繊毛障害による先天異常疾患群の患者データベース構築と臨床応用のための基盤研究

文献情報

文献番号
201231179A
報告書区分
総括
研究課題名
繊毛障害による先天異常疾患群の患者データベース構築と臨床応用のための基盤研究
課題番号
H24-難治等(難)-一般-078
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
伊藤 雅之(独立行政法人国立精神・神経医療研究センター 神経研究所 疾病研究第二部)
研究分担者(所属機関)
  • 岩崎 裕治(東京都立東部療育センター)
  • 大野 耕策(鳥取大学医学部脳神経小児科学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等克服研究(難治性疾患克服研究)
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
5,850,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、繊毛障害による先天異常症候群の診断基準を作成し、患者データベースを構築し、病因・病態解明のための基盤研究を行なう。繊毛障害による先天異常症候群には多くの疾患が属すが、有馬症候群(乳児期早期より重度精神運動発達遅滞、先天性視覚障害、嚢胞腎(若年性ネフロン癆)、眼瞼下垂、小脳虫部欠損)、デカバン症候群、ジュベール症候群(呼吸異常、精神運動発達遅滞、小脳虫部欠損)、セニール・ローケン症候群(先天性視覚障害、ネフロン癆、精神発達遅滞)、COACH症候群(先天性眼球障害、肝線維化、精神発達遅滞、小脳虫部低形成)の5疾患が中核をなす。これら疾患のうち、有馬症候群は他の疾患より臨床的に均一であり、病理学的特徴が明確であるため、単一遺伝子疾患と考えられている。したがって、この原因遺伝子の同定は比較的容易で、その解析は広く類縁疾患の病態解明にも役立つ。
研究方法
全国の施設にアンケート調査を行い、その結果有馬症候群7例とジュベール症候群およびその関連疾患23例を確認した。診断基準策定のための症例検討会を設置し、疑い例を含む症例の多方面からの専門医による詳細な検討を行なった。小児科医、病理医、腎臓医、遺伝医等が参加して症例検討会(先天異常疾患群を多く経験している臨床医で構成)を組織し、診断例の検証と疑い例の検討を行った。必要に応じて、主治医への聞取り等を実施し、臨床診断を行った。この結果に基づいた患者データベースを構築し、有馬症候群の診断基準を作成した。また、収集した生体試料から原因遺伝子検索を行ない、候補遺伝子の同定を行なった。有馬症候群の病的なCNVは明らかなものはなかった。今後、エキソーム解析をし、遺伝学的疾患原因性を解明する。また、ジュベール症候群、デカバン症候群、セニール・ローケン症候群、COACH症候群の既報告25遺伝子について、遺伝子解析のためのprimer-setを作成した。また、ジュベール症候群および他の先天異常疾患群と診断された症例の生体試料(血液、DNA等)の収集を行った。これらの試料は当該倫理委員会の承認のもと、東京都立東部療育センターで管理している。
結果と考察
今回明らかにされた有馬症候群とジュベール症候群の患者データをもとに、①患者データベースの構築、②診断基準作成と診断困難例への診断支援サービス、③生物試料の収集と管理、④原因遺伝子の同定と病態解明のための分子生物学的研究をおこなう。今後、他の疾患の診断手引きを作成し、患者データベースによる疫学研究の結果の公表とホームページを介した診断支援を行なう。先天異常症候群の症状は広く多科に渡ることから、日本先天異常学会、日本小児神経学会、日本小児科学会などの支援を受けて医療従事者への診断基準の普及と啓蒙を行なう。
結論
全国アンケートの結果と各科専門医による症例検討会の結果、有馬症候群7例とジュベール症候群およびその関連疾患23例が本邦にあることが分かった。今後、臨床研究を視野に患者データベースを運用する。また、遺伝子解析を進め、有馬症候群の原因遺伝子の解明と繊毛障害による先天異常症候群の分子生物学的解明を進める。

公開日・更新日

公開日
2013-05-08
更新日
-

収支報告書

文献番号
201231179Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
7,200,000円
(2)補助金確定額
7,200,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 3,081,760円
人件費・謝金 460,000円
旅費 75,020円
その他 2,233,220円
間接経費 1,350,000円
合計 7,200,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2015-06-10
更新日
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