金属アレルギーの革新的診断・予防・治療法の開発研究

文献情報

文献番号
201229004A
報告書区分
総括
研究課題名
金属アレルギーの革新的診断・予防・治療法の開発研究
課題番号
H22-免疫-一般-004
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
小笠原 康悦(東北大学 加齢医学研究所加齢制御研究部門生体防御学分野)
研究分担者(所属機関)
  • 鈴木 隆二((独)国立病院機構・相模原病院・臨床研究センター)
  • 宮地良樹(京都大学大学院医学研究科 皮膚科学)
  • 戸倉新樹(浜松医科大学 医学部 皮膚科学)
  • 松永佳世子(藤田保健衛生大学 医学部 皮膚科学)
  • 大津浩(東北大学大学院工学研究科 医工学)
  • 平澤典保(東北大学大学院薬学研究科 病態薬理学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等克服研究(免疫アレルギー疾患等予防・治療研究)
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
18,375,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
金属アレルギーT細胞依存性の疾患と考えられているものの、金属アレルギー発症の分子機構は未だ分かっていない。本研究は金属アレルギー発症の分子機構を明らかにし、アレルギーの新規診断、予防、治療法の開発することを目的とする。 Specific Aimとして以下を設定する。1金属アレルギー病因論の追究(モデル動物からのアプローチ)2新規診断法と治療法の開発へ向けた理論的基盤の確立(疾患からのアプローチ)3金属の溶出量の測定と新材料開発の基盤研究(材料からのアプローチ)
研究方法
1金属アレルギー病因論の追究。金属アレルギーマウスモデルを用いて炎症局所の病理解析した。炎症局所および所属リンパ節リンパ球を採取し、T細胞レパートリーを解析した。2新規診断法と治療法の開発へ向けた理論的基盤の確立。金属アレルギーの実態を全国規模で調査した。また、医療従事者向けにワークショップを開催した。一般向けの広報活動を行う。3金属の溶出量の測定と新材料開発の基盤研究。アトピー性皮膚炎患者の汗中の金属濃度を測定した。
結果と考察
1ヒト金属アレルギーに酷似した病型をもつ動物モデルの樹立に成功した。ニッケルアレルギーモデルマウス、パラジウムアレルギーモデルマウスにおいてT細胞の浸潤を認め、特定のT細胞受容体をもつ金属特異的T細胞が存在することが明らかとなった。2金属アレルギー患者は増加の傾向を示した。 一般向けの金属アレルギーの注意喚起を行った。3内因性アトピー性皮膚炎や汗アレルギーでは汗中の金属濃度が高い傾向を認めた。
結論
・ヒト病態にきわめて類似したモデルを樹立できた。・金属アレルギーは金属特異的T細胞の免疫反応である。金属特異的T細胞の存在が示された。・金属アレルギー全国調査で患者は増加傾向にあった。・汗中の金属濃度測定は診断に役立つ可能性を認めた。

公開日・更新日

公開日
2013-05-22
更新日
-

研究報告書(PDF)

文献情報

文献番号
201229004B
報告書区分
総合
研究課題名
金属アレルギーの革新的診断・予防・治療法の開発研究
課題番号
H22-免疫-一般-004
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
小笠原 康悦(東北大学 加齢医学研究所加齢制御研究部門生体防御学分野)
研究分担者(所属機関)
  • 鈴木 隆二(国立病院機構 相模原病院 臨床研究センター)
  • 宮地 良樹(京都大学大学院医学系研究科 皮膚科学分野)
  • 戸倉 新樹(浜松医科大学 医学部 皮膚科学講座)
  • 松永 佳世子(藤田保健衛生大学 医学部 皮膚科)
  • 平澤 典保(東北大学大学院 薬学研究科 病態薬理学)
  • 大津 浩(東北大学大学院 工学研究科 医工学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等克服研究(免疫アレルギー疾患等予防・治療研究)
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
金属アレルギーT細胞依存性の疾患と考えられているものの、金属アレルギー発症の分子機構は未だ分かっていない。本研究は金属アレルギー発症の分子機構を明らかにし、アレルギーの新規診断、予防、治療法の開発することを目的とする。 Specific Aimとして以下を設定する。1金属アレルギー病因論の追究(モデル動物からのアプローチ)2新規診断法と治療法の開発へ向けた理論的基盤の確立(疾患からのアプローチ)3金属の溶出量の測定と新材料開発の基盤研究(材料からのアプローチ)
研究方法
1金属アレルギー病因論の追究。ヒトにより近い金属アレルギーマウスモデルの開発を試みた。炎症局所および所属リンパ節リンパ球を解析した。マーモセットの解析手法の開発を試みた。2新規診断法と治療法の開発へ向けた理論的基盤の確立。金属アレルギーの実態を全国規模で調査した。また、医療従事者向けにワークショップを開催した。リンパ球刺激試験の改良を試みた。3金属の溶出量の測定と新材料開発の基盤研究。皮膚炎患者の汗中の金属濃度を測定した。
結果と考察
1ヒト金属アレルギーに酷似した病理型をもちT細胞の浸潤を認める動物モデルの樹立に成功した。ドレス細胞と呼ばれる細胞を発見した。マーモセットリンパ球が解析できる環境となった。2金属アレルギー患者は増加の傾向を示した。リンパ球刺激試験はまだ改良の余地がある。 3汗中の金属濃度が高い皮膚炎患者を認めた。
結論
・金属アレルギーは金属特異的T細胞の免疫反応である。T細胞は金属の認識に関与している。・金属アレルギー全国調査で患者は増加傾向にあった。・汗中の金属濃度測定は診断に役立つ可能性を認めた。

公開日・更新日

公開日
2013-05-22
更新日
-

研究報告書(PDF)

行政効果報告

文献番号
201229004C

成果

専門的・学術的観点からの成果
ヒト金属アレルギーに酷似した病型をもつ動物モデルの樹立に成功し、金属アレルギーがT細胞依存性の疾患であること、また、金属特異的に反応するT細胞を特定した。金属アレルギーなどの遅延型アレルギーを抑制するドレス細胞と呼ばれる細胞を発見した。この結果は、革新的治療法の開発につながる成果である。
臨床的観点からの成果
全国規模の金属アレルギー実態調査を行ったところ、金属アレルギー患者は増加の傾向を示した。原因金属は、ニッケル、コバルト、クロムであり、原因製品としては、ネックレス、ピアスなどであった。汗中の金属濃度の測定技術を開発した結果、皮膚炎患者の中で汗中の金属濃度が高い患者を認めた。さらに、歯科と皮膚科の連携ワークショップを行い、医療従事者への情報提供を行った。
ガイドライン等の開発
ガイドラインの開発には至らなかったが、金属アレルギーQ&A集の作成を行っているところである。
その他行政的観点からの成果
歯科と皮膚科の連携ワークショップを行い、医療従事者への情報提供を行った。全国規模の金属アレルギー実態調査を行ったところ、金属アレルギー患者は増加の傾向を示した。原因金属は、ニッケル、コバルト、クロムであり、原因製品としては、ネックレス、ピアスなどであった。
その他のインパクト
全国規模の金属アレルギー実態調査の結果は新聞等で取り上げられた(2012年5月)。また、金属アレルギーなどの遅延型アレルギーを抑制するドレス細胞と呼ばれる細胞を発見した。この結果は、革新的治療法の開発につながる成果であり、新聞等に取り上げられた(2011年11月)。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
37件
その他論文(和文)
5件
その他論文(英文等)
4件
学会発表(国内学会)
16件
学会発表(国際学会等)
15件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
2件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
1. Nakayama M, Kurokawa K, Nakamura K et. al
Inhibitory receptor paired Ig-like receptor B is exploited by Staphylococcus aureus for virulence.
J Immunol , 189 (12) , 5903-5911  (2012)
原著論文2
2. Kitaura K, Fujii Y, Matsutani T et al.
A new method for quantitative analysis of the T cell receptor V region repertoires in healthy common marmosets by microplate hybridization assay.
J Immunol Methods , 384 (1) , 81-91  (2012)
原著論文3
3. Kurane I, Matsutani T, Suzuki R et al.
T-cell responses to dengue virus in humans.
Trop Med Health. , 39 (4) , 45-51  (2012)
原著論文4
13. Ohsawa, Y., Hirasawa, N.
The antagonism of histamine H1 and H4 receptors ameliorates chronic allergic dermatitis via anti-pruritic and anti-inflammatory effects in Nc/Nga mice.
Allergy , 67 , 1014-1022  (2012)
原著論文5
14. Satou,N., Ishihara, K., Hiratsuka, M. et al.
Induction of thymic stromal lymphopoietin production by xylene and exacerbation of picryl chloride-induced allergic inflammation in mice.
Eur. J. Pharmacol. , 677 , 5-14  (2012)
原著論文6
16. Shimauchi T, Yagi H, Sasada K et al.
Characterization of malignant T-cell line established from a rare case of CD8+ CD56+ Sézary syndrome.
Br J Dermatol  (2012)
原著論文7
21. Kabashima-Kubo R, Nakamura M, Sakabe JI,et al.
A group of atopic dermatitis without IgE elevation or barrier impairment shows a high Th1 frequency: Possible immunological state of the intrinsic type.
J Dermatol Sci. , 67 , 37-43  (2012)

公開日・更新日

公開日
2018-05-22
更新日
-

収支報告書

文献番号
201229004Z