食品中ダイオキシン類実態調査

文献情報

文献番号
199800100A
報告書区分
総括
研究課題名
食品中ダイオキシン類実態調査
課題番号
-
研究年度
平成10(1998)年度
研究代表者(所属機関)
豊田 正武(国立医薬品食品衛生研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 飯田隆雄(福岡県保健環境研究所)
研究区分
厚生科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生科学特別研究事業
研究開始年度
平成10(1998)年度
研究終了予定年度
-
研究費
33,700,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
ダイオキシンの人への主な暴露経路の一つと考えられる食品について、平均的な食生活における食品からのダイオキシンの摂取量の経年変化を推計し、また個別の植物性食品中のダイオキシンの汚染実態調査を把握すること。
研究方法
保存試料を用いた経年変化に関する調査:昭和52年度(1977年度)から平成7年度(1995年度)に関西地区で採取・保存された5時点(平成10年度分を加えると6時点)のトータルダイエット試料について、ダイオキシンを分析し、平均的な食生活において食品から摂取されるダイオキシン量の経年変化について推計する。個別食品調査:個別食品として、穀類2種(もち米、小麦)、いも類1種(サトイモ)、豆類2種(大豆、小豆)、果実類2種(柿、バナナ)、野菜6種(ゴボウ、ナス、ピーマン、レタス、小松菜、ホウレン草)、海草類2種(昆布、ワカメ)、嗜好品1種(茶葉)について、それぞれ複数地区(一部品目を除く)で購入し、ダイオキシンの汚染状態を調査した。調査項目:ダイオキシン(ポリ塩化ジベンゾ‐パラ‐ジオキシン(PCDD)7種、ポリ塩化ジベンゾフラン(PCDF)10種及びコプラナーPCB(Co-PCB)12種)、ただしホウレン草、小松菜、海草以外の農産品については4種。
結果と考察
1977年度から1998年度までのトータルダイエット6試料(1977、1982、1988、1992、1995、1998年度)13食品群からの摂取量は、それぞれ409、267、281、104、115、136pgTEQ/dayである(ND=LOD/2の場合470、322、332、156、169、192pgTEQ/dayである)。体重(kg)当たりの1日摂取量に換算すると、それぞれ8.2、5.3、5.6、2.1、2.3、2.7pgTEQ/kgbw/dayとなる(ND=LOD/2の場合9.4、6.4、6.6、3.1、3.4、3.8pgTEQ/kgbw/dayとなる)。この結果ダイオキシンの1日摂取量は過去22年間で明らかに減少し、1998年度の総摂取量は1977年度の総摂取量の1/3(33%)に減少し、ダイオキシン類の摂取量は1/4(24%)となり、Co-PCBsの摂取量は2/5(41%)に減少している(ND=LOD/2の場合のダイオキシンの総摂取量も2/5(41%)に減少している)。
個別食品調査では、穀類野菜類等については、もち米が平均0.006pgTEQ/g(0.026pgTEQ/g)、輸入小麦が平均0.022pgTEQ/g(0.041pgTEQ/g)、サトイモが平均〈0.001pgTEQ/g(0.022pgTEQ/g)、輸入豆類(大豆、小豆)が平均0.004pgTEQ/g(0.032pgTEQ/g)、〈0.001~0.012pgTEQ/g(0.029~0.039pgTEQ/g)であった。野菜のゴボウ、ナス、ピーマン、レタス、ホウレン草及び小松菜では平均0.056pgTEQ/g(0.069pgTEQ/g)、〈0.001~0.362pgTEQ/g(0.022~0.363pgTEQ/g)であった。海草類では平均0.099pgTEQ/g(0.125pgTEQ/g)、〈0.001~0.631pgTEQ/g(0.029~0.659pgTEQ/g)、果実類では平均0.016pgTEQ/g(0.041pgTEQ/g)、〈0.001~0.043pgTEQ/g(0.029~0.060pgTEQ/g)、お茶が平均0.606pgTEQ/g(0.609pgTEQ/g)、0.158~0.856(0.166~0.857pgTEQ/g)であった。
結論
保存試料による経年変化調査の結果から、ダイオキシンの1日摂取量は過去22年間で明らかに減少し、1998年度の総摂取量は1977年度の総摂取量の1/3(33%)に減少し、ダイオキシン類の摂取量は1/4(24%)となり、Co-PCBsの摂取量は2/5(41%)に減少している。このことは、過去20年間に食事経由のダイオキシン暴露量が減少し、人体汚染レベルの低下に反映していることを強く示唆している。植物性食品のダイオキシン汚染実態についてはその種類が多いことから更に継続して調査する必要がある。

公開日・更新日

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