リンパ管腫症の全国症例数把握及び診断・治療法の開発に関する研究

文献情報

文献番号
201231155A
報告書区分
総括
研究課題名
リンパ管腫症の全国症例数把握及び診断・治療法の開発に関する研究
課題番号
H24-難治等(難)-一般-054
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
小関 道夫(岐阜大学 医学部附属病院)
研究分担者(所属機関)
  • 黒田 達夫(慶應義塾大学 外科学(小児外科))
  • 藤野 明浩(慶應義塾大学 外科学(小児外科))
  • 近藤 直実(岐阜大学大学院医学系研究科小児病態学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等克服研究(難治性疾患克服研究)
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
4,750,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
リンパ管腫症は中枢神経系を除く骨、肝臓、肺などにリンパ管組織が異常増殖する原因不明の難治性疾患である。進行性に骨溶解を起こす場合、ゴーハム病とも呼ばれることもある。主に小児期に罹患し、胸水により半数以上が窒息死し、予後不良な疾患であるが、単報以外の国内にまとまった報告はなく、罹患率などの疫学データは皆無である。また発症原因などに関する基礎的研究もない。本研究では、(1)本疾患の全国発生症例数の把握、データベースの作成と情報提供、および(2)診断、治療指針の作成、新規治療の開発を目的とする。
研究方法
1)リンパ管腫症、ゴーハム病患者の全国調査
小児科学会認定指導施設520施設を対象に、「疫学研究に関する倫理指針」に準じ、簡便かつ明確な一次アンケートにより、可能な限り全国症例の有無の把握をする。二次調査は、回答の得られた施設を対象に、診療録をもとに患者基礎情報(臨床症状、病変部位、検査、診断、治療や結果など)の詳細に集計する。
2)全国調査の解析と情報の公開、ホームページ作成
集計された患者背景や診断、各治療法の有効性、有害事象などについて検討する。調査の解析結果を出来るだけ早期に、関連する主要学会で公表し、幅広く意見を聴取、客観的評価を得る。またリンパ管腫症に関するホームページを作成、疾患の一般的な情報を掲載し、社会的認知度の向上に努める。
3)診断基準・システムの確立、治療指針作成
集計された患者情報を基にして、確定に至った診断方法や重要な検査値、病理組織所見を明らかにし、診断基準を作成する。
4)プロプラノロール療法の発展、新規治療法の開発、基礎研究
インフォームドコンセントを受けた20歳までの難治性リンパ管腫症の他、血管腫・血管奇形患者を対象とし、プロプラノロール療法を行い、治療後6ヶ月時の有効性、有害事象などを検証する。また本薬剤の薬理作用や病態解析の目的で血管新生因子を測定し、各疾患の差や治療効果との関連性を検討する。
結果と考察
1)リンパ管腫症、ゴーハム病患者の全国調査
小児科学会認定指導施設520施設を対象に、リンパ管腫症とゴーハム病、小児リンパ管疾患の症例の有無を調査する内容で、一次調査を行った。現在で410施設(78.8%)の回収が得られ、リンパ管腫症症例有りと答えた施設(49施設、90症例)に対して、二次調査票を配布した。
2)全国調査の解析と情報の公開、ホームページ作成
本疾患の社会認知度向上を目指して、広報活動としてホームページ「リンパ管疾患情報ステーション」の中に、新たに「リンパ管腫症」「その他のリンパ管疾患」とページを拡充し、患者に有益な情報を提供した。
3)プロプラノロール療法の発展、新規治療法の開発、基礎研究
リンパ管腫症2症例に対して治療を行い、治療効果と血漿中血管新生因子の解析を行った。1例は胸水の貯留停止と骨病変の改善を認めた。

全国調査を進め、予想以上に多くのリンパ管腫症症例の二次調査が可能となった。これまでの文献などの調査からは、リンパ管腫症に非常に類似した病態の疾患である、ゴーハム病も全身の骨病変や胸水などの合併症を持ち、診断や治療も類似している。同じ症状であっても、施設によってどちらも使われており、その病名と決めた根拠や、病期の差異などもわかるため、非常に興味深く、また今後の診断名を決めるうえで、重要な知見となり得ると考えている。また多くの症例が小児期に発症し、難治例が多く、死亡例もある。これらの症例が、発症時にみられた症状や経過中に出てきた症状、診断に使用された血液検査データや、画像所見、病理所見などをまとめることによって、より早期の診断に結び付くと良いと考えている。これらのデータをできるだけ早く情報として、学会などを通じて公表、あるいはホームページなどで一般に公開し、社会認知度の向上に努めたい。
結論
リンパ管腫症、ゴーハム病患者の全国調査とその解析を進めている。これによって、本疾患の実態が判明し、さらに早期診断に結び付くようにすること、その情報を広く社会に公開し、認知度を高めたい。またリンパ管腫症は非常に難治で致死的であるため、新規治療薬の開発としてプロプラノロール療法の研究を進めている。

公開日・更新日

公開日
2013-05-27
更新日
-

研究報告書(PDF)

収支報告書

文献番号
201231155Z