文献情報
文献番号
201229016A
報告書区分
総括
研究課題名
NSAIDs過敏気道疾患の病因、発症機序解明とガイドライン作成に関する研究
課題番号
H23-免疫-一般-004
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
谷口 正実(独立行政法人国立病院機構相模原病院 臨床研究センター)
研究分担者(所属機関)
- 成宮 周(京都大学医学研究科)
- 長瀬 隆英(東京大学医学部附属病院)
- 玉利 真由美(理化学研究所 ゲノム医科学研究センター呼吸器疾患研究チーム)
- 藤枝 重治(福井大学医学部感覚運動医学講座)
- 春名 眞一(獨協医科大学耳鼻咽喉)
- 相原 道子(横浜市立大学大学院医学研究科環境免疫病態皮膚科学)
- 岡野 光博(岡山大学大学院医歯薬学総合研究科耳鼻咽喉)
- 磯谷 澄都(藤田保健衛生大学医学部 医学部・呼吸器内科学I)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等克服研究(免疫アレルギー疾患等予防・治療研究)
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
16,340,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
以下の項目のごとく、多角的かつ国際的な評価に耐えうる高いレベルのアプローチで病因病態の解明を本格的に行い、国内外に情報発信する。
1)NSAIDs不耐症の有症率、日欧臨床像比較、難治化機序:①NSAIDs過敏症の全国実態調査、②日本人AIAの自然史や特異性、③日本人成人喘息の難治化因子、④AIA難治化機序の解明
2)GWAS遺伝子解析、メタ解析
3)病因病態解明:①AIA類似細胞モデルにおける病態解析、特にPGE2によるEP3経路依存型病態仮説(成宮仮説)の証明、②CysLT系KOマウスを用いた病態解明 AIAに認めるエイコサノイド不均衡、③CysLTs過剰産生病態解明、④PGE2低下とCOX2低下仮説の提唱、⑤抗炎症性メディエーターLXsの産生抑制と尿検体を用いた診断の可能性、⑥LTE4分解障害仮説、⑦炎症担当細胞の研究、好塩基球の関与
4)AIA鼻茸病態からの検討:①プロテオーム解析、②IL22の関与、③NO、④鼻茸手術後のアスピリン過敏性減弱
5)NSAIDs不耐蕁麻疹の病態解明
6)診断治療の手引きの作成改定とHP上の公開
7)NSAIDs不耐症に関する国際刊行物の発行(Springer社)
1)NSAIDs不耐症の有症率、日欧臨床像比較、難治化機序:①NSAIDs過敏症の全国実態調査、②日本人AIAの自然史や特異性、③日本人成人喘息の難治化因子、④AIA難治化機序の解明
2)GWAS遺伝子解析、メタ解析
3)病因病態解明:①AIA類似細胞モデルにおける病態解析、特にPGE2によるEP3経路依存型病態仮説(成宮仮説)の証明、②CysLT系KOマウスを用いた病態解明 AIAに認めるエイコサノイド不均衡、③CysLTs過剰産生病態解明、④PGE2低下とCOX2低下仮説の提唱、⑤抗炎症性メディエーターLXsの産生抑制と尿検体を用いた診断の可能性、⑥LTE4分解障害仮説、⑦炎症担当細胞の研究、好塩基球の関与
4)AIA鼻茸病態からの検討:①プロテオーム解析、②IL22の関与、③NO、④鼻茸手術後のアスピリン過敏性減弱
5)NSAIDs不耐蕁麻疹の病態解明
6)診断治療の手引きの作成改定とHP上の公開
7)NSAIDs不耐症に関する国際刊行物の発行(Springer社)
研究方法
研究目的に含む
結果と考察
1)NSAIDs不耐症の有症率、日欧臨床像比較、難治化機序:①NSAIDsアレルギーの全国実態調査:30歳から50歳代で15%で肥満患者に多かった、②日本人AIAの臨床像:欧州と比較し概ね同様の傾向であった、③NSAIDs過敏性が強い難治化因子:女性の非アトピー型では、OR26と強い因子、④AIAの難治化機序:難治例ではU-LTE4と末梢血好酸球数が高値で、アトピー素因はむしろ抑制因子。
2)AIA患者の遺伝子解析:GWASでの最も強い関連はrs7277220において認められた(P=8.72x10-8)。メタ解析において計5つのSNPsでP<1x10-4の強さの関連を認めた。
3)病因病態解明:①AIA類似細胞モデル:気道上皮細胞でTh2サイトカインがPGE2を産生し、このPGE2がEP3受容体に働き、MCP-1誘導を抑制した、②CysLT系KOマウスを用いた病態解析:LTB4受容体とCys LT受容体は、異なる生理活性を示した、AIA患者に認めるエイコサノイド不均衡、③CysLTs過剰産生は十分条件ではないことが判明、④PGE2低下:気道局所だけでなく、全身性のPGE2産生低下が証明された。AIAの本質はPGE2産生を制御するCOX2活性の低下と仮説した、⑤抗炎症性メディエーターLXsの産生抑制:AIA群は有意に低値でLTE4/15epi-LX比は有意に高値であった。AIA診断にLTE4/15-epi-LXA4が非常に有用、⑥LTE4優位病態(分解障害?)の可能性、⑦AIA患者の炎症担当細胞、好塩基球関与は否定的:AIA安定期は有意に好塩基球の活性化が少なく、誘発時にはさらに減少
4)鼻茸病態からの検討:①AIA患者の鼻茸のプロテオーム解析: L-plastinとE. lysophospholipase が有意発現として同定。新規治療薬の標的にできる可能性がある、②AIA鼻茸にIL22が関与していることを証明、③鼻腔経由NOは有意に好酸球性副鼻腔炎が高かった、④鼻茸手術後のアスピリン過敏性が減弱した。鼻茸は過敏制御臓器と判明
5)NSAIDs不耐症の病態解明:NSAID不耐蕁麻疹では、FDP, D-ダイマー,PAF,β-TGが異常値を示した。
6)NSAIDs不耐症、診断治療の手引きの作成改定とHP上の公開。すでに独立行政法人国立病院機構相模原病院 臨床研究センターHP作成した内容(医師向け、患者向け)を新しい知見など取り入れ、リニューアル。
7)NSAIDs不耐症に関する国際刊行物、国際的な診断治療指針の発行(米国Springer社から)の予定
2)AIA患者の遺伝子解析:GWASでの最も強い関連はrs7277220において認められた(P=8.72x10-8)。メタ解析において計5つのSNPsでP<1x10-4の強さの関連を認めた。
3)病因病態解明:①AIA類似細胞モデル:気道上皮細胞でTh2サイトカインがPGE2を産生し、このPGE2がEP3受容体に働き、MCP-1誘導を抑制した、②CysLT系KOマウスを用いた病態解析:LTB4受容体とCys LT受容体は、異なる生理活性を示した、AIA患者に認めるエイコサノイド不均衡、③CysLTs過剰産生は十分条件ではないことが判明、④PGE2低下:気道局所だけでなく、全身性のPGE2産生低下が証明された。AIAの本質はPGE2産生を制御するCOX2活性の低下と仮説した、⑤抗炎症性メディエーターLXsの産生抑制:AIA群は有意に低値でLTE4/15epi-LX比は有意に高値であった。AIA診断にLTE4/15-epi-LXA4が非常に有用、⑥LTE4優位病態(分解障害?)の可能性、⑦AIA患者の炎症担当細胞、好塩基球関与は否定的:AIA安定期は有意に好塩基球の活性化が少なく、誘発時にはさらに減少
4)鼻茸病態からの検討:①AIA患者の鼻茸のプロテオーム解析: L-plastinとE. lysophospholipase が有意発現として同定。新規治療薬の標的にできる可能性がある、②AIA鼻茸にIL22が関与していることを証明、③鼻腔経由NOは有意に好酸球性副鼻腔炎が高かった、④鼻茸手術後のアスピリン過敏性が減弱した。鼻茸は過敏制御臓器と判明
5)NSAIDs不耐症の病態解明:NSAID不耐蕁麻疹では、FDP, D-ダイマー,PAF,β-TGが異常値を示した。
6)NSAIDs不耐症、診断治療の手引きの作成改定とHP上の公開。すでに独立行政法人国立病院機構相模原病院 臨床研究センターHP作成した内容(医師向け、患者向け)を新しい知見など取り入れ、リニューアル。
7)NSAIDs不耐症に関する国際刊行物、国際的な診断治療指針の発行(米国Springer社から)の予定
結論
1)AIAが成人喘息の最も難治化因子であった。それにはCysLT過剰産生が強く関与していた。またAIAの日欧比較ができた。
2)AIA細胞モデルで新規成宮仮説を提唱し、新しい機序を見出した。
3)新規遺伝子多型が見出された。
4)AIAではCysLTs産生亢進とLXs産生低下、PGE2低下が基礎病態であり、本質はCOX2低下であると仮説できた。
5)鼻茸研究で新知見が得られた。
6)情報発信:HP上に新規情報を公開し、初の国際的なAIAに関する刊行物(国際指針となる海外教科書 Springer社 国内外30名以上の執筆陣)の来年発刊の準備を責任編集者として開始した。
など、多くの国際的な高いレベルの新知見が得られ、情報を発信した。
2)AIA細胞モデルで新規成宮仮説を提唱し、新しい機序を見出した。
3)新規遺伝子多型が見出された。
4)AIAではCysLTs産生亢進とLXs産生低下、PGE2低下が基礎病態であり、本質はCOX2低下であると仮説できた。
5)鼻茸研究で新知見が得られた。
6)情報発信:HP上に新規情報を公開し、初の国際的なAIAに関する刊行物(国際指針となる海外教科書 Springer社 国内外30名以上の執筆陣)の来年発刊の準備を責任編集者として開始した。
など、多くの国際的な高いレベルの新知見が得られ、情報を発信した。
公開日・更新日
公開日
2013-05-22
更新日
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