文献情報
文献番号
201224018A
報告書区分
総括
研究課題名
支援機器の臨床評価の在り方に関する研究
課題番号
H23-身体・知的-一般-008
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
加藤 誠志(国立障害者リハビリテーションセンター 研究所)
研究分担者(所属機関)
- 諏訪 基(国立障害者リハビリテーションセンター 研究所 )
- 中山 剛(国立障害者リハビリテーションセンター 研究所 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者対策総合研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
3,092,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
支援機器の実証試験に関する指針が現行の「臨床研究に関する倫理指針」に明示的には規定されていないために、倫理審査において適用すべき項目に関して混乱が見受けられる。この問題を解決し、支援機器の実証試験の倫理面の体制強化とともに、科学面の評価にも耐える実証試験を理工系研究者にも可能とすることが本研究の目的である。今年度の目標は、支援機器に関する倫理審査の現状調査を引き続き実施することと、最終目標である支援機器用の「倫理指針とマニュアル」を作成するのに必要な要件を明らかにするために、各種情報を収集し分析することである。
研究方法
(1) 支援機器に関する倫理審査の現状と問題点を明らかにする目的で、理学療法士、作業療法士、義肢装具士養成のための大学・大学院および専門学校に対し郵送によるアンケート調査(総送付数422通)を行った。(2) 支援機器の実証試験に関する倫理審査の指針上の位置づけについて、「臨床研究に関する倫理指針」の詳細な検討を行った。(3) アメリカ、カナダ、オーストラリア、デンマークの各国についてそれぞれの国の倫理指針の比較を行った。(4) 昨年度作成した「支援機器の実証試験の倫理指針暫定案」をベースに倫理審査を試行し、暫定案の見直しを継続した。(5) 支援機器に適切な研究デザインの類型化を行い、実証試験マニュアルの研究デザインの骨格を構築した。
結果と考察
(1) 医療福祉専門職の養成校に対してアンケート調査を行った結果、回収されたアンケートの総数は147通で、回収率は34.8%であった。倫理審査委員会が設置されている養成校は47%であり、その設置累計数は2002年では6件、2007年では32件、2012年度では59件と年次で右肩上がりに推移していることがわかった。(2) 支援機器の実証試験に対して「臨床研究に関する倫理指針」を適用すべきかどうかについては、現行の指針上だけでは確定することができないことがわかり、支援機器特有の問題に対応する新たな指針を策定する必要性が明らかになった。(3) 諸外国における指針の位置づけについて比較検討を行い、各国における倫理審査のあり方の相違、支援機器に対する立場の相違を明らかにした。審査上の問題としては、審査不要の要件と迅速審査に関する規定、認知症などの制限能力者の認定の問題についてについて指針に明記する必要性が明らかになった。(4) 平成24年度における倫理審査試行の結果、「支援機器の実証試験に関する倫理指針暫定案」並びにそれに基づいて試作した倫理審査申請の際に用いる様式並びにマニュアルの問題点を明らかにすることができた。(5) より具体的に適切な研究デザインの選択に資するため、支援機器に応じて適切な研究デザインの類型化を行い、これらの成果に基づき支援機器開発における研究倫理マニュアルの研究デザイン部の骨格を策定できた。
結論
医療福祉専門職の養成校における倫理審査委員会の設置率や活動状況は、昨年度調査した理工系大学・大学院とほぼ同じである事がわかった。これらの養成校においても、約半数で支援機器の臨床評価を実施しており、支援機器の実証試験に対する倫理指針やガイドラインへのニーズが大きいことがわかった。「支援機器の実証試験に関する倫理指針暫定案」と倫理審査申請の際に用いる様式並びにマニュアルの作成、諸外国における倫理指針の国際比較、支援機器開発における研究倫理マニュアルの研究デザイン部の骨格策定などを通して、最終目標である支援機器の実証試験に関する倫理指針およびマニュアル作成に必要な要件を明らかにすることが出来た。来年度、これらの成果に基づき指針とマニュアルを完成させることにする。
公開日・更新日
公開日
2013-06-04
更新日
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