さらなる医療の質の向上が可能となると考えられる。

公開日・更新日

公開日
2013-05-29
更新日
-

研究報告書(PDF)

行政効果報告

文献番号
201232001C

収支報告書

文献番号
201232001Z