難治性血管炎に関する調査研究

文献情報

文献番号
201231020A
報告書区分
総括
研究課題名
難治性血管炎に関する調査研究
課題番号
H23-難治-一般-004
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
槇野 博史(岡山大学 腎・免疫・内分泌代謝内科学)
研究分担者(所属機関)
  • 有村義宏(杏林大学第一内科/腎臓・リウマチ・膠原病学)
  • 種本和雄(川崎医科大学心臓血管外科)
  • 藤元昭一(宮崎大学医学部血液・血管先端医療学講座)
  • 岡田保典(慶應義塾大学医学部病理学・病理学)
  • 針谷正祥(東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科薬害監視学)
  • 藤井隆夫(京都大学大学院医学研究科内科学講座臨床免疫学)
  • 和田隆志(金沢大学大学院医学系研究科 血液情報統御学)
  • 天野宏一(埼玉医科大学総合医療センターリウマチ膠原病内科)
  • 高崎芳成(順天堂大学医学部膠原病内科学講座)
  • 山田秀裕(聖マリアンナ医科大学リウマチ・膠原病・アレルギー内科)
  • 本間 栄(東邦大学医学部医学科内科学講座(大森))
  • 土橋浩章(香川大学医学部内分泌代謝・血液・免疫・呼吸器内科)
  • 伊藤 聡(新潟県立リウマチセンターリウマチ科)
  • 磯部光章(東京医科歯科大学大学院循環制御内科学)
  • 古森公浩(名古屋大学大学院医学系研究科機能構築医学専攻病態外科学講座血管外科学分野)
  • 小室一成(大阪大学大学院医学系研究科循環器内科学)
  • 中村浩士(山口大学医学部地域医療推進学講座)
  • 石津明洋(北海道大学大学院保健科学研究院病態解析学分野)
  • 土屋尚之(筑波大学医学医療系分子遺伝疫学)
  • 長谷川均(愛媛大学大学院生体統御内科学)
  • 岩月啓氏(岡山大学大学院医歯薬学総合研究科皮膚科学分野)
  • 竹内 勤(慶應義塾大学医学部リウマチ内科)
  • 小林茂人(順天堂大学附属順天堂越谷病院内科)
  • 平橋淳一(東京大学医学部附属病院腎臓内分泌内科)
  • 濱野慶朋(東京都健康長寿医療センター 腎臓内科)
  • 佐田憲映(岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 腎・免疫・内分泌代謝内科学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等克服研究(難治性疾患克服研究)
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
49,600,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
血管炎は血管壁の炎症を基盤としてもたらされる多様な臨床病態で,その病因・病態の究明は依然として進展していない.しばしば重要臓器障害により重篤となるが,有効な治療法は確立されていない.このような難治性血管炎の克服のためには,臨床医と基礎研究者が有機的に連携し,現在の治療実態を明らかにした上で,診断および活動性・重症度の評価法を向上させ,多施設臨床試験によるエビデンス構築を通してより有効性の高い治療法を確立しなければならない.そのためには,厚生労働省により支援された牽引的研究体制の維持が望まれる.
研究方法
本研究では,血管炎診療に携わる膠原病内科医,腎臓内科医,呼吸器内科医,皮膚科医,循環器内科医,血管外科医,病理医,さらに先端的研究を展開する基礎研究者からなる学際的研究班を組織する.中・小型血管炎,大型血管炎,基礎・病理,および国際研究協力分科会の各分科会から構成され,血管炎データベースを利用した難治性血管炎の治療標準化のための臨床試験の展開,大型血管炎の診断・治療の向上と血管再生治療の開発,動物モデルを用いた血管炎の病因・病態の解明,ヒト血管炎における病因・病態の解析,国際共同研究の推進などに取り組み,最終年度に研究成果を統合し,治療指針の策定と診療マニュアルの発刊を行う.
このような臨床・基礎連携による質の高い診断法と治療指針の策定は,実地診療における血管炎の早期診断と治療標準化に資する.血管炎データベースを用いたこれまでの研究成果の解析と新たな臨床研究の展開により,我が国における血管炎研究に基づいたエビデンスが世界に発信される.また,ゲノム医科学など先端技術を用いた基礎研究により診断と活動性・重症度評価ツールの開発が期待され,多施設前向き臨床試験の実施・解析によりわが国の血管炎患者に即した治療エビデンスが確立される.本研究は,関連する指針を遵守した上で実施される.
結果と考察
これまでの研究成果を基に、欧米での血管炎に関する新分類・新名称の検討に当班からも参画し、高安病・川崎病などわが国で発見された血管炎の名称を継続させることが出来た。また新たに提唱された英語名Eosinophilic granulomatosis with polyangiitis (Chrug Strauss)、 Granulomatosis with polyangiitis (Wegener’s)に対応する日本語病名を関連学会と協議しそれぞれ「好酸球性多発血管炎性肉芽腫症」、「多発血管炎性肉芽腫症」と決定し日本医学会用語委員会に提案し承認されている。
結論
本研究により、わが国の血管炎データベースの構築ができ、治療実態の評価と前向き臨床試験の実施が可能となった。今後、血管炎の診断、再燃の危険因子、寛解導入治療、寛解維持療法に関する質の高いエビデンスを世界に発信することができる。またこれらの成果をもとに臨床調査個人票の改訂を予定している。
大型血管炎についても前向き観察コホート研究および個人調査票の集計によって、我が国の高安動脈炎の現状を把握し、必要に応じて診断基準の見直しのための資料とすることが出来る。また、高安動脈炎の新しい診断・治療法を開発し臨床に還元することが期待できる。
日本人集団におけるANCA関連・非関連血管炎の疾患感受性遺伝子の解明は、難治性血管炎の本質的な病因・病態解明や将来のゲノム医療の構築に大きな基盤を提供する。また、血管炎発症・進展因子や血管組織破壊因子に関する情報は血管炎の予防・治療に大きく寄与し、皮膚血管炎のレポジトリは血管炎症候群・血管病変の研究や診療に活用されることが期待される。
国際的な血管炎の分類・診断基準作成に関する研究に参画することで、わが国の血管炎患者の病態を国際的な基準に反映させると共に、我が国の血管炎の診断および治療法へ還元できる。さらに、国際臨床試験PEXIVASに登録することで国際的な臨床試験の成績の比較から我が国の治療指針を得ることができる。
平成25年度にはこれまでの研究成果に基づいてANCA関連血管炎の診療ガイドラインの改訂を予定している。

公開日・更新日

公開日
2013-05-24
更新日
-

研究報告書(PDF)

収支報告書

文献番号
201231020Z