精神保健福祉士の活動評価及び介入方法の開発と普及に関する研究

文献情報

文献番号
201224087A
報告書区分
総括
研究課題名
精神保健福祉士の活動評価及び介入方法の開発と普及に関する研究
課題番号
H24-精神-一般-006
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
石川 到覚(大正大学 人間学部)
研究分担者(所属機関)
  • 住友 雄資(高知県立大学 社会福祉学部)
  • 伊東 秀幸(田園調布学園大学 人間福祉学部)
  • 中村 和彦(北星学園大学 社会福祉学部)
  • 金子  努(県立広島大学 保健福祉学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者対策総合研究
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
5,376,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の最終的な目標は、人生(ライフステージ)における精神保健福祉(メンタルへルス・ソーシャルワーク)の向上と推進を図るべき研究課題に応えることである。先ずは焦点化した研究課題の中核となる精神科医療と障害保健福祉サービス及び介護サービス等に加え、行政機関等における精神保健福祉士の活動評価及び介入方法の開発とともに、その普及のための研修プログラムづくりをめざすことにある。
研究方法
研究対象の精神保健福祉士が活躍する領域拡大に鑑み、研究組織の構成(精神科医療領域【医療班】、関係行政機関領域【行政班】、障害福祉サービス領域【障害班】、介護サービス領域【介護班】を以下、【 】に略す。)で編成する4研究分担班で編成した。わが国の精神保健医療福祉における精神保健福祉士の基礎的な現況を把握できていないという実態を踏まえ、量的調査を基本に置きながら進め、量的なエビデンスでは示せない質的な内容は、事例研究及び質的研究法等を中心に研究課題を解明する。
結果と考察
【医療班】は、全国の精神科医療機関における精神保健福祉士の勤務形態及び業務内容の実態を把握する基礎データを得るために、精神科医療機関の全国組織の協力により、精神科医療機関3,456カ所を対象に質問紙法の統計的調査を実施した。調査票は、基本情報を把握する「基礎調査票」「精神科外来調査票(A票)」「精神科訪問看護調査票(B票)」「精神療養病棟・精神一般病棟調査票(C票)」の4部構成で基礎調査票は、すべての精神科医療機関を対象とし、A・B・C各調査票は、各部門の精神保健福祉士に回答を求め、郵送配布で755か所の医療機関より回答(回答率:21.8%)があった。今年度の分析は、主に「基礎調査票」を中心に集計分析した。その結果、①精神保健福祉士の配置人数と1年以上入院患者の1年間の退院数との間に相関があり、精神保健福祉士の配置人数により、退院援助業務のエフォートの差が推察された。②「精神療養病棟」「精神一般病棟」「精神科外来」の精神保健福祉士の配置人数と1年以上入院患者の1年間の退院数との間に相関傾向があり、「精神療養病棟」と「精神一般病棟」に精神保健福祉士の配置により、長期入院者の退院援助等で退院促進が読み取れる。③「精神療養病棟」に専従の精神保健福祉士の配置群と非配置群とでは、平均在院日数に統計的な有意差がみられ、「精神療養病棟」と「精神一般病棟」に精神保健福祉士を配置することで、退院が促進され、平均在院日数の短縮化を促すことが期待される。【行政班】が実施した全国調査(調査A及び調査Bに区分)では、精神保健福祉担当部署(調査A)の都道府県29カ所と政令指定都市15カ所の計44カ所から回答(回収率:65.7%)があった。また、精神保健福祉センター(調査B)を設置する都道府県42カ所と政令指定都市15カ所の計57カ所から回答(回収率:82.6%)があった。その結果、都道府県・政令指定都市の担当部署及び精神保健福祉センターに精神保健福祉士の配置が少ない現況でも精神保健福祉センターにおける業務内容の拡大がみられ、精神保健福祉相談及び技術援助の比率が高くても、精神保健福祉士が配置されていない状況下にある。【障害班】は、研究協力者による調査を中心に現況の情報収集等を進め、現在、当該領域における制度改革の移行期であり、そのため調査エリアの北海道及び広島県に加えた再選定とともに、先進的な実践モデルを導き出せる調査枠組みも再検討した。【介護班】では、介護サービス等領域の聞き取り調査から介護支援等を担う専門職は、精神科医療との円滑な連携の必要性を感じつつも連携が図られない状況を確認し、円滑な連携のための条件等を明確にする調査票を再設計し、広島県及び石川県の量的調査と並行して地域包括支援センターに聞き取り調査を実施する。
結論
【医療班】は、①精神保健福祉士の配置人数により退院援助業務のエフォートに差が生じ、②「精神療養病棟」及び「精神一般病棟」に精神保健福祉士の配置で長期入院者の退院促進が期待され、③「精神療養病棟」及び「精神一般病棟」に精神保健福祉士の配置で退院が促進されて平均在院日数の短縮化が期待される点である。【行政班】は、都道府県・政令指定都市の担当部署及び精神保健福祉センターに精神保健福祉士の配置が少なく、今後の業務の拡大には、より専門性が求められる精神保健福祉士の配置を要する。【障害班】は、まさに関連法等制度の改変期であり、障害福祉サービス領域のみならず、精神科医療及び介護サービス領域との連携を要するため、それらの先進的な実践モデルの普遍化が研究課題となった。【介護班】は、精神障害者や認知症高齢者及び家族等も含めた支援の円滑な連携のためには必要となる条件等の解明が研究課題となった。 

公開日・更新日

公開日
2015-05-21
更新日
-

研究報告書(PDF)

収支報告書

文献番号
201224087Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
6,451,000円
(2)補助金確定額
6,451,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 727,738円
人件費・謝金 316,810円
旅費 2,082,269円
その他 2,249,261円
間接経費 1,075,000円
合計 6,451,078円

備考

備考
差額は、貯金利子78円である。

公開日・更新日

公開日
2015-06-03
更新日
-