インフルエンザワクチン需要予測に関する研究

文献情報

文献番号
201225020A
報告書区分
総括
研究課題名
インフルエンザワクチン需要予測に関する研究
課題番号
H22-新興-指定-020
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
三浦 宜彦(埼玉県立大学)
研究分担者(所属機関)
  • 延原 弘章(埼玉県立大学)
  • 渡辺 由美(高崎健康福祉大学)
  • 大日 康史(国立感染症研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 新型インフルエンザ等新興・再興感染症研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
5,860,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究はインフルエンザワクチンの需要量の推計方法を確立することを目的とする。
研究方法
1.医療機関等を対象とした接種状況調査
ワクチンの購入実績のある医療機関、老人保健施設および福祉施設(以下「医療機関等」)から都道府県を層として無作為抽出した医療機関等を対象に、ワクチン接種の状況および次シーズンの接種予測人数を調査し、その結果から次シーズンのワクチン需要予測を行ってきた。今年度においては、12年度~22年度までの調査結果を基に、都道府県を層とし、ワクチン使用本数を補助変数とする結合比推定(combined ratio estimate)による接種率の推定を行うと共に、これまでの需要予測の検証を行った。
2.住民を対象とした接種意向調査
調査会社とモニター契約を結んだ世帯を対象として調査を行い、実際の予防接種とConjoint Analysisを融合させたJoint Estimationでrandom effectを伴うProbitによってワクチンの需要予測を行ってきた。今年度においては、17年度から23年度に実施した需要予測の検証を行った。
結果と考察
1.医療機関等を対象とした接種状況調査
12年度においては、小児(13歳未満)12.4%、一般成人(13~65歳)3.9%、高齢者(65歳以上)17.1%、全年齢7.3%であったワクチン接種率が、22年度においてはそれぞれ59.2%、28.6%、58.5%、38.6%にまで上昇していたが、近年はほぼ横ばいの傾向が見られた。また、全年齢の接種率としては、全期間を通じて十分な精度を得ることができたが、小児においては16年度以降、高齢者については19年度以降、誤差がかなり大きくなっており、サンプルサイズの縮小が影響しているものと思われた。ワクチン需要予測の基礎となる接種者数の予測は、調査年度の実態を示しているに過ぎなかった。
2.住民を対象とした接種意向調査
Joint Estimationによる需要予測の結果は、若干の推定値のブレはあるもののおおむね安定していたが、需要予測のずれは6.1~19.6%で平均10.6%であった。
結論
ワクチンの需要量は、直近のインフルエンザを巡る情勢の影響を受けており、半年以上前に需要を予測することは困難であった。長期的な需要計画を考える上では、ワクチンの接種状況を、継続的かつ正確に把握することが必要であり、そのための体制整備が課題である。

公開日・更新日

公開日
2013-05-31
更新日
-

研究報告書(PDF)

文献情報

文献番号
201225020B
報告書区分
総合
研究課題名
インフルエンザワクチン需要予測に関する研究
課題番号
H22-新興-指定-020
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
三浦 宜彦(埼玉県立大学)
研究分担者(所属機関)
  • 延原 弘章(埼玉県立大学)
  • 渡辺 由美(高崎健康福祉大学)
  • 大日 康史(国立感染症研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 新型インフルエンザ等新興・再興感染症研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究はインフルエンザワクチンの需要量の推計方法を確立することを目的とする。
研究方法
これまで、医療機関等を対象とした調査(以下「医療機関調査」)および調査会社とモニター契約を結んだ世帯を対象とした調査(以下「住民意向調査」)の2種類の調査により、ワクチン接種の現況を把握すると共に、次シーズンのワクチン需要の予測を継続的に行ってきたが、本研究では両調査をさらに継続して実施し、最終年度においてはこれまでのデータをまとめて、新たに接種率の推定を行うと共に、需要予測の検証を行った。
1.医療機関調査
ワクチンの購入実績のある医療機関、老人保健施設および福祉施設(以下「医療機関等」)から都道府県を層として無作為抽出した医療機関等を対象に、ワクチン接種の状況および次シーズンの接種者予測人数を調査し、その結果から次シーズンのワクチン需要予測を行ってきた。本研究ではさらに継続して行い、12年度~22年度までの調査結果を基に、新たに、都道府県を層としワクチン使用本数を補助変数とする結合比推定(combined ratio estimate)により接種率の推定を行うと共に、これまでの需要予測の検証を行った。
2.住民意向調査
調査会社とモニター契約を結んだ世帯を対象として調査を行い、実際の予防接種とConjoint Analysisを融合させたJoint Estimationでrandom effectを伴うProbitによってワクチンの需要予測を行ってきた。本研究ではさらに継続して行い、17年度から23年度に実施した需要予測の検証を行った。
結果と考察
1.医療機関調査
(1)12年度においては、小児(13歳未満)12.4%、一般成人(13~65歳)3.9%、高齢者(65歳以上)17.1%、全年齢7.3%であったワクチン接種率が、22年度においてはそれぞれ59.2%、28.6%、58.5%、38.6%にまで上昇していた。
(2)23年度の調査は、東日本大震災の影響を考慮し、岩手県、宮城県、福島県を対象から除いたため、結合比推定による一連の分析対象からは除外したが、世代別の接種率は、小児55.4%、一般成人30.0%、高齢者56.4%、全年齢39.0%と推定された。
(3)全年齢の接種率としては、全期間を通じて十分な精度を得ることができたが、小児においては16年度以降、高齢者については19年度以降、誤差がかなり大きくなっていた。
(4)ワクチン需要予測の基礎となる接種者数の予測は、調査年度の実態を示しているに過ぎなかった。
2.住民意向調査
(1)Joint Estimationによる需要予測の結果は、若干の推定値のブレはあるもののおおむね安定していた。
(2)需要予測のずれは6.1~19.6%で平均10.6%であった。
結論
ワクチンの需要量は、直近のインフルエンザを巡る情勢の影響を受けており、半年以上前に需要を予測することは困難であった。長期的な需要計画を考える上では、ワクチンの接種状況を、継続的かつ正確に把握することが必要であり、そのための体制整備が課題である。

公開日・更新日

公開日
2013-05-31
更新日
-

研究報告書(PDF)

行政効果報告

文献番号
201225020C

成果

専門的・学術的観点からの成果
医療機関等を対象としたインフルエンザワクチン接種状況調査およびを住民に対する接種意向調査を実施し、わが国におけるインフルエンザワクチンの接種状況を世代別に明らかにするとともに、インフルエンザワクチンの需要予測を行った。その結果、ワクチン接種率は平成12年度以降大きく上昇し、23年度には小児と高齢者については50%台、一般成人でも30%程度に達しているものの、近年はほぼ横ばいであることが判明した。
臨床的観点からの成果
本研究は臨床研究ではないが、インフルエンザワクチンの接種状況や接種動向が明らかとなり、インフルエンザの予防に大きく貢献するものと考えられる。
ガイドライン等の開発
該当なし。
その他行政的観点からの成果
インフルエンザワクチン需要検討会におけるインフルエンザワクチン需要量の予測値は、本研究の結果に基づくものであり、約10年にわたり毎年継続的に利用されてきた。直近では、第14回インフルエンザワクチン需要検討会会議(平成23年7月29日開催)で、本研究の成果が資料Aとして使用された。また、約10シーズンにわたるインフルエンザワクチン接種率の推定結果は、今後のインフルエンザ対策において貴重な基礎資料となるものと考えられる。
その他のインパクト
「日経メディカルオンライン」からインタービューを受け、同誌のテーマサイト、「インフルエンザ診療Next:ワクチン新戦略」において、「埼玉県立大学学長の三浦宜彦氏に聞く 今冬シーズンのインフルエンザワクチン需要数は2836万から2851万本と推計(2012. 9. 10)」(http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/special/flu/vaccine/201209/526688.html)として、本研究結果が紹介された。

発表件数

原著論文(和文)
3件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
1件
日本公衆衛生雑誌61巻7号pp354-359に、これまでの研究結果をまとめて、2000年から2010年のインフルエンザワクチン接種率の推移について報告した。
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
6件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
延原弘章,渡辺由美,三浦宜彦
2009/10年シーズンにおけるインフルエンザワクチンの需要予測
健康福祉研究 , 7 (1) , 39-50  (2010)
原著論文2
延原弘章,渡辺由美,三浦宜彦
2010/11年シーズンにおけるインフルエンザワクチンの需要予測
健康福祉研究 , 7 (2) , 39-51  (2010)
原著論文3
延原弘章,渡辺由美,三浦宜彦
2011/12年シーズンにおけるインフルエンザワクチンの需要予測
日本保健福祉学会誌 , 19 (1) , 31-36  (2013)

公開日・更新日

公開日
2015-06-17
更新日
2015-06-30

収支報告書

文献番号
201225020Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
6,446,000円
(2)補助金確定額
6,446,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 2,002,997円
人件費・謝金 2,991,463円
旅費 144,840円
その他 720,700円
間接経費 586,000円
合計 6,446,000円

備考

備考
-

公開日・更新日

公開日
2015-06-17
更新日
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