文献情報
文献番号
201231074A
報告書区分
総括
研究課題名
1p36欠失症候群の実態把握と合併症診療ガイドライン作成
課題番号
H23-難治-一般-095
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
山本 俊至(東京女子医科大学 統合医科学研究所)
研究分担者(所属機関)
- 平澤 恭子(東京女子医科大学 医学部 小児科)
- 前垣 義弘(鳥取大学 医学部 脳神経小児科)
- 松尾 真理(東京女子医科大学 附属遺伝子医療センター)
- 佐藤 康仁(東京女子医科大学 医学部 衛生学公衆衛生学(2)教室)
- 星 佳芳(北里大学 医学部 衛生学教室)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等克服研究(難治性疾患克服研究)
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
7,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
1p36欠失症候群は1番染色体短腕末端のサブテロメア領域の部分欠失が原因となり、重度精神発達遅滞、難治てんかん、突出した下顎や落ち窪んだ眼などの特徴的な症状を示すが、小児科医の間であまり認知されていないため、未診断のままの症例が多く存在する。そこで本邦における実態を把握し、患者の詳細な臨床症状を収集分析し、診断基準・治療指針を確立し、患者のQOLの向上に資することを目的とした。
研究方法
研究方法は次のとおりである。
1. 全国実態調査:全国の患者数を把握するために、関係学会の協力を得て行った全国一次調査を元に二次調査を実施し、患者の症状、発達状況、合併症の有無などについて詳細に把握した。
2. 診断支援と詳細解析:全国調査で明らかになった症例のうち、未診断の症例については診断の支援を行い、既に診断が確定している症例に関してはさらにアレイCGH法による詳細な欠失範囲を同定し、染色体型と臨床症状との関連を明らかにした。
3. 合併症診療ガイドラインの作成:上記の結果を元に診断方法や、合併症診療、療育指導のためのガイドラインを作成し、ホームページを通じて広く公開するとともにハンドブックとして出版した。
4. 患者会の支援と情報発信:初年度に設立を支援した患者家族の会と協同して家族会アンケート調査を行った。また、共同で各年度毎にシンポジウムを開催し、情報を共有し、患者と家族のQOLの向上に努めた。
1. 全国実態調査:全国の患者数を把握するために、関係学会の協力を得て行った全国一次調査を元に二次調査を実施し、患者の症状、発達状況、合併症の有無などについて詳細に把握した。
2. 診断支援と詳細解析:全国調査で明らかになった症例のうち、未診断の症例については診断の支援を行い、既に診断が確定している症例に関してはさらにアレイCGH法による詳細な欠失範囲を同定し、染色体型と臨床症状との関連を明らかにした。
3. 合併症診療ガイドラインの作成:上記の結果を元に診断方法や、合併症診療、療育指導のためのガイドラインを作成し、ホームページを通じて広く公開するとともにハンドブックとして出版した。
4. 患者会の支援と情報発信:初年度に設立を支援した患者家族の会と協同して家族会アンケート調査を行った。また、共同で各年度毎にシンポジウムを開催し、情報を共有し、患者と家族のQOLの向上に努めた。
結果と考察
初年度に行った全国一次調査により84例の症例の存在を確認できた。これらの症例に関して二次調査を実施した。このうち同意が得られた35例に関してアレイCGHによる詳細な欠失領域の解析を行い、染色体型と臨床症状との関連を検討した。疑い症例に関しては、検体の提出のあった9例に関してアレイCGH解析を行い、診断の支援を行った。また、本研究班が設立を支援した患者家族の会と協同して患者家族を対象としたアンケート調査を実施し、医療者ではわからない患者の実態把握を行った。これまでに得られた知見は、研究班が立ち上げたホームページで情報公開するとともに、ハンドブックとして出版した。
結論
これまで本邦における1p36症候群の実態についてはほとんどわかっていなかった。今回全国調査を実施し、100名弱の患者情報の集約ができた。この情報は、研究班が立ち上げたホームページからも逐次情報公開を行っているが、より詳細な内容を誰もが知ることができるようにハンドブックとして出版した。今後は患者とその家族のQOLの向上のために本研究班が立ち上げをサポートした患者家族の会が、より自立した自助組織となって継続していけるよう、サポートしていく予定である。
公開日・更新日
公開日
2013-06-03
更新日
-