難治性稀少肺疾患(肺胞蛋白症、先天性間質性肺疾患、オスラー病)に関する調査研究

文献情報

文献番号
201231136A
報告書区分
総括
研究課題名
難治性稀少肺疾患(肺胞蛋白症、先天性間質性肺疾患、オスラー病)に関する調査研究
課題番号
H24-難治等(難)-一般-035
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
井上 義一(国立病院機構近畿中央胸部疾患センター 臨床研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 中田 光(新潟大学医歯学総合病 院,生命科学医療センター )
  • 山口 悦郎(愛知医科大学医学部呼吸器・アレルギー内科)
  • 瀬戸口 靖弘(東京医科大学、内科学 第一講座 )
  • 一和多 俊男(東京医科大学八王子医 療センター呼吸器内科 )
  • 海老名 雅仁(東北大学大学院医学系研 究科、呼吸器病態分野 )
  • 長 和俊(北海道大学病院周産母子センター 新生児科学)
  • 田澤 立之(新潟大学医歯学総合病 院,生命科学医療センター )
  • 石井 晴之(杏林大学医学部附属病 院 )
  • 北市 正則(国立病院機構近畿中央 胸部疾患センター、検査科 )
  • 審良 正則(立病院機構近畿中央 胸部疾患センター、放 射線科 )
  • 新井 徹(国立病院機構近畿中央 胸部疾患センター、呼吸器内科学 )
  • 内田 寛治(東京大学医学部・麻酔科学)
  • 木田 博(大阪大学大学院医学系研究科呼吸器・免疫アレルギー内科学講座)
  • 塩谷 隆信(秋田大学大学院医学系研究科保健学専攻)
  • 森崎 裕子(国立循環器病研究センター分子生物学部室長・臨床遺伝)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等克服研究(難治性疾患克服研究)
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
45,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
各難治性稀少肺疾患(肺胞蛋白症:PAP、先天性間質性肺疾患:HILD、オスラー病:HHT)の疫学臨床調査研究により、実態を把握し、標準的診断、治療法(ガイドライン)を確立、国際比較と情報発信。生体材料を用い病態解明を行い新たな診断、治療法を開発。患者と家族の支援と、情報発信。特定疾患としての提言。患者と共に各難治性稀少肺疾患の克服を目指す。
研究方法
肺胞蛋白症:PAP、先天性間質性肺疾患:HILD、オスラー病:HHTに関して、疫学、臨床、基礎的(バイオマーカー、メカニズム、遺伝子)研究を実施する。診断、治療の標準化のためのアンケート調査、各分野合同のワークショップ開催。新たな治療法の開発。患者、家族、友人(理解者)、医療従事者が合同で学ぶ、勉強会を開催し、患者会あるいはその設立の支援を行う(PAP、HHT)。
結果と考察
【PAP】
(1) 「PAPの診断、治療、管理の指針」を改訂発刊した。
(2) 自己免疫性PAP: APAP縦断的予後調査とそれに基づく難治化要因の検討:5年の経過を終えた患者98名の検討。予後因子、環境因子が明らかになった。国際比較を開始。
(3) 全肺洗浄法(WLL)手技の調査と標準化について呼吸器科、麻酔科合同アンケート調査を実施。H25年1月26日、東京にてWLL拠点医療機関候補の呼吸器科医師、麻酔科医師による「第1回肺胞蛋白症に対する全肺洗浄指針作成に関する検討会」を開催。全国から麻酔科医3名を含む30名参加。
(4) GM-CSF吸入治療試験後(35例)の自己免疫性PAP(APAP)患者の予後調査実施。予後因子として%VC関与。
(5) 続発性PAP(SPAP): SPAPの疫学調査と血液内科と合同調査実施。骨髄異形成症候群(MDS)が多くを占めた。H25年2月23日東京にて血液内科と呼吸器内科放射線科医とのSPSPに関する第2回合同ワークショップを開催。出席は27名。
(6) H24念10月20日患者、家族支援のため、第4回PAP勉強会開催(東京)。
(7) PAPホームページ改訂し、情報発信。
(8) APAP (n=15)の血清、BALFの抗GM-CSF自己抗体濃度と重症度を比較した。
(9) APAPの長期経過と血清抗GM-CSF自己抗体濃度を検討。
(10) GM-CSF吸入療法の有効性の予測に血清CYFRAが有用。
(11) GM-CSFレセプターβ鎖欠損による肺胞蛋白症症例の検討。成人発症先天性PAPが明らかとなった。
(12) 線維化のあるAPAP症例の予後の報告。
(13) APAP遺伝子解析(GWAS)プロトコール作成。IRB準備開始。
(14) 東日本大震災による瓦礫粉塵曝露後に発症したSPAP1例、Antisynthetase syndromeに合併したSPAP症例2例検討。
(15) HILD、CPAPの登録と調査の開始。
(16) APAP患者も健常者も低親和性のIgM型自己抗体測定。次世代シークエンサー準備予定。
(17) APAP自WLL数値化モデル作製。
(18) GM-CSF受容体α鎖、IL-3受容体α鎖を中心領域の遺伝子解析。
(19) 新しい国産組み替えGM-CSF製剤開発の支援。
(20) GM-CSFシグナルの免疫調節の検討。
(21) APAPの血清中自己抗体を網羅的に検討。
【HILD】
(1) HILD診療システム構築のため、日本未熟児新生児学会新生児稀有疾患(病態)前方視的サーベイランス事業への登録、電子メール等による先天性間質性肺疾患診断支援の周知を行い、症例発生施設に対して診断に関する情報提供を行った。
(2)定義と名称について検討。SP-B,SP-C、ABC-A3 等の遺伝子以上原因を確認。
(3) 血清SP-D のスクリーニングバイオマーカーの可能性。
(4) Hermansky-Pudlak syndronme (HPS)の検討実施。
【HHT(オスラー病)の研究成果】
(1) HHTの発生頻度や罹病率について遺伝疫学的に検討。本疾患による致死的合併症の予防、治療のための診療ガイドラインを作成し発行。日本においてHHTに関する診療ネットワークの準備を開始。平成24年度疾患概要(日本語、英語)の作成開始。
(2) HHTに合併する肺動静脈奇形(PAVM)の診療実態が明かになった。
(3) H24年12月1日、患者、家族を対象に第1回オスラー病勉強会HHT勉強会を開催した。、また患者会が設立され、第1回オスラー病患者会を支援。
(3) 肺動静脈瘻症例に対するコイル塞栓術の有効性を検討。

結論
疾患は様々な稀少疾患で、様々な専門科を横断する研究が必要であったが、連携し確実な成果が見られた。患者、家族とともに稀少難病を克服する重要性が改めて確認された。

公開日・更新日

公開日
2013-06-09
更新日
-

研究報告書(PDF)

収支報告書

文献番号
201231136Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
58,500,000円
(2)補助金確定額
58,500,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 27,486,574円
人件費・謝金 3,639,631円
旅費 5,769,479円
その他 7,270,178円
間接経費 13,500,000円
合計 57,665,862円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2015-06-10
更新日
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