文献情報
文献番号
201231091A
報告書区分
総括
研究課題名
小児保存期慢性腎臓病患者の長期予後の解明と腎不全進行抑制の治療法の確立
研究課題名(英字)
-
課題番号
H23-難治-一般-113
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
石倉 健司(東京都立小児総合医療センター 腎臓内科)
研究分担者(所属機関)
- 本田 雅敬(東京都立小児総合医療センター )
- 上村 治(あいち小児保健医療総合センター 腎臓科)
- 大橋 靖雄(東京大学医学系研究科 公共健康医学専攻生物統計学分野)
- 服部 元史(東京女子医科大学医学部 腎臓小児科)
- 田中亮二郎(兵庫県立こども病院 腎臓内科)
- 和田 尚弘(静岡県立こども病院 腎臓内科)
- 中西 浩一(和歌山県立医科大学 小児科)
- 伊藤 秀一(国立成育医療研究センター 腎臓・リウマチ・膠原病科)
- 濱崎 祐子(東邦大学医学部 小児腎臓学講座)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等克服研究(難治性疾患克服研究)
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
8,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究は,小児CKD患者の患者登録(レジストリ)システムを構築して小児CKDのコホートを確立し,それに基づく年次調査,およびランダム化比較試験(RCT)を行う.それにより小児CKDの長期予後や合併症,成人期への移行といった疾患の自然史や腎不全進行の危険因子の解明と,腎保護を目的とした治療法を確立することを目的とする.
研究方法
1.小児CKDコホートの確立と追跡調査
平成22年度の小児CKD実態調査で情報収集した小児CKD患者447名からなるコホートを確立し,長期間にわたる継時的な追跡調査を行う体制(高い回収率,連結可能匿名化を行い各施設で個人情報を厳重に管理すると同時に円滑に運用できる体制)を整備した.このコホートに対し,追跡調査を行った.
2.ランダム化比較試験(RCT)
CKDステージ3,4の小児を対象にした,ARB(バルサルタン)と球形吸着炭投与の多施設共同RCTを開始した.対象患者数は両群60名計120名とした.治療期間は2年間,エントリー期間は3年間である.平成23年10月に研究実施計画書を完成し,研究代表者施設の倫理委員会で承認された.さらに臨床研究保険の加入,臨床試験登録(UMINID:000006917)も終了し,同12月から試験開始とした.
個々の研究はヘルシンキ宣言に基づく倫理的原則および各種倫理指針を遵守し,個人情報管理に万全を期して実施した.研究に関し利益相反委員会への申出を行い,研究計画書が倫理委員会で承認された後に研究を開始した.
平成22年度の小児CKD実態調査で情報収集した小児CKD患者447名からなるコホートを確立し,長期間にわたる継時的な追跡調査を行う体制(高い回収率,連結可能匿名化を行い各施設で個人情報を厳重に管理すると同時に円滑に運用できる体制)を整備した.このコホートに対し,追跡調査を行った.
2.ランダム化比較試験(RCT)
CKDステージ3,4の小児を対象にした,ARB(バルサルタン)と球形吸着炭投与の多施設共同RCTを開始した.対象患者数は両群60名計120名とした.治療期間は2年間,エントリー期間は3年間である.平成23年10月に研究実施計画書を完成し,研究代表者施設の倫理委員会で承認された.さらに臨床研究保険の加入,臨床試験登録(UMINID:000006917)も終了し,同12月から試験開始とした.
個々の研究はヘルシンキ宣言に基づく倫理的原則および各種倫理指針を遵守し,個人情報管理に万全を期して実施した.研究に関し利益相反委員会への申出を行い,研究計画書が倫理委員会で承認された後に研究を開始した.
結果と考察
【結果】
アジア圏で唯一となる小児CKD患者から構成されるコホートを確立した.コホート確立後約2年間のフォローアップデータを収集し(平成24年の回収率は95.5%),小児CKDコホートの確立から現在までの,末期腎不全への進行の割合とその危険因子を明らかにする事が出来た.1年間の腎生存率は,ステージ3,4,5それぞれ98.2%,79.6%,42.9%であった.またCoxの比例ハザードモデルによる解析にてCKDのステージのほか奇形症候群,多変量解析で蛋白尿と高血圧が独立した疾患進行のリスク因子であった.
【考察】
小児CKDのコホートを確立し,短期間ではあるが末期腎不全への進行とそのリスク因子を明らかにできた.今後はこのコホートで,より長期の予後や合併症,成人期への移行といった小児CKDの自然史や,疾患進行の危険因子を解明していくことが望まれる.またこの研究基盤を用いた,派生研究が発展していくことも期待される.国際的にも小児保存期CKDの疫学研究は少なく,アジア圏ではこれまで全く報告されていない.欧米とは,おそらく遺伝的な背景からCKDの頻度や疾患構成が異なっていることが知られており,本邦の小児CKDの診療を発展させていく上で,貴重なデータとなることが期待される.
アジア圏で唯一となる小児CKD患者から構成されるコホートを確立した.コホート確立後約2年間のフォローアップデータを収集し(平成24年の回収率は95.5%),小児CKDコホートの確立から現在までの,末期腎不全への進行の割合とその危険因子を明らかにする事が出来た.1年間の腎生存率は,ステージ3,4,5それぞれ98.2%,79.6%,42.9%であった.またCoxの比例ハザードモデルによる解析にてCKDのステージのほか奇形症候群,多変量解析で蛋白尿と高血圧が独立した疾患進行のリスク因子であった.
【考察】
小児CKDのコホートを確立し,短期間ではあるが末期腎不全への進行とそのリスク因子を明らかにできた.今後はこのコホートで,より長期の予後や合併症,成人期への移行といった小児CKDの自然史や,疾患進行の危険因子を解明していくことが望まれる.またこの研究基盤を用いた,派生研究が発展していくことも期待される.国際的にも小児保存期CKDの疫学研究は少なく,アジア圏ではこれまで全く報告されていない.欧米とは,おそらく遺伝的な背景からCKDの頻度や疾患構成が異なっていることが知られており,本邦の小児CKDの診療を発展させていく上で,貴重なデータとなることが期待される.
結論
アジア圏で唯一となる小児CKD患者から構成されるコホートを確立し、フォローアップデータを収集し、腎予後(末期腎不全への進行)とその聞け任氏を明らかにすることができた.小児CKDの治療法の確立に向けてRCTのプロトコールを確定し、全国15施設で倫理委員会の承認も受け、患者エントリーを開始した.
公開日・更新日
公開日
2013-05-30
更新日
-