文献情報
文献番号
201231035A
報告書区分
総括
研究課題名
ウイリス動脈輪閉塞症の診断・治療に関する研究
課題番号
H23-難治-一般-019
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
橋本 信夫(独立行政法人国立循環器病研究センター)
研究分担者(所属機関)
- 宝金 清博(北海道大学大学院医学研究科神経病態学講座脳神経外科)
- 冨永 悌二(東北大学大学院医学系研究科神経外科学神経科学東北大学)
- 宮本 享(京都大学)
- 鈴木 則宏(慶應義塾大学医学部神経内科学)
- 小泉 昭夫(京都大学大学院医学研究科環境衛生学)
- 中川原 譲二(独立行政法人国立循環器病研究センター)
- 黒田 敏(富山大学医学研究科脳神経外科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等克服研究(難治性疾患克服研究)
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
14,154,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究の目的は第一に家族性もやもや病を端緒としてもやもや病の病因を究明すること、第二に従来の診断治療と疾患進行度の検討として研究班で更新している1000人規模のデータベースを用いて診断治療の検証と厚生労働行政上重要な進行例の頻度や脳微小出血の脳出血転化を大規模に調査する。第三に新規治療法の開発として多施設間前向きランダム化研究であるJAM trialを継続し直接バイパス術の再出血予防効果を検証する。また小児脳梗塞急性期治療の整備、骨髄細胞による再生治療の基礎的検討を行う。第四に 患者日常生活上の重要問題の解決として頭痛妊娠出産管理、高次脳機能障害について検討する。
研究方法
橋本班では従来のもやもや病診断治療ガイドラインを英訳し作成した。2013年度より新たに申請する本研究ではまず本ガイドラインを通じて世界における診断治療の標準化を行うことから開始する。新規3年間の研究主題としては [1] 病因究明 [2] 高次脳機能障害の実態調査と画像研究、[3] 無症候性症例の予後調査、[4] 診断基準改定 とした。[1] 病因究明については家族性もやもや病の遺伝子解析を続行し感受性遺伝子の機能を検討する。 [2]高次脳機能障害のアンケートによる実態調査と神経生理学的手法による機能診断およびiomazenil SPECTによる画像診断を行う。新規治療法の開発としては多施設間前向きランダム化研究であるJAM trialを継続し直接バイパス術の再出血予防効果を検証する。また小児脳梗塞急性期治療の整備や最近発展の著しい骨髄細胞による再生治療の基礎的検討を行う。また、新規研究事業として無症候性症例の登録研究であるAMORE研究を行う。また現在進行中である診断基準改定作業を進行させ、診断書作成の手引きとともに全国への啓蒙活動も行う
結果と考察
平成24年度は、もやもや病に関する新規研究である無症候性もやもや病の新たな多施設共同研究(AMORE)が開始された。また、Japan Adult Moyamoya trial (JAM trial)は2001年度から行われてきたがついに2013年6月に結果が出ることとなった。そして、昨今社会問題となっている、高次脳機能障害に対する臨床研究についてもCognitive functional survey of Moyamoya (COSMO) JAPAN studyとして開始する予定である。また、もやもや病における原因遺伝子であることが示唆されているRNF213に関しては、この変異を持つ患者より採取したfibroblastよりiPS細胞を樹立することができた。もやもや病データベースに関しては、2003年度~2012年度までに、総登録施設30施設より、総計1265症例が登録された。2010年10月1日から2012年9月30日までの1年間に新規登録された症例は73例となり、また同期間中に診察、あるいは画像検査によるフォローが行われた症例は、新規症例を含め384例(総症例中36%)であった。
結論
以上のように、これまで通り、日本のみならず世界において、この研究班がもやもや病の臨床および研究をリードしていくことが期待できる。
公開日・更新日
公開日
2013-06-05
更新日
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