新しい日米科学技術に関する研究 (実験動物(霊長類)科学)

文献情報

文献番号
199800091A
報告書区分
総括
研究課題名
新しい日米科学技術に関する研究 (実験動物(霊長類)科学)
課題番号
-
研究年度
平成10(1998)年度
研究代表者(所属機関)
山田 章雄(国立感染症研究所、筑波医学実験用霊長類センター)
研究分担者(所属機関)
  • 向井繚三郎
  • 寺尾恵治(国立感染症研究所、筑波医学実験用霊長類センター)
研究区分
厚生科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生科学特別研究事業
研究開始年度
平成9(1997)年度
研究終了予定年度
平成10(1998)年度
研究費
2,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
国立感染症研究所筑波医学実験用霊長類センターでは、人工繁殖カニクイザルを用い、これまでに感染症の制圧、代謝疾患や老人病モデル、脳機能に関する研究等に貢献してきた。昨今の科学技術の進展により、遺伝子治療、DNAワクチンなど、新しい予防治療法の実用化も現実的なものとなってきている。こういった状況に対応するため、第一には特定の病原体、特にサルレトロウイルスに汚染されていない、所謂、SPFサルの開発を、第二には「遺伝子治療の評価系」をとりあげ、米国の数カ所の霊長類研究施設に研究者を派遣し、日米科学技術検討と情報交換および共同研究に基づいて、骨髄幹細胞を標的とした遺伝子導入実験に関し、今後の協力体制を確立することを目的とした。
研究方法
1) ウエスタンブロット法による抗SRV/D抗体の検出は、SRV-1、-2、-5の標準3株の精製ウイルス粒子抗原を用い、H. Towbin の原著に従った。2) PCR法によるSRV/Dつくば株遺伝子の検出に関しては、2x105 個の末梢血リンパ球のDNAを用い、SRV-1-2、-3の gag領域をnested PCRで増幅した。3) SPFコロニーサルの診断法の検討とSRV/Dフリーコロニーの構築案の作成に関しては、米国3ケ所の研究所におけるサル血中抗体の診断法の検討と情報交換に基づき行った。4)カニクイザルでの骨髄移植法の開発に関し、骨髄穿刺法とアフェレーシス法を検討した。5)カニクイザルのCD34陽性骨髄幹細胞を識別するヒトモノクローナル抗体の選別は抗体により分取されたCD34陽性細胞のコロニーアッセイ培養に供し確認した。6)カニクイザル脳主要部位のcDNAライブラリー作成は定法に従った。
結果と考察
SRV/Dつくば株の遺伝子はgag 遺伝子gag 遺伝子検出系を用いたPCR法で検出できたので昨年度のenvと合わせて遺伝子配列を決定しているところである。ウエスタンブロット法による抗SRV/Dつくば抗体の検出をSRV-1、-2、-5の標準3株抗原を用いて行った結果、SRV5と最も強く反応したのでSRV/Dつくば株はSRV4株である可能性と、全く新しいタイプの株であることが予想された。カニクイザルでの骨髄移植法の開発に関し、骨髄穿刺法およびアフェレーシス法の2種類の方法を確立した。カニクイザルのCD34陽性骨髄幹細胞を識別するヒトモノクローナル抗体に関しClone 561抗体を選別した。カニクイザル脳主要部位のcDNAに関し前頭葉、側頭葉、小脳のcDNAライブラリーを構築した。
結論
SRV/Dつくば株の遺伝子解析とつくば株に対する抗体の解析により、希なタイプの株であることが示唆された。SPFコロニーサルの診断法はヘルペス系のウイルスはELISA法、レトロウイルスにおいてはウエスタンブロット法とPCR法によるウイルス遺伝子検出により、SRV/Dのいないコロニーが作製出来ると思われる。カニクイザルでの骨髄CD34陽性細胞濃縮法及び移植法を確立し、骨髄を用いた遺伝子治療の基礎技術を確立した。また、カニクイザル脳主要部位のcDNAライブラリーを構築し、高次脳機能傷害の霊長類モデル開発のための基礎研究が行われた。

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