利用者のニーズに基づく補装具費支給制度の改善策に関する調査研究

文献情報

文献番号
201224013A
報告書区分
総括
研究課題名
利用者のニーズに基づく補装具費支給制度の改善策に関する調査研究
課題番号
H23-身体・知的-一般-001
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
相川 孝訓(国立障害者リハビリテーションセンター 研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 井上 剛伸(国立障害者リハビリテーションセンター 研究所)
  • 廣瀬 秀行(国立障害者リハビリテーションセンター 研究所)
  • 我澤 賢之(国立障害者リハビリテーションセンター 研究所)
  • 山崎 伸也(国立障害者リハビリテーションセンター 研究所)
  • 樫本 修(宮城県リハビリテーション支援センター)
  • 筒井 澄栄(国立障害者リハビリテーションセンター 研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者対策総合研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
3,608,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、利用者のニーズに基づき、補装具費支給制度の課題の抽出を行うとともに、改善策に関する提案を作成することを目的とする。研究目標としては、 義肢・装具の利用者のニーズの把握、義肢・装具・座位保持装置の完成用部品の支給実数の把握、補装具費支給制度の課題抽出、安全性に関する制度改善についての提案の作成、価格に関する制度改善の提案の作成の5つが設定され、これらの結果から補装具費支給制度の全体設計についての提案を作成する。
研究方法
研究目標達成のために、平成24年度は前年度の研究結果を踏まえて、幾つかの分担研究を重点的に実施する。利用者のニーズの把握では、問題点の解決策についての提言を行う。支給実数の把握では、地域差、処方の傾向などについて詳細に分析する。制度改善については、指定申請を行った業者に対して要望に関するアンケート調査を行う。安全性に関する提案の作成では、全国の更生相談所80カ所を対象にして車椅子の破損、機能不全に関する実態調査を実施して課題を抽出する。価格に関する提案では平成23年度の製作費用、収益などの調査結果について詳細な分析を行い提案を作成する。
結果と考察
各分担研究毎に記載する。完成用部品についての支給実数の把握では、昨年度に実施した調査結果についてさらに分析し、義手、義足、座位保持装置について処方件数や価格などの判定内容の地域差、完成用部品処方の傾向を分析した。都市判定型、広域判定型間の違い、地区ブロック(東北北海道、関東甲信越、中部、中国四国、九州)間の違いについて検討した。補装具費支給制度の課題抽出のためには平成24年度の完成用部品指定申請を行った業者に対して電子メールによるアンケート調査を実施した。指定申請の様式や手続き上の問題点などについての意見から改善案を検討した。更生相談所での座位保持装置及び車椅子の破損及び機能不全調査では全国80カ所の更生相談所に対してアンケート調査を実施した。61カ所の更生相談所から回答が得られ、49カ所の更生相談所から842件の事例が得られた。再支給が91%と多かった。価格に関する課題抽出では、昨年度に実施した、製作費用、収益などの調査について、採算性の分析、制度で想定されている基本工作法に基づく作業工程の確認のため、たたき台用の資料を作成した。また義肢等製作費用にかかる付随費用調査を実施した。最終的に昨年度に得られた義肢・装具の利用者のニーズを基に、さらに他の分担研究の結果も含めて、全体のまとめを検討した。その結果「補装具活用支援体制の考想」および「補装具適合・支援ネットワークの構築」が提言としてまとめられた。
結論
各分担研究において有用な結果が得られ、2年間で目標はほぼ達成された。各分担研究の結果を総合して補装具費支給制度の改善案について「補装具活用支援体制の考想」および「補装具適合・支援ネットワークの構築」が一つの方向性として得られ、提言としてまとめられた。

公開日・更新日

公開日
2013-06-04
更新日
-

研究報告書(PDF)

文献情報

文献番号
201224013B
報告書区分
総合
研究課題名
利用者のニーズに基づく補装具費支給制度の改善策に関する調査研究
課題番号
H23-身体・知的-一般-001
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
相川 孝訓(国立障害者リハビリテーションセンター 研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 井上 剛伸(国立障害者リハビリテーションセンター 研究所)
  • 廣瀬 秀行(国立障害者リハビリテーションセンター 研究所)
  • 我澤 賢之(国立障害者リハビリテーションセンター 研究所)
  • 山崎 伸也(国立障害者リハビリテーションセンター 研究所)
  • 樫本 修(宮城県リハビリテーション支援センター)
  • 筒井 澄栄(国立障害者リハビリテーションセンター 研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者対策総合研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、利用者のニーズに基づき、補装具費支給制度の課題の抽出を行うとともに、改善策に関する提案を作成することを目的とする。研究目標としては、 義肢・装具の利用者のニーズの把握、義肢・装具・座位保持装置の完成用部品の支給実数の把握、補装具費支給制度の課題抽出、安全性に関する制度改善についての提案の作成、価格に関する制度改善の提案の作成の5つが設定され、これらの結果から補装具費支給制度の全体設計についての提案を作成する。
研究方法
各分担研究毎に記載する。義肢・装具利用者のニーズ把握では、下肢切断者のQOL調査結果、当事者家族の意見・要望、中間ユーザーの義肢装具士、理学療法士、社会福祉士へのアンケート調査結果からの分析結果をまとめる。完成用部品の支給実数の把握では、全国の更生相談所の義肢・装具・座位保持装置の完成用部品の1年間の支給実数や価格についての調査を実施し、支給実態を把握する。また、地域差、処方の傾向などについて詳細に分析する。補装具費支給制度では補装具完成用部品指定申請に関する要望や意見を集約して課題を抽出して制度改善策を提案する。さらに、指定申請を行った業者に対して要望に関するアンケート調査を行う。安全性に関する制度改善提案作成では、安全性の基礎データとなる破損情報に関して調査・分析を行う。また、全国の更生相談所80カ所を対象にして車椅子の破損、機能不全に関する実態調査を実施して課題を抽出する。価格に関する制度改善提案作成では、義肢・装具・座位保持装置製作業者を対象に、人件費、労働時間、収支、素材の単価、所要正味作業時間などについてアンケート調査を実施する。さらに製作費用、収益などの調査結果について詳細な分析を行い提案を作成する。以上の結果を基に、補装具費支給制度の全体設計についての提案を作成する。
結果と考察
各分担研究毎に記載する。義肢・装具の利用者のニーズ把握では、下肢切断者、利用者の家族、中間ユーザーの立場からの意見を内容分析の手法を用いて集約を行った。その結果、下肢切断者は給付される義足の性能やアフターフォローに関する要望が多かった。家族からは給付品に関するものと制度運用や判定方法に関する要望が多かった。中間ユーザーは判定や制度運用に関する要望が多かった。完成用部品の支給実数の把握では、全国の更生相談所79カ所に対して、平成22年度の義手、義足、座位保持装置の新規判定事例について調査を実施し、75カ所(回収率94.9%)から回答が得られた。1年間で義手219件、義足1693件、座位保持装置1516件が新規に処方されていた。この支給実数の調査結果について、義手、義足、座位保持装置について処方件数や価格などの判定内容の地域差、完成用部品処方の傾向を分析した。また補装具完成用部品指定申請に関する要望や意見を集約するために、東京と大阪の2カ所に会場を設定して補装具完成用部品指定申請に関する要望意見集約会を開催した。過去4年間に指定申請経験のある業者33社にメールなどで案内を送付し、合計22社の参加を得た。さらに平成24年度の完成用部品指定申請を行った業者に対して電子メールによるアンケート調査を実施した。安全性に関する制度改善提案作成では、修理費データに関して分析を行った。また更生相談所での座位保持装置及び車椅子の破損及び機能不全調査では全国80カ所の更生相談所に対してアンケート調査を実施した。61カ所の更生相談所から回答が得られ、49カ所の更生相談所から842件の事例が得られた。再支給が91%と多かった。価格に関する制度改善については、義肢・装具・座位保持装置製作業者を対象に、人件費、労働時間、収支などについては402社へ、素材の単価、所要正味作業時間については30社にアンケートを実施した。製作費用が増加しているなどの結果が得られた。さらに、製作費用、収益などの調査について、採算性の分析、制度で想定されている基本工作法に基づく作業工程の確認のためのたたき台のための資料作りや付随費用調査を実施した。最終的に義肢・装具の利用者のニーズ分析を基に、他の分担研究の結果も含めて、全体のまとめを検討した。その結果「補装具活用支援体制の考想」および「補装具適合・支援ネットワークの構築」が提言としてまとめられた。
結論
各分担研究において有用な結果が得られ、2年間で目標はほぼ達成された。各分担研究の結果を総合して補装具費支給制度の改善案について「補装具活用支援体制の考想」および「補装具適合・支援ネットワークの構築」が一つの方向性として得られ、提言としてまとめられた。

公開日・更新日

公開日
2013-06-04
更新日
-

研究報告書(PDF)

行政効果報告

文献番号
201224013C

成果

専門的・学術的観点からの成果
更生相談所における完成用部品の1年間の支給実数の把握から、義手、義足、座位保持装置の使用部品の処方件数、高頻度処方品目の特徴、機能などについて分析し、実態が判明した。また、地域差、処方の傾向等も判明した。また、別の調査から車椅子、座位保持装置の再支給、機能不全に関する調査結果が得られた。さらに、補装具費支給制度における補装具費の適切な価格設定のための根拠に関して、製作費用や収支についての調査を実施して、現状を把握することができた。
臨床的観点からの成果
現行の補装具給付制度における要望や課題について、下肢切断者・利用者の家族・中間ユーザの立場からの意見集約を行った。その結果、立場により、異なる意見が得られた。また、アンケート調査として、全国の更生相談所に対して完成用部品の支給実数調査と車椅子及び座位保持装置の修理・再支給に関する調査を実施して、実情を把握することができた。
ガイドライン等の開発
補装具費支給制度に関する検討から「補装具活用支援体制の考想」および「補装具適合・判定支援ネットワークの構築」の提言をまとめた。関係機関の連携を柱とした適切な補装具給付を実現するシステムと全国レベルでの拠点の設置とネットワーク構築によりデータベースの構築や情報共有、人材育成、政策提案を行うシステムの提案が提示された。今後、具体化に向けたさらなる取り組みを進める予定である。
その他行政的観点からの成果
補装具完成用部品の指定申請において、申請書類の書式や申請システムなどに関して、本研究の成果の一部を利用して見直し作業を進めており、本研究成果の一部は既に行政にフィードバックされている。スムーズな申請業務遂行のため本研究成果が活かされている。
その他のインパクト
今まで、殆ど得られたことのないデータとして、補装具の指定申請に実際に使用されている完成用部品名が明らかにされた。具体的な部品名が明らかにされたことで、補装具費支給制度に対して具体的な個々の使用部品等の分析から適正な制度の見直しが可能になる。また、車椅子及び座位保持装置の機能不全実態調査結果から修理、再支給のデータが得られ、同様に補装具費支給制度の見直しに関して有用なデータとして使用できる。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
2件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
5件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2017-06-06
更新日
-

収支報告書

文献番号
201224013Z