医療観察法制度の鑑定入院と専門的医療の適正化と向上に関する研究

文献情報

文献番号
201224080A
報告書区分
総括
研究課題名
医療観察法制度の鑑定入院と専門的医療の適正化と向上に関する研究
課題番号
H23-精神-一般-012
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
五十嵐 禎人(千葉大学 社会精神保健教育研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 平田  豊明(千葉県精神科医療センター)
  • 松原  三郎(社会医療法人財団松原愛育会松原病院)
  • 菊池 安希子(独立行政法人国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所司法精神医学研究部)
  • 安藤 久美子(独立行政法人国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所司法精神医学研究部)
  • 岡田  幸之(独立行政法人国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所司法精神医学研究部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者対策総合研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
4,774,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
医療観察法(心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律)の鑑定入院制度とモニタリング体制について、その現状と問題点を把握し、これらの具体的な改善策を検討し、医療観察法制度の完成度を高めることを目的として研究を行った。
研究方法
①「鑑定入院制度のモニタリングに関する研究」、②「鑑定入院医療機関における医療の均てん化に関する研究」、③「鑑定入院における医療の適切性に関する研究」、④「指定入院医療機関モニタリング調査研究」、⑤「指定通院医療機関モニタリング調査研究」、⑥「医療観察法対象者のモニタリング体制の確立に関する研究」の6つの分担研究班をおいて研究を行った。
①②③では全国の鑑定入院医療機関を対象にアンケート調査を行い、鑑定入院の現状に関する分析を行った。また、③では、客観的な方法によって鑑定入院が適切に行われたかを精確に評価するための指標(鑑定入院のアウトカム指標)を明らかにするためにデルファイ法による研究を行った。
④では、平成23年7月時点に開設されていた全指定入院医療機関を対象に対象者のデータを収集し、分析した。⑤では、指定通院医療機関の協力によって全通院処遇対象者の約80%にあたると推定される993名のデータを収集し、分析を行った。⑥では、医療観察法の総合的なモニタリング調査を念頭に、どのような項目について調査をするべきかについて整理を行った。
なお、研究班全体の研究計画の検討や各分担研究の進行状況について、研究代表者、研究分担者、研究協力者間の情報交換や意見の調整のために、平成24年6月2日、平成24年12月8日に研究班会議を開催した。
結果と考察
「鑑定入院制度のモニタリングに関する研究」では、鑑定入院医療機関の施設概要および治療・処遇内容は、全体としては、定常状態にあること、しかし、一部の鑑定入院医療機関における医療の内容についてはさらなる均てん化が必要であることを明らかにした。「鑑定入院医療機関における医療の均てん化に関する研究」では、精神鑑定の質の向上を図るためには、各鑑定入院医療機関において鑑定会議が開催されることが望まれるが、さらに、拠点的な医療機関と連携を持ちながら、質の向上を図っていくことが必要であることを明らかにした。「鑑定入院における医療の適切性に関する研究」では、先行研究で作成された指針は、鑑定入院の質の向上に一定の成果を上げていること、作業療法士の関与、精神保健福祉士の役割、臨床心理技術者の心理検査実施以外の業務について、さらなる普及・啓発を行う必要があることを明らかにした。「指定入院医療機関モニタリング調査研究」では、入院処遇開始数の増加、女性比率の上昇、推計入院処遇期間が700日を超えて継続的な延長傾向を示していること、各年入院処遇開始者のうち約5%が5年以上入院処遇となる可能性が考えられることなどを明らかにした。「指定通院医療機関モニタリング調査研究」では、対象者の高齢化に伴い身体合併症や認知症などの併存疾患に関する問題が大きくなっていること、通院対象者の約半数が精神保健福祉法による入院治療を受けていること、一般精神科医療に移行された事例の8割以上が処遇終了後も同じ医療機関で治療が継続されていることなどを明らかにした。「医療観察法対象者のモニタリング体制の確立に関する研究」では、対象者の処遇審判申し立てから終了に至る過程においてどのような視点から、どのような項目について調査をすべきかについて、整理を行い、あるべきモニタリング調査研究の方向性を明らかにした。
結論
以上、医療観察法の鑑定入院制度とモニタリング研究に関して、その現状と問題点を明らかにし、その具体的な改善策について報告した。

公開日・更新日

公開日
2015-05-21
更新日
-

研究報告書(PDF)

収支報告書

文献番号
201224080Z