自殺対策のための効果的な介入手法の普及に関する研究

文献情報

文献番号
201224086A
報告書区分
総括
研究課題名
自殺対策のための効果的な介入手法の普及に関する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
H24-精神-一般-005
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
山田 光彦(独立行政法人国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所精神薬理研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 平安 良雄(横浜市立大学附属市民総合医療センター病院)
  • 河西 千秋(横浜市立大学学術院 医学群臨床精神医学 )
  • 大野 裕(国立精神・神経医療研究センター認知行動療法センター)
  • 酒井 明夫(岩手医科大学神経精神科学講座)
  • 大塚 耕太郎(岩手医科大学神経精神科学講座)
  • 稲垣 正俊(国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所自殺予防総合対策センター)
  • 黒澤 美枝(岩手県精神保健福祉センター)
  • 米本 直裕(国立精神・神経医療研究センタートランスレーショナル・メディカルセンター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者対策総合研究
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
11,011,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
わが国では自殺者が毎年3万人を超えた状況が続いており、自殺率の減少に向けた取り組みが重要かつ緊急の課題となっている。そのため、エビデンスレベルを強く意識して厚生労働省が平成17年度より実施した「自殺対策のための戦略研究」の成果を、具体的な政策立案に資するものへと拡張し、研究成果を一般化し、全国に普及するための実施体制の検討を行うことは喫緊の課題となっている。
研究方法
①高度救命救急センターに搬送された自殺企図者の実態報告とケース・マネージメント介入の内容についての調査、②一般救急医療にケース・マネージメント介入体制を行うための実務的な課題と人材配置のための資格要件についての検討、③精神科救急受診者における若年層の位置づけ及び自殺関連行動で受診する者の実態調査、④救急医療施設を受診した自損・自傷患者を対象とした介入についてこれまでに報告された無作為化比較試験についてのシステマティックレビュー、⑤広域医療過疎地域における基幹病院と行政の連携による自殺未遂者への支援方法の検討、⑥ケース・マネージメント介入の窓口となる2次、3次の救急医療現場で活用できるフェイスシートについての検討を実施した。
結果と考察
①高度救命救急センターに搬送された自殺企図者の実態報告と自殺未遂者全例に対するケース・マネージメント介入の内容についての調査より、人間関係などの社会生活上の問題と、心の健康問題を背景に自殺企図に至っているケースが多く、理由が複数にわたる場合も少なからずみられた。そのため、複合的な問題に対処できるような、多職種が関与するような介入が望ましいと考えられた。②一般救急医療にケース・マネージメント介入体制を行うための実務的な課題と人材配置のための資格要件についての検討の結果、Good practiceの普及やACTION-Jにおけるケース・マネージメント介入の実地臨床への導入のためには、救急医療現場における専門職の専任配置、チーム医療を基本とした実務体制の構築、そしてケース・マネージメント介入の均霑化などの課題があること、そしてこれらの課題の解決のためには、例えば診療報酬の項目化や、ケース・マネージメントを行う専門職に対する特別な資格付与とその制度、そして資格更新制度の構築などが要諦となることが示された。③精神科救急を受診する若年者の実態調査より、自殺関連行動を呈する症例は、重症な精神症状と身体合併症がその背景として存在しており、重点的な治療が必要であることが示された。特に、適切な心理的介入をテーマに救急領域において教育的アプローチを行うことが必要と考えられた。④救急医療施設を受診した自損・自傷患者を対象とした介入についてこれまでに報告された無作為化比較試験についてのシステマティックレビューにより、介入法の分類、分類された介入法ごとの開発の根拠となった背景知見、対象者、介入のアドヒアランス、研究の質、アウトカムの種類についてエキスパートによる検討が必要であることが明らかとなった。また、介入ごとに効果に関してメタ解析を実施することとした。来年度は、本システマティックレビューの実施計画を研究登録データベースに登録し、システマティックレビューを実施する予定である。⑤広域医療過疎地域においても、本研究による、救急基幹病院、精神保健福祉センター、行政との連携に基づいた自殺未遂者への支援方法は実行可能であることが確認された。⑥今回作成されたフェイスシート案のフィージビリティを検討した際に得られたフィードバックを踏まえて、さらによりよいフェイスシートを継続して開発していく必要があることが明らかとなった。
結論
本研究の成果により、精神科との綿密な連携のない救急医療施設で実施可能なサービス提供のあり方を明らかにできるものと期待される。実際、地域自治体と救急医療施設が連携したモデルや、研究で用いた調査項目を利用した自殺未遂者の実態調査等の試みも既に始まっている。また、我が国の救急医療施設においてニーズの高い患者群に対する介入法の検討を行うことが可能となるものと期待される。一方、地域介入研究の成果を一般化することにより行政サービスの事業化に直結する成果が期待される。地域介入研究対照地域を含めた継続モニタリングを実施することにより、地域ネットワーク再生等について有益なデータを収集することと期待される。これらの成果は、国民の福祉の向上に直接的に寄与できる研究成果を生み出すものと期待できる。さらに、自殺対策に従事する人材育成や、研修や教育方法の開発の進展が期待される。

公開日・更新日

公開日
2015-05-21
更新日
-

研究報告書(PDF)

収支報告書

文献番号
201224086Z