文献情報
文献番号
201226023A
報告書区分
総括
研究課題名
HIV検査相談の充実と利用機会の促進に関する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
H24-エイズ-一般-009
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
加藤 真吾(慶應義塾大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
- 今井 光信(田園調布大学 人間福祉学部)
- 長野 秀樹(北海道立衛生研究所)
- 貞升 健志(東京都健康安全研究センター)
- 川畑 拓也(大阪府立公衆衛生研究所)
- 上木 隆人(東京都南新宿検査・相談室)
- 日野 学(日本赤十字社血液事業部)
- 前田 憲昭(医療法人社団皓歯会)
- 玉城 英彦(北海道大学大学院)
- 坪井 宏仁(金沢大学 医薬保健研究域薬学系)
- 矢永 由里子(慶應義塾大学 医学部)
- 近藤 真規子(神奈川衛生研究所)
- 嶋 貴子(神奈川衛生研究所)
- 井戸田 一朗(しらかば診療所)
- 杉浦 亙(国立病院機構名古屋医療センター)
- 松岡 佐織(国立感染症研究所エイズ研究センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 エイズ対策研究
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
27,360,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
HIV検査相談体制を充実させ、その機会を活用することにより、HIV感染者の早期発見・早期治療と感染予防・まん延防止を図ることを目的に、(1) HIV検査相談をより受けやすくするための研究、(2) HIV検査相談に繋げるための働きかけに関する研究、(3) HIV検査技術の向上に関する研究の3課題について研究を行った。
研究方法
保健所等におけるHIV検査体制の実状を把握しその充実を計るため、全国の保健所と特設検査相談施設を対象にアンケート調査を実施した。
病院におけるHIV検査に関する実態を把握するため、全国の病院を対象としたアンケート調査をインターネットを介して実施した。
HIV郵送検査の現状を把握するため、郵送検査会社11社を対象に取扱状況や検査実施状況に関するアンケート調査を実施した。またスクリーニング陽性(郵送検査陽性)検体の再検査により、郵送検査の検査精度調査を行った。
世界の主要国における検査体制やHIV検査キットの承認状況について各国保健省のホームページを中心にインターネット上で得られる情報をもとに調査を行った。
保健所等のHIV検査相談施設やHIV検査に関する基礎知識などの最新情報を発信するため、ウェブサイト「HIV検査・相談マップ」の管理・運営を行った。
民間クリニックへの「即日検査」の導入支援を行うとともに、そこでの検査数・陽性数等の動向を調査した。
横浜市においてMSMに限定したHIV/STIs即日検査相談を実施し、OraQuickによる唾液検査の有用性を検討した。
MSMに対する定期的受検とコンドームによる予防啓発活動を行うため、カードツールを開発した。
相談担当者の人材育成を目的として、研修ガイドラインを活用した研修会を開催した。
全国の衛生研究所等におけるHIV-1検査担当技官および診療ブロック拠点病院の検査室技官を対象に、HIV薬剤耐性検査法に関する技術研修会を開催した。
地方衛生研究所でのNATの実施を可能とするため、当研究班で開発したHIV-1遺伝子検査法(KK-TaqMan)の普及と技術支援を行った。
病院におけるHIV検査に関する実態を把握するため、全国の病院を対象としたアンケート調査をインターネットを介して実施した。
HIV郵送検査の現状を把握するため、郵送検査会社11社を対象に取扱状況や検査実施状況に関するアンケート調査を実施した。またスクリーニング陽性(郵送検査陽性)検体の再検査により、郵送検査の検査精度調査を行った。
世界の主要国における検査体制やHIV検査キットの承認状況について各国保健省のホームページを中心にインターネット上で得られる情報をもとに調査を行った。
保健所等のHIV検査相談施設やHIV検査に関する基礎知識などの最新情報を発信するため、ウェブサイト「HIV検査・相談マップ」の管理・運営を行った。
民間クリニックへの「即日検査」の導入支援を行うとともに、そこでの検査数・陽性数等の動向を調査した。
横浜市においてMSMに限定したHIV/STIs即日検査相談を実施し、OraQuickによる唾液検査の有用性を検討した。
MSMに対する定期的受検とコンドームによる予防啓発活動を行うため、カードツールを開発した。
相談担当者の人材育成を目的として、研修ガイドラインを活用した研修会を開催した。
全国の衛生研究所等におけるHIV-1検査担当技官および診療ブロック拠点病院の検査室技官を対象に、HIV薬剤耐性検査法に関する技術研修会を開催した。
地方衛生研究所でのNATの実施を可能とするため、当研究班で開発したHIV-1遺伝子検査法(KK-TaqMan)の普及と技術支援を行った。
結果と考察
保健所でのHIV検査では、陽性例の94%が保健所等に再来所して結果を受け取っており、そのうちの68%はその後医療機関に受診していた。感染症法に基づく届出は62%が自施設から行われていた。即日検査を実施率は66%、夜間検査は36%、土日検査は13%であった。検査相談の実施形態に関してはほぼ定常状態に達していると思われる。
病院でのHIV抗体検査実施率は69.2%であった。年間のHIV検査数は肝炎ウイルスや梅毒の検査の約1/4の620万件と推定された。HIV検査の約3/4は術前スクリーニング、入院時スクリーニング、針刺し事故といった院内感染対策のための検査であった。各都道府県のHBs抗原検査数に対するHIV検査数の比率はHIV感染拡大率と有意な逆相関の関係があった。今後、病院における自発検査や感染疑い例の検査などをさらに拡大し、感染が診断された者に良質かつ適切な医療を提供する必要がある。
郵送検査の年間検査数は65,228件、スクリーニング検査陽性数は223例であった。検査結果が陽性だった場合、すべての検査会社が病院または保健所での検査を勧めていた。郵送検査の陽性的中率は84%であった。
自己検査キットが承認されていた国は米国のみで、(郵送検査用)検体自己採取キットが承認されていたのは米国と英国であった。先進国においては、より確実な検査をリスクのある人に着実に行おうとする傾向があった。自己検査はの導入は各国の状況に大きく依存すると思われる。
ウェブページ「HIV検査・相談マップ」にスマートフォンサイトを構築した。保健所等での受検者の約7割が当サイトから情報を入手していた。今後も、正確で最新のHIV検査情報を提供していくことが必要である。
民間クリニック32カ所での即日検査数での陽性数は93件、陽性率0.41%であった。陽性例の94%が確認検査結果を受け取りに来ており、そのうちの93%が医療機関でフォローされていた。HIVの早期発見・早期治療に民間クリニックでの即日検査の実施は非常に効果的であると考えられた
横浜市でのMSM限定HIV/STIs即日検査相談で、次回即日検査でOraQuickを選択すると答えた人は60%であった。
病院でのHIV抗体検査実施率は69.2%であった。年間のHIV検査数は肝炎ウイルスや梅毒の検査の約1/4の620万件と推定された。HIV検査の約3/4は術前スクリーニング、入院時スクリーニング、針刺し事故といった院内感染対策のための検査であった。各都道府県のHBs抗原検査数に対するHIV検査数の比率はHIV感染拡大率と有意な逆相関の関係があった。今後、病院における自発検査や感染疑い例の検査などをさらに拡大し、感染が診断された者に良質かつ適切な医療を提供する必要がある。
郵送検査の年間検査数は65,228件、スクリーニング検査陽性数は223例であった。検査結果が陽性だった場合、すべての検査会社が病院または保健所での検査を勧めていた。郵送検査の陽性的中率は84%であった。
自己検査キットが承認されていた国は米国のみで、(郵送検査用)検体自己採取キットが承認されていたのは米国と英国であった。先進国においては、より確実な検査をリスクのある人に着実に行おうとする傾向があった。自己検査はの導入は各国の状況に大きく依存すると思われる。
ウェブページ「HIV検査・相談マップ」にスマートフォンサイトを構築した。保健所等での受検者の約7割が当サイトから情報を入手していた。今後も、正確で最新のHIV検査情報を提供していくことが必要である。
民間クリニック32カ所での即日検査数での陽性数は93件、陽性率0.41%であった。陽性例の94%が確認検査結果を受け取りに来ており、そのうちの93%が医療機関でフォローされていた。HIVの早期発見・早期治療に民間クリニックでの即日検査の実施は非常に効果的であると考えられた
横浜市でのMSM限定HIV/STIs即日検査相談で、次回即日検査でOraQuickを選択すると答えた人は60%であった。
結論
HIV検査相談を充実させ、その利用機会の拡大を促進するため、保健所等、STIクリニック、病院、郵送検査などにおけるHIV検査の現状と問題点を明らかにするとともに、新たな取り組みを開始した。抗HIV治療が感染予防に有効であることが証明されたが、そのためにはまず検査を受けてもらうことが必須である。「エイズ/HIVのない世代」の実現を可能とする検査相談体制を構築するための研究に今後も邁進する。
公開日・更新日
公開日
2014-05-26
更新日
-