HIV-1感染・発症霊長類モデル研究:宿主内因性及び獲得免疫解析に基づく前臨床評価システムの最適化

文献情報

文献番号
201226011A
報告書区分
総括
研究課題名
HIV-1感染・発症霊長類モデル研究:宿主内因性及び獲得免疫解析に基づく前臨床評価システムの最適化
課題番号
H23-エイズ-一般-003
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
明里 宏文(京都大学 霊長類研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 足立 昭夫(徳島大学 大学院ヘルスバイオサイエンス研究部)
  • 高折 晃史(京都大学 医学研究科 )
  • 中山 英美(大阪大学 微生物病研究所)
  • 松岡 佐織(国立感染症研究所 エイズ研究センター )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 エイズ対策研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
16,800,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
当該研究課題では、サル類におけるHIV-1感染および病態発現の制御に寄与する宿主内因性及び獲得免疫の基礎的解析に基づき、慢性エイズを発症する病原性HIV-1感染霊長類モデルを確立し急性・慢性HIV-1感染霊長類モデルの前臨床評価システムとしての最適化を目指すものである。
研究方法
本研究チームで同定済みのHIV-1宿主域を規定する宿主内因性免疫因子に関して、その機能ドメインや作用機序解析を進めるとともに、関連ウイルス遺伝子(gag-CA, vif, vpu等)との相互作用を規定する領域の分子構造生物学的検討を進める。この結果を基に、サル末梢血Tリンパ球での増殖能が向上した改良型HIV-1mtを構築し、実験用サル類における増殖能および免疫応答を評価する。
結果と考察
今年度は、ワクチン開発・評価研究において重要となるR5指向性Envを持つHIV-1mtの作出、評価を重点課題として取り組んだ。まず、サル個体で高い増殖能と病原性を獲得したR5指向性SHIV-MK38株由来env領域を細胞内相同組換えにて置換したHIV-1mt MN38株を得た。HIV-1mt MN38はカニクイザルへの感染実験の結果、これまでのHIV-1mtクローン中で最も優れた増殖性を有することが示された。またこれと平行して、アカゲザル細胞での効率良いHIV-1増殖に寄与する遺伝子領域の解明とそれに基づく新規HIV-1mtの構築に成功した。
結論
重点的課題であるR5指向性HIV-1mtによるカニクイザル感染モデル確立に成功したことから、今年度の主たる目標は達成したと考えられる。今年度の研究成果を踏まえ、本研究課題期間内に病原性を伴う持続感染HIV-1mtクローン確立および実用的なHIV-1感染霊長類モデル開発を推進する。これらの成果は、前臨床評価システムとして実用的なHIV-1感染サルモデルの実現に向け大きな進展であると考えられた。

公開日・更新日

公開日
2014-05-26
更新日
-

研究報告書(PDF)

収支報告書

文献番号
201226011Z