網膜脈絡膜・視神経萎縮症に関する調査研究

文献情報

文献番号
201231094A
報告書区分
総括
研究課題名
網膜脈絡膜・視神経萎縮症に関する調査研究
課題番号
H23-難治-一般-116
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
小椋 祐一郎(公立大学法人名古屋市立大学 大学院医学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 石橋 達朗(九州大学 大学院医学研究科)
  • 稲谷 大(福井大学 大学院医学研究科)
  • 大鹿 哲郎(筑波大学 大学院医学研究科)
  • 坂本 泰二(鹿児島大学 大学院医学研究科)
  • 白神 史雄(香川大学 大学院医学研究科)
  • 高橋 寛二(関西医科大学 大学院医学研究科)
  • 高橋 政代(理化学研究所)
  • 寺崎 浩子(名古屋大学 大学院医学研究科)
  • 西田 幸二(大阪大学 大学院医学研究科)
  • 村上 晶(順天堂大学 大学院医学研究科)
  • 安川 力(公立大学法人名古屋市立大学 大学院医学研究科)
  • 山本 修一(千葉大学 大学院医学研究科)
  • 湯沢 美都子(日本大学駿河台病院)
  • 吉村 長久(京都大学 大学院医学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等克服研究(難治性疾患克服研究)
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
58,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
難治性・進行性で視力予後不良な疾患である加齢黄斑変性、網膜色素変性などの網膜脈絡膜萎縮をきたす疾患群と視神経萎縮をきたす疾患群を対象としてその実態調査、病態解明、治療法開発を目的とする。
研究方法
(1)加齢黄斑変性は高齢者の主要な失明原因であり近年増加傾向にある重大疾患である。光線力学的療法(PDT)に加え、2009年に抗血管内皮増殖因子(VEGF)療法が導入され、併用療法を含めると治療方法に多様性が生じているため、いずれの治療がより有効であるか病型別に検討した。患者の血液サンプルから遺伝子解析を行う。iPS細胞由来の網膜色素上皮細胞シート移植の臨床研究を進める。また病態解明のための基礎研究も進めている。(2)網膜色素変性症は遺伝性の網膜変性疾患であるが、日本人特有の遺伝子異常が報告されており、遺伝子治療や神経保護治療に向けての基礎となる遺伝子データベースの構築を目指す。また、病態解明、神経保護治療薬、遺伝子治療に関する基礎および臨床研究を進めている。(3)視神経萎縮は緑内障を始めいろいろな病態で発症し、不可逆的障害を残す。網膜神経節細胞のライブイメージング方法を確立する。視神経萎縮の進行阻止のための神経保護治療の開発と、失われた視機能の回復を目的とした幹細胞による網膜再生治療と人工視覚の開発を行っている。
結果と考察
(1)加齢黄斑変性:現在の標準治療である抗血管内皮増殖因子療法や光線力学的療法の治療効果の評価結果を集約し、本研究班内の加齢黄斑変性治療指針作成ワーキンググープで治療指針を作成した。これに基づき治療を行うことで、治療レベルの標準化、向上が期待できる。また、今後の新規治療法などの評価の基準となる。各研究機関において、加齢黄斑変性の病態解明に向けて、基礎研究が行われている。遺伝子解析に基づくテーラーメード医療を目指して患者の血液サンプルを収集している。iPS細胞由来の網膜色素上皮細胞シート移植に関しては、基礎実験が十分に行われ、現在、臨床試験のための倫理審査委員会の承認を得る段階である。(2)網膜色素変性症:多施設で得た患者検体を1施設へ集約・解析するシステムを構築中である。遺伝子治療の臨床研究実施計画について厚生科学審議会で承認され、臨床試験の準備中である。(3)視神経萎縮や網膜変性:蛍光標識神経栄養因子やミトコンドリアを持つマウスを用いて、網膜神経節細胞の軸索輸送のライブイメージ観察が可能となった。ES細胞及びiPS細胞から網膜色素上皮細胞や網膜神経組織への再生の方法が確立しつつあり、移植実験においては、組織学的、電気生理学的評価、行動解析装置による移植組織の機能評価を進めている。人工視覚の実験も進行中である。
結論
加齢黄斑変性に対しては、今後、さらに有効な治療法や予防法開発のための臨床研究、病態解明が進むものと思われる。網膜色素変性や視神経萎縮においては、原因遺伝子の解析やデータベースの構築が進められ、また、遺伝子導入療法も臨床応用に向けて開発中である。萎縮した網膜や視神経の再生医療や人工視覚の臨床応用は、失明患者が熱望するものであり、今後も進展を目指す必要がある。

公開日・更新日

公開日
2013-05-30
更新日
-

研究報告書(PDF)

収支報告書

文献番号
201231094Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
76,050,000円
(2)補助金確定額
76,050,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 38,826,073円
人件費・謝金 848,976円
旅費 1,925,620円
その他 16,899,709円
間接経費 17,550,000円
合計 76,050,378円

備考

備考
自己資金 15円、預金利息 363円

公開日・更新日

公開日
2015-06-10
更新日
-