呼吸不全に関する調査研究

文献情報

文献番号
201231040A
報告書区分
総括
研究課題名
呼吸不全に関する調査研究
課題番号
H23-難治-一般-024
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
三嶋 理晃(京都大学大学院医学研究科 呼吸器内科学)
研究分担者(所属機関)
  • 西村 正治(北海道大学大学院医学研究科 呼吸器内科学分野呼吸生理学)
  • 中田 光(新潟大学医歯学総合病院 生命科学医療センター)
  • 巽 浩一郎(千葉大学大学院医学研究院 呼吸器内科学)
  • 瀬山 邦明(順天堂大学大学院医学研究科 呼吸器内科学)
  • 赤柴 恒人(日本大学医学部内科学系 睡眠学分野)
  • 別役 智子(慶應義塾大学医学部内科学教室)
  • 長瀬 隆英(東京大学大学院医学系研究科 呼吸器内科学)
  • 玉置 淳(東京女子医科大学 第一内科学講座)
  • 久保 惠嗣(信州大学医学部 内科学第一講座)
  • 谷口 博之(公立陶生病院 呼吸器・アレルギー内科)
  • 伊達 洋至(京都大学大学院医学研究科 呼吸器外科学)
  • 陳 和夫(京都大学大学院医学研究科 呼吸管理睡眠制御学講座)
  • 中西 宣文(国立循環器病研究センター研究所 肺高血圧先端医療学研究部)
  • 井上 義一(国立病院機構近畿中央胸部疾患センター臨床研究センター)
  • 裏出 良博((公財)大阪バイオサイエンス研究所 分子行動生物学部門)
  • 中野 恭幸(滋賀医科大学 呼吸器内科学)
  • 木村 弘(奈良県立医科大学 内科学第二講座)
  • 横山 彰仁(高知大学医学部 血液・呼吸器内科学)
  • 星野 友昭(久留米大学医学部内科学講座 呼吸器・神経・膠原病内科部門)
  • 渡辺 憲太朗(福岡大学医学部 呼吸器内科学講座)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等克服研究(難治性疾患克服研究)
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
33,924,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
呼吸不全を来たす難治性呼吸器疾患である7つの疾患群(若年発症肺気腫(若年発症COPD)、リンパ脈管筋腫症(LAM)、ランゲルハンス細胞組織球症(LCH)、肥満低換気症候群(OHS)、肺胞低換気症候群(PAHS)、肺動脈性肺高血圧症(PAH)、慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH))を横軸とし、疫学・病態解析・診断・原疾患治療を縦軸とする2次元的発想で、呼吸不全の予防と治療の標準化・均てん化を目指す。対象疾患に対する新規薬剤の開発、前向き臨床試験の充実、ガイドラインの作成や、呼吸不全に対する非侵襲的換気・肺移植といった先進医療の標準化などを進め、厚生労働行政の施策への貢献に繋がる研究を行う。
研究方法
呼吸不全を来たす難治性呼吸器疾患に対して、発症機序、病態の解明や治療法の確立につなげるべく、疫学、生理学、病理学、分子生物学、遺伝子学的な多面的アプローチから臨床および基礎研究を実施した。
結果と考察
対象7疾患に対する包括的疫学調査として、独自のホームページを設け、UMINシステムを用いたインターネット経由の症例登録を継続した。また特定疾患であるLAM、肺高血圧症の2疾患(PAH・CTEPH)に対しては、臨床調査個人票を用いた解析も実施した。若年発症COPDに関しては、疫学調査研究により若年発症の患者背景が明らかとなった。また、患者のQOLや予後因子、併存症に関する臨床研究と共に、動物モデルや肺組織を用いた発症機序に関する研究や、病態と治療に関する臨床研究を実施し新たな知見を得た。LAMについては、昨年度に続いて臨床調査個人票を用いた疫学調査により経時的な観察研究を行い、呼吸機能と臨床像との関係などが明らかとなった。病態に関する研究では、血清バイオマーカーの有用性を検討し、治療に関しては、シロリムスの安全性確立のための医師主導治験を継続している。また、本年度も引き続き、患者会と共同で勉強会を開催し、LAMに関する情報提供と相互交流を行った。LCHに関しては、小児血液学会HLH/LCH委員会と共同して疫学調査を実施し、小児と成人の臨床像の相違が明らかとなり、診断基準の改訂やガイドライン作成につなげていく予定である。OHSに関しては、前向き疫学研究により、わが国におけるOHSの頻度や肥満と睡眠呼吸障害との関係など病態が明らかとなってきた。またメタボリックシンドロームとの関係や、治療法に関する研究なども実施した。PAH、CTEPHについては、臨床調査個人票を用いた疫学調査を行い、近年の薬物治療の進歩により予後が改善しつつある可能性が示唆された。また、CTEPHに対する非侵襲的な評価法の開発や新たな治療法としての経皮的肺動脈拡張術の検討を行った。呼吸不全治療に関する研究としては、肺移植適応患者の症例登録を継続して行い、また在宅NPPV療法中の慢性呼吸不全患者の予後とQOLの調査研究に関しては、症例登録を終了して、データ解析を開始した。また、日本呼吸器学会との連携でNPPVガイドライン(第2版)を作成中である。iPS細胞研究については、肺胞上皮細胞への分化誘導の効率化をめざし、今後、対象7疾患の病態の解明・治療薬の開発・再生医療の促進に向けて研究を進めている。
結論
呼吸不全関連7疾患の発症機序、病態、予後との関連や治療に関する、臨床・基礎研究を実施し、多くの新たな知見や成果を得た。

公開日・更新日

公開日
2013-05-24
更新日
-

研究報告書(PDF)

収支報告書

文献番号
201231040Z