ホルモン受容機構異常に関する調査研究

文献情報

文献番号
201231023A
報告書区分
総括
研究課題名
ホルモン受容機構異常に関する調査研究
課題番号
H23-難治-一般-007
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
森 昌朋(群馬大学 大学院医学系研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 松本 俊夫(徳島大学大学院ヘルスバイオ研究部 生体情報内科学)
  • 赤水 尚史(和歌山県立医科大学 内科学第一講座)
  • 村田 善晴(名古屋大学環境医学研究所 生体適応・防御研究部門 発生・遺伝分野)
  • 廣松 雄治(久留米大学医学部 内科学講座 内分泌代謝内科部門)
  • 大薗 惠一(大阪大学大学院医学研究科 小児学講座 小児学、内分泌学)
  • 杉本 利嗣(島根大学医学部 内科学講座 Ca)
  • 岡崎 亮(帝京大学ちば総合医療センター)
  • 田中 祐司(防衛医科大学校 総合臨床部)
  • 福本 誠二(東京大学医学部附属病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等克服研究(難治性疾患克服研究)
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
22,770,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では、ホルモン受容機構異常に起因する難病とその関連疾患の解析を行う。主な甲状腺関連疾患と、副甲状腺部会での主な課題の研究により患者実態を把握するとともに基礎、臨床の両面から研究を発展、融合させ病因と病態の解明、さらに診断基準の作成、治療法の確立を行うことを目的として研究を行った。これらのホルモン受容機構異常は、早期発見、治療により良好な予後が期待されるため、的確な診断、治療指針が求められた。また、これらの疾患病態の解明は、ホルモン作用の異常に基づく広汎な疾患の病態解明や診断、治療法の開発にも寄与し、幅広い社会貢献が期待される。
研究方法
甲状腺ホルモン、TSH、副甲状腺ホルモン(PTH)、活性型ビタミンDなどのホルモン作用による受容体と細胞内情報伝達系のin vitro解析およびこれらの受容機構異常の疾患モデルとなる遺伝子改変動物の解析に基づき、病態の理解や新規治療法の開発への基盤を築く。そして、これらの情報に立脚して臨床例の病態解析、遺伝子異常の診断法やホルモン血中濃度測定系の確立のみならず、診断基準や診断指針の策定を行った。甲状腺と副甲状腺両分野における基礎、臨床の情報の統括や臨床サンプルの共有などについて調整は主に主任研究者が行った。
結果と考察
本調査研究事業では、ホルモン受容機構異常に起因する難病とその関連疾患の解析を行う。甲状腺部会での主な課題として(1)甲状腺クリーゼの診療ガイドライン作成、(2)バセドウ病眼症の診断・治療に関する研究、(3)粘液水腫性昏睡の診断・治療指針の作成、(4)甲状腺ホルモン不応症の診断基準作製、(5) 甲状腺ホルモン受容体に異常を認めない甲状腺ホルモン不応症の解析、(6)TSH受容体異常症マウスの解析、(7)甲状腺ホルモン受容体および転写因子の解析、(8)TSH受容体遺伝子異常の解析がある。副甲状腺部会での主な課題として(1)ビタミンD不足・欠乏症のガイドライン作成、(2)血清カルシウム、リン制御機構の研究、(3)偽性副甲状腺機能低下症の病態、診断に関する研究、(4)くる病/骨軟化症の診断指針の改訂、(5)X連鎖性低リン血症性くる病における骨細胞の研究、(6)常染色体優性低カルシウム血症の検討、(7)骨吸収抑制剤のビタミンD代謝への影響、(8)ビタミンD不足における骨脆弱性の研究がある。これらの疾患の患者実態を把握するとともに基礎、臨床の両面から研究を発展し、融合させることにより病因と病態の解明を行い、さらに診断基準の作成、治療法の確立を行うことを目的として研究を遂行した。また、一般医家などへの周知と理解を深めるために、甲状腺クリーゼとバセドウ病眼症、粘液水腫性昏睡と甲状腺ホルモン不応症、ビタミンD欠乏症と副甲状腺機能低下症について、一般公開講座を実施した。
結論
本年度の調査研究事業で、甲状腺関連疾患では(1)甲状腺クリーゼの診療ガイドライン作成、(2)バセドウ病眼症の病因、診断、治療に関する研究、(3)粘液水腫性昏睡の診断基準作成、(4)甲状腺ホルモン不応症の診断基準作成、(5) 甲状腺ホルモン受容体に異常を認めない甲状腺ホルモン不応症の解析、(6)TSH受容体異常症マウスの解析、(7)甲状腺ホルモン受容体および転写慎重因子の解析、(8)TSH受容体遺伝子異常の解析を行った。また、副甲状腺関連疾患として(1)ビタミンD不足・欠乏症のガイドライン作成、(2)血清カルシウム、リン制御機構の研究、(3) 偽性副甲状腺機能低下症の病態、診断に関する研究、(4)くる病/骨軟化症の診断指針の改訂、(5)X連鎖性低リン血症性くる病における骨細胞の研究、(6)常染色体優性低カルシウム血症の検討、(7)骨吸収抑制剤のビタミンD代謝への影響、(8)ビタミンD不足における骨脆弱性の研究を行った。これらの研究によりホルモン受容機構異常による患者実態が把握され、さらに基礎、臨床の両面から研究を発展、融合させることにより病因と病態の解明を行い、さらに診断基準の作成が順調に進んでいる。今後治療法の確立を含め進めていく予定である。

公開日・更新日

公開日
2013-06-25
更新日
-

研究報告書(PDF)

収支報告書

文献番号
201231023Z