文献情報
文献番号
201231092A
報告書区分
総括
研究課題名
早期再分極(early repolarization)症候群の病態と遺伝基盤、長期予後に関する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
H23-難治-一般-114
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
鎌倉 史郎(独立行政法人国立循環器病研究センター 臨床検査部)
研究分担者(所属機関)
- 堀江 稔(滋賀医科大学 呼吸循環器内科)
- 草野 研吾(岡山大学 循環器内科)
- 萩原 誠久(東京女子医科大学 循環器内科)
- 杉 薫(東邦大学 循環器内科)
- 清水 昭彦(山口大学 保健学科)
- 清水 渉(独立行政法人国立循環器病研究センター 心臓血管内科)
- 宮本 恵宏(独立行政法人国立循環器病研究センター 予防検診部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等克服研究(難治性疾患克服研究)
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
10,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究では早期再分極(early repolarization)症候群とそれに近似する病態を全国的な規模で集積し、後ろ向きと前向きに予後を観察し、同時に種々の心電図検査、電気生理学検査、遺伝子検査等を行って本症候群の病態、機序と、予後を解明することを目的とした。
研究方法
以下の症例を全国的な規模で登録した。1)Haissaguerreらの定義した早期再分極症候群、すなわち、II,III,aVF誘導とI,aVL,V4-V6誘導のうち、notchまたはslur波形から成る1mm以上の波高のJ波を2誘導以上で有し、心室細動(VF)の既往のある症例、2)VFの既往のあるBrugada症候群、3)VFの既往のないBrugada症候群。全例から突然死家族歴と失神歴を聴取し、高位肋間を含む12誘導心電図、薬物負荷心電図、心エコー図、ホルター心電図、運動負荷検査を、一部の例に加算平均心電図、心磁図、TWA検査を行った。同意の得られた例では電気生理学的検査、遺伝子解析を行った。
結果と考察
3年間で223例(早期再分極症候群:49例、Brugada症候群:174例) を登録できた。平均16±11月の前向き経過観察では、VFを伴う早期再分極症候群49例中の6例と、VFを伴うBrugada症候群47例中7例にICD作動が生じた。遺伝子検査は早期再分極症候群の24例中1例でSCN5A変異が、Brugada症候群では86例中15例にSCN5A変異が指摘された。後ろ向き研究からは、1)早期再分極症候群は性質の異なる2つの病態から構成されていること、2)睡眠中の失神発作、潜在性の前壁誘導でのJ波、高位側壁誘導のJ波が早期再分極症候群の不良な予後予測指標になること、3)Brugada症候群においても早期再分極の合併は不良な予後の予測指標となること、などが判明した。
結論
1)前向き予後調査から、VFの既往がある早期再分極症候群は、VFを伴うBrugada症候群と同様に予後が不良であることが判明した。一方、原因遺伝子はほとんどの症例で不明であった。2) 後ろ向き予後調査から、早期再分極症候群は、Brugada症候群類似の予後不良な病型と、全く病態が異なる予後良好な病型の2つから成立つ疾患群であることが証明された。また、予後は非type 1の前壁早期再分極の有無により決定されていた。
公開日・更新日
公開日
2013-06-09
更新日
-