文献情報
文献番号
201225004A
報告書区分
総括
研究課題名
インフルエンザワクチンの有効性と安全性の向上のための理論基盤構築
課題番号
H22-新興-一般-004
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
石井 健(独立行政法人医薬基盤研究所 創薬基盤研究部アジュバント開発プロジェクト)
研究分担者(所属機関)
- 庵原 俊昭(独立行政法人国立病院機構 三重病院)
- 中山 哲夫(北里生命科学研究所 臨床ウイルス学)
- 清野 宏(東京大学 医科学研究所)
- 長谷川 秀樹(国立感染症研究所 感染病理部)
- 迫田 義博(北海道大学 大学院獣医学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 新型インフルエンザ等新興・再興感染症研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
21,831,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究は、多岐にわたるインフルエンザワクチンの種類、投与方法、アジュバントによる免疫原性誘導のメカニズムの相違点や、副反応および副作用と呼ばれる現象の作用機序を解明することにより、より安全で有効性の高いインフルエンザワクチン開発に必須な生物学的、医学的理論基盤を構築することを目的とする。
研究方法
ワクチンの基礎研究、開発研究、臨床試験などに携わる中で上記の問題を共有し、議論を重ねた結果、インフルエンザワクチンにおいて臨床的にも重要と思われるが分子から個体レベルでの科学的根拠が特に乏しい研究項目として下記の5点を同定した。
1)ワクチン・アジュバントの有効性と安全性を定義する分子レベルでの理論基盤構築
2)注射型と粘膜型ワクチンの有効性、安全性における相違点の理論基盤構築
3)ウイルス株間の防御抗原の交差反応性と防御効果についての科学的根拠とその応用
4)ワクチン・アジュバントによる副反応と副作用の分子メカニズム解明と解決方法の模索
5)ワクチンの「真」の有用性をヒトの検体を用いた免疫学的方法で検討する臨床研究
本研究では、上記5課題を基礎、臨床研究、臨床医などにより形成された本研究班にて迅速かつ正確に解決を目指していく。また得られた知見や情報を、公開討論やワークショップなどを科学者、一般向けに開催して議論を深めるとともにインフルエンザワクチン開発に向けた最新情報をわかりやすく理解してもらうことを図る。
1)ワクチン・アジュバントの有効性と安全性を定義する分子レベルでの理論基盤構築
2)注射型と粘膜型ワクチンの有効性、安全性における相違点の理論基盤構築
3)ウイルス株間の防御抗原の交差反応性と防御効果についての科学的根拠とその応用
4)ワクチン・アジュバントによる副反応と副作用の分子メカニズム解明と解決方法の模索
5)ワクチンの「真」の有用性をヒトの検体を用いた免疫学的方法で検討する臨床研究
本研究では、上記5課題を基礎、臨床研究、臨床医などにより形成された本研究班にて迅速かつ正確に解決を目指していく。また得られた知見や情報を、公開討論やワークショップなどを科学者、一般向けに開催して議論を深めるとともにインフルエンザワクチン開発に向けた最新情報をわかりやすく理解してもらうことを図る。
結果と考察
(1)各種インフルエンザワクチンの免疫学的機序を生体レベルで証明し、ヒトでの現象との関連性を示した(Koyama S et al Sci Transl Med 2010)。
(2)インフルエンザワクチンにて最も汎用されているアラムアジュバントの作用機序の一端を解明した(Marichal T et al. Nature Medicine 2011, Kuroda E et al, Immunity 2011)。
(3)抗腫瘍効果を有する低分子化合物であるDMXAAがインフルエンザワクチンのアジュバントとして働く事を明らかとした (Tang CK et al. PLoS One 2013)。
(4)本研究内容の「議論を深め」、「啓蒙を図る」一環として、ワクチンフォーラム2010を開催し、本研究班主催のアジュバントワークショップにてアジュバント開発研究の新展開や審査行政への提言を行い、また本研究班を中心に「次世代アジュバント研究会」を発足させ、アカデミアのアジュバント研究者、企業の開発担当者、PMDAの審査担当者を招き相互の意見交換を行った。アジュバント研究のアウトリーチ活動も積極的に行い、研究室の一般公開、アジュバントに特化した専門書の発行、アジュバントに関する講演会などを行った。平成23年度のワクチン学会にて本研究内容を主としたシンポジウムも開催した。
(5) 今年度はこれまで非公開で行ってきた次世代アジュバント研究会を、一般に公開する形で開催した。その場で、今後インフルエンザワクチンのアジュバントとして期待される候補分子を報告した。
1) 関連する世界的な先端研究を推進している免疫学、ワクチン学、感染症学、小児科学専門家がマトリックス状に研究を展開するテーマを核として、他の厚労科研関連研究班や異分野の研究者とも積極的交流を図る。実際に現在バイオインフォマティクス分野と共同研究により、インフルエンザワクチンの安全性、有効性のバイオマーカー探索を行っている。その結果、次世代型インフルエンザワクチン開発研究者クラスターが形成され、安全性や有効性の確立した新たなワクチン研究のブレイクスルーと効率のよいワクチン開発が期待される。
2)本研究で得られた知見や知識を、公開討論やワークショップなどを科学者、一般向けに開催して議論を深めるとともに啓蒙を図る。その結果として国民に対し、インフルエンザワクチンによる国の感染対策を「基礎と臨床のエビデンス」に基づいた理論基盤に基づいて提供することが可能になると期待される。
(2)インフルエンザワクチンにて最も汎用されているアラムアジュバントの作用機序の一端を解明した(Marichal T et al. Nature Medicine 2011, Kuroda E et al, Immunity 2011)。
(3)抗腫瘍効果を有する低分子化合物であるDMXAAがインフルエンザワクチンのアジュバントとして働く事を明らかとした (Tang CK et al. PLoS One 2013)。
(4)本研究内容の「議論を深め」、「啓蒙を図る」一環として、ワクチンフォーラム2010を開催し、本研究班主催のアジュバントワークショップにてアジュバント開発研究の新展開や審査行政への提言を行い、また本研究班を中心に「次世代アジュバント研究会」を発足させ、アカデミアのアジュバント研究者、企業の開発担当者、PMDAの審査担当者を招き相互の意見交換を行った。アジュバント研究のアウトリーチ活動も積極的に行い、研究室の一般公開、アジュバントに特化した専門書の発行、アジュバントに関する講演会などを行った。平成23年度のワクチン学会にて本研究内容を主としたシンポジウムも開催した。
(5) 今年度はこれまで非公開で行ってきた次世代アジュバント研究会を、一般に公開する形で開催した。その場で、今後インフルエンザワクチンのアジュバントとして期待される候補分子を報告した。
1) 関連する世界的な先端研究を推進している免疫学、ワクチン学、感染症学、小児科学専門家がマトリックス状に研究を展開するテーマを核として、他の厚労科研関連研究班や異分野の研究者とも積極的交流を図る。実際に現在バイオインフォマティクス分野と共同研究により、インフルエンザワクチンの安全性、有効性のバイオマーカー探索を行っている。その結果、次世代型インフルエンザワクチン開発研究者クラスターが形成され、安全性や有効性の確立した新たなワクチン研究のブレイクスルーと効率のよいワクチン開発が期待される。
2)本研究で得られた知見や知識を、公開討論やワークショップなどを科学者、一般向けに開催して議論を深めるとともに啓蒙を図る。その結果として国民に対し、インフルエンザワクチンによる国の感染対策を「基礎と臨床のエビデンス」に基づいた理論基盤に基づいて提供することが可能になると期待される。
結論
平成22年度の中途にて分担研究者であり、インフルエンザワクチンの臨床研究で世界的な権威である神谷斎先生が急逝された。その後神谷先生の遺志を引き継ぐべく、平成23年度はより本研究班の発展にまい進した。平成24年度は最終年度という事もあり、一層インフルエンザワクチンのあり方に関して研究、議論を行って来た。それらの結果として、研究班のチームワークが実を結び、神谷先生の臨床研究から生まれた成果をVaccine誌に1本、論文を投稿することが出来たのがもっとも特筆すべき点である。また、Vaccine誌に2本インフルエンザワクチンの総説を投稿する事が出来た。上記に示すような多くの成果が各分担研究者のグループより出され、最終年度として研究に邁進出来たと考えられる。
公開日・更新日
公開日
2013-06-10
更新日
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