文献情報
文献番号
201229020A
報告書区分
総括
研究課題名
アトピー性皮膚炎の発症・症状の制御および治療法の確立普及に関する研究
課題番号
H23-免疫-一般-008
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
古江 増隆(九州大学 医学研究院)
研究分担者(所属機関)
- 玉利 真由美(理化学研究所ゲノム医科学研究センター呼吸器疾患研究チーム)
- 中村 晃一郎(埼玉医科大学皮膚科)
- 大矢 幸弘(国立成育医療研究センター生体防御系内科部アレルギー科)
- 稲垣 直樹(岐阜薬科大学機能分子学大講座薬理学研究室)
- 菅谷 誠(東京大学大学院医学系研究科 皮膚科学)
- 佐伯 秀久(東京慈恵会医科大学皮膚科)
- 秀 道広(広島大学大学院医歯薬保健学研究院皮膚科学)
- 高森 建二(順天堂大学大学院環境医学研究所 皮膚科学)
- 相馬 良直(聖マリアンナ医科大学皮膚科学)
- 浜崎 雄平(佐賀大学医学部小児科学)
- 竹内 聡(九州大学大学院医学研究院皮膚科学分野)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等克服研究(免疫アレルギー疾患等予防・治療研究)
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
13,650,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
アトピー性皮膚炎(AD)の増悪因子でもある“炎症性痒みメカニズム”の解明のため、我々は免疫・神経生理学的方面双方からアトピー性皮膚炎のかゆみの病態の理解と制御をすすめたい。またアトピー性皮膚炎治療の標準化と普及のため、本研究結果も含め一般・患者向け教育ウェブサイトのアップデートを行う。
研究方法
基礎研究では、マウス・ラットモデルを用いて、かゆみ知覚およびADの治療法の抗かゆみメカニズムの解明、および新規治療薬の開発を行った。
臨床研究では、2001年から行っている九州大学石垣島児童検診コホートでの検診、アンケート、採血検査、ADが睡眠や就労に与える影響、ADのかゆみと相関する生理活性物質の同定、ADの発汗性かゆみに対するスキンケア法の開発、ADのかゆみにおける樹状細胞の役割の解明、小児ADに対するproactive治療に関する研究を行った。
臨床研究では、2001年から行っている九州大学石垣島児童検診コホートでの検診、アンケート、採血検査、ADが睡眠や就労に与える影響、ADのかゆみと相関する生理活性物質の同定、ADの発汗性かゆみに対するスキンケア法の開発、ADのかゆみにおける樹状細胞の役割の解明、小児ADに対するproactive治療に関する研究を行った。
結果と考察
基礎研究では動物モデルでかゆみ特異的神経経路を同定し、かゆみ治療に有効な紫外線療法やプロトピック軟膏の抗かゆみメカニズムの理解を深め、またアトピー性皮膚炎で最近注目のIL-33に対する抗体治療や植物タデアイのメタノール抽出物の抗皮膚炎効果など臨床応用可能な治療効果を発見した。
遺伝疫学研究では、石垣島のコホート研究で罹患危険因子として本人の気管支喘息や卵アレルギー父や同胞のAD歴などが判明し、卵アレルギーと重症度の相関がわかった。また数千人規模のAD群の網羅的遺伝関連解析(GWAS)で、これまでヨーロッパや中国の大規模GWASで判明していた7領域に加え、新たに8領域を同定した。
臨床研究では、ADが患者の仕事生産性や活動性に週買いを及ぼすこと、かゆみ関連物質としてAD重症度マーカーであるTARCやIL-31が関連すること、AD患者由来の樹状細胞がTh2ケモカインであるTARCを産生しやすいこと、かゆみの原因となる患者汗抗原を不活化するタンニン酸含有入浴剤がADのかゆみを抑制することを発見した。また、小児ADと卵アレルギーの関連を見るため、臨床試験に使用する試験食品の開発プロセスを完了した。
遺伝疫学研究では、石垣島のコホート研究で罹患危険因子として本人の気管支喘息や卵アレルギー父や同胞のAD歴などが判明し、卵アレルギーと重症度の相関がわかった。また数千人規模のAD群の網羅的遺伝関連解析(GWAS)で、これまでヨーロッパや中国の大規模GWASで判明していた7領域に加え、新たに8領域を同定した。
臨床研究では、ADが患者の仕事生産性や活動性に週買いを及ぼすこと、かゆみ関連物質としてAD重症度マーカーであるTARCやIL-31が関連すること、AD患者由来の樹状細胞がTh2ケモカインであるTARCを産生しやすいこと、かゆみの原因となる患者汗抗原を不活化するタンニン酸含有入浴剤がADのかゆみを抑制することを発見した。また、小児ADと卵アレルギーの関連を見るため、臨床試験に使用する試験食品の開発プロセスを完了した。
結論
平成24年度の本研究によって基礎的、臨床的に多くの新知見が得られ、一部は近く臨床応用の可能性が高いものも含まれる。これらの新知見も踏まえながら、患者教育ウェブサイトの充実を図りたい。
公開日・更新日
公開日
2013-05-15
更新日
-