文献情報
文献番号
201224054A
報告書区分
総括
研究課題名
児童青年精神科領域における診断・治療の標準化に関する研究
課題番号
H22-精神-一般-004
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
齊藤 万比古(独立行政法人国立国際医療研究センター国府台病院 精神科部門診療部)
研究分担者(所属機関)
- 飯田順三(奈良県立医科大学医学部看護学科)
- 金生由紀子(東京大学医学部)
- 亀岡智美(ひょうご震災記念21世紀研究機構兵庫県こころのケアセンター)
- 齊藤卓弥(日本医科大学医学部)
- 新井卓(神奈川県立こども医療センター)
- 渡部京太(独立行政法人国立国際医療研究センター国府台病院精神科部門診療部)
- 桝屋二郎(法務省関東医療少年院)
- 岡田俊(名古屋大学医学部)
- 西村良二(福岡大学医学部)
- 小平雅基(独立行政法人国立国際医療研究センター国府台病院精神科部門診療部)
- 山崎透(静岡県立こども病院 こどもと家族のこころの診療センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者対策総合研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
5,600,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究は全国に均てん化すべき児童青年精神科診療機能を持つ地域中核病院での標準的な臨床活動及び機関間連携システムなどの地域活動の標準的指針(ガイドライン)を明らかにすることで,地域における当該医療の質の向上に寄与するとともに,新規に当該機能を設置しようとする自治体ならびに民間の動きの加速化に寄与することを目的とする。各分担研究者はこの目的に資する各分野の資料を収集するとともに,その根拠を明らかにする研究に取り組む。
研究方法
本研究は,研究代表者と研究分担者による12名の研究班体制で取り組む3年計画の研究である。最終年度にあたる本年度は各障害群(発達障害,チック障害・強迫性障害,心的外傷関連障害,うつ病・双極性障害,不登校・ひきこもり,統合失調症,外在化障害)の診断・評価と治療に関するエビデンスとわが国における当該医療の現状調査の検討を基盤とする,各障害群の診断・評価法と治療法の標準化をめざす指針案の作成,大学医学部および児童青年精神科専門医療機関による専門的医師の養成の実態を明らかにするとともに,その結果に基づき現実的にめざすべき養成システムとはなにかを明らかにする研究,さらに専門的医師の養成のための研修に指針を提供する医師用研修ガイド「児童青年精神科臨床研修ガイドブック」および「児童青年精神科看護ガイドライン」の作成,また児童青年精神科医療の一環として子どもの心の健康を支える地域における医療,福祉,保健,教育等の各機関の連携システムのあり方について明らかにする研究など、総括研究グループを含む4グループに研究者を分けて各々競い合いつつ研究に取り組んできた。なお研究にあたっては、関連法規等を遵守し、必要な研究では所属機関の倫理委員会での審査・承認を得て実施してきた。
結果と考察
本研究班の活動は新たな知見を発見するという目標とは異なり、わが国に普及させるべき児童青年精神科医療機関の機能をめぐる現状の把握と、今後当該医療機能を持つ機関の普及を図る際に、その機関が持つべき標準的な診療の水準を、エキスパート・コンセンサス等の方法で明らかにし、診療の標準化を目指す一歩とすることを目指した研究である。しかし、こうした研究過程で得られた研究成果のうち代表的なものを以下にあげる。
a.広汎性発達障害、注意欠陥多動性障害、チック障害、気分障害、統合失調症、摂食障害、睡眠障害の診療の標準的指針を目指す文献研究とエキスパート・コンセンサスに基づく論文を日本児童青年精神医学会誌の特集号に投稿し掲載される運びとなった。
b.子どもの虐待や災害経験を通じたPTSDに対する認知行動療法として米国で開発されたTF-CBT(Trauma-Focused Cognitive Behavior Therapy)のわが国への導入を目指した研究が進行し、保護者への説明リーフレットや実施プロトコールを作成した。
c.チック障害の心理教育に使用するブックレットを作成した。
d.子どものAt risk mental state(ARMS)、発達障害、チック障害、不安障害、素行障害、気分障害に関する研究を前進させた。
e.厚生労働省思春期精神保健研修事業の研修会で講師を務めた専門家を中心とする執筆者による「児童青年精神科臨床研修ガイドブック」を作成し、日本精神神経学会教育に関する委員会小児精神医療作業部会により検討し、同学会より刊行されることになった。
a.広汎性発達障害、注意欠陥多動性障害、チック障害、気分障害、統合失調症、摂食障害、睡眠障害の診療の標準的指針を目指す文献研究とエキスパート・コンセンサスに基づく論文を日本児童青年精神医学会誌の特集号に投稿し掲載される運びとなった。
b.子どもの虐待や災害経験を通じたPTSDに対する認知行動療法として米国で開発されたTF-CBT(Trauma-Focused Cognitive Behavior Therapy)のわが国への導入を目指した研究が進行し、保護者への説明リーフレットや実施プロトコールを作成した。
c.チック障害の心理教育に使用するブックレットを作成した。
d.子どものAt risk mental state(ARMS)、発達障害、チック障害、不安障害、素行障害、気分障害に関する研究を前進させた。
e.厚生労働省思春期精神保健研修事業の研修会で講師を務めた専門家を中心とする執筆者による「児童青年精神科臨床研修ガイドブック」を作成し、日本精神神経学会教育に関する委員会小児精神医療作業部会により検討し、同学会より刊行されることになった。
結論
本研究が目指す全国に設置されるべき児童思春期精神科の包括的医療システムとその機能の基準を示す「児童青年精神科医療の標準化と普及を目指して」と称するガイドライン案の作成のために,分担研究および総括研究は各々活発に取り組んできた。今年度は,分担研究者は各研究活動をそれぞれまとめ,成果を発表するとともに,共同でガイドラインおよび複数のガイドブックを公表する目途をつけた。
公開日・更新日
公開日
2015-05-21
更新日
-