パイエル板指向性分子を利用した経口ワクチンの開発

文献情報

文献番号
201225050A
報告書区分
総括
研究課題名
パイエル板指向性分子を利用した経口ワクチンの開発
課題番号
H23-新興-若手-024
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
渡利 彰浩(国立大学法人大阪大学 大学院薬学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 鈴木 亮(帝京大学 薬学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 新型インフルエンザ等新興・再興感染症研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
3,100,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
昨今の新型インフルエンザの世界的流行でも明らかなように、依然として感染症は人類に立ちはだかる大きな脅威であり、感染症によって毎年2000万人の命が失われている。患者の生活の質・有効性・安全性を考慮すると、非侵襲性投与が可能であること、多くの感染性病原体の侵入門戸(粘膜面)における防御網を構築できること、生体内に侵入した病原体の排除活性をも有することから、『経口ワクチン』が理想的な感染予防法であると言える。しかしながら、消化酵素による分解を回避しつつ腸管粘膜免疫組織に抗原を効率良く送達しなければならず、ここに経口ワクチン開発の難しさがある。以上の背景を踏まえ本研究では、腸管粘膜免疫組織パイエル板にclaudin-4(CL-4)が高発現していることに着目し、独自のCL-4 指向性分子を有効活用することで、初めてのパイエル板指向性経口ワクチンを開発することを目的とする。
研究方法
従来のC-CPEに比してCL-4結合性に優れたCL4高結合性C-CPE変異体を作製し、モデル抗原である卵白アルブミン(OVA)と融合することで、抗原特異的免疫賦活化作用および抗腫瘍活性を指標としたワクチン活性を解析した。また、CL4高結合性C-CPE変異体を修飾したリポソームの作製を行った。
結果と考察
平成23年度に作製したCL-4高結合性C-CPE変異体の抗原送達作用を検証するため、予備検討としてCL-4高結合性C-CPE変異体とモデル抗原である卵白アルブミン(OVA)を融合させた蛋白質を作製し、経鼻投与を行った結果、既存のC-CPEよりも高い免疫賦活化作用およびワクチン効果を有することを確認した。
  得られたCL-4高結合性C-CPE変異体を利用し、本変異体を修飾したCL-4高結合性C-CPE変異体修飾リポソームを複数作製した。本リポソームの中にはCL-4への結合能を有するものが存在していたため、CL-4発現細胞へ抗原送達が可能なC-CPE変異体修飾リポソームの取得に成功した。また、モデル抗原OVAを封入したC-CPE変異体修飾リポソームも作製し、CL-4への結合性を確認した。

結論
本研究では、取得したCL-4高結合性C-CPE変異体が、粘膜免疫組織へ優れた抗原送達能を有することを見出した。そこで、本CL-4高結合性C-CPE変異体を修飾したリポソームを作製し、パイエル板への送達活性等を検証することにより、経口ワクチン開発に資する抗原送達技術の開発を図る。

公開日・更新日

公開日
2013-06-06
更新日
-

研究報告書(PDF)

収支報告書

文献番号
201225050Z