文献情報
文献番号
201223008A
報告書区分
総括
研究課題名
特定健康診査による個人リスク評価に基づく、保健指導と連結した効果的な慢性腎臓病(CKD)地域医療連携システムの制度設計
課題番号
H24-難治等(腎)-一般-006
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
渡辺 毅(福島県立医科大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
- 井関 邦敏(琉球大学 医学部)
- 鶴屋 和彦(九州大学大学院 医学研究院 )
- 山縣 邦弘(筑波大学 医学医療系)
- 守山 敏樹(大阪大学 保健センター)
- 木村 健二郎(聖マリアンナ医科大学 医学部)
- 成田 一衛(新潟大学大学院 医歯薬総合研究科)
- 藤元 昭一(宮崎大学 医学部)
- 今田 恒夫(山形大学 医学部)
- 近藤 正英(筑波大学 医学医療系)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等克服研究(腎疾患対策研究)
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
19,850,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
慢性腎臓病(CKD)対策は、健診でのCKDの早期発見、保健指導による一次予防、かかりつけ医と腎臓専門医への適切な受診勧奨および医療連携が有機的に連動する必要がある。本研究は、①特定健診によるエビデンスに基づく個人リスクの定量的評価法の確立と、テーラーメードな健診・保健指導プログラム、受診勧奨基準の設定、②新しいCKD重症度分類に対応したかかりつけ医から腎臓専門医への紹介・逆紹介基準の作成、③作成された基準による医療連携のアウトカムおよび費用対効果の検討を行い、全国統一的な特定健診の特色を活かした汎用性があり、科学的、効率的、経済的に許容可能なCKD医療連携システムを確立することを目的とする。
研究方法
(1)先行研究(平成20-22年度厚生労働科学研究費補助金(循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究事業)「今後の特定健康診査・保健指導における慢性腎臓病(CKD)の位置付けに関する検討」の特定健診コホート群の規模と観察期間を拡大し、横断的・縦断的観察を継続する。
(2)CKD進行・心血管イベント・死亡のアウトカムを抽出し、健診データと突合することにより、個人リスクの定量的評価法を確立する。それに基づき、①健診・保健指導要綱及び医療連携での受診基準の作成 ②個人の危険度別の保健指導・医療連携プログラムの提言と検証 ③かかりつけ医と腎臓専門医への受診勧奨、紹介・逆紹介基準の作成を行う。
(3)本邦の先行疫学研究データ(FROM-J, CKD-JAC等)と上記(1)、(2)の成果をモデルに組み込んだ医療経済解析を行う。
(2)CKD進行・心血管イベント・死亡のアウトカムを抽出し、健診データと突合することにより、個人リスクの定量的評価法を確立する。それに基づき、①健診・保健指導要綱及び医療連携での受診基準の作成 ②個人の危険度別の保健指導・医療連携プログラムの提言と検証 ③かかりつけ医と腎臓専門医への受診勧奨、紹介・逆紹介基準の作成を行う。
(3)本邦の先行疫学研究データ(FROM-J, CKD-JAC等)と上記(1)、(2)の成果をモデルに組み込んだ医療経済解析を行う。
結果と考察
先行研究のコホートの規模を拡大し、24都道府県から平成20年度から23年度までの延べ約160万件余のデータ(匿名化ID付与)を得て、経年的個人突合データを含む解析用データセットを作成した。さらに、アウトカム抽出のために人口動態調査の死亡個票データの供与を受け、特定健診受診者データとの突合作業を開始した。
定量的リスク評価に基づく受診勧奨、紹介・逆紹介基準の作成、保健指導・医療連携プログラムの提言と検証にむけた要因解析を進め、特定健診における「脂質代謝異常とCKDの関連」、「CKDと血圧コントロールの関連」、「CKDの高リスク群としての脈圧高値とprediabetesの関連」、「肝機能異常と蛋白尿の関連」を解析した。さらに「地域における慢性腎臓病(CKD)の包括的評価に関する研究」、「血清クレアチニンを測定しない場合のCKD見逃し率の推定」、「特定健康診査による慢性腎臓病早期発見早期治療の財源影響に関する研究」を実施した。(分担研究報告書参照)
諸リスクについての、さらに多方面からの横断的・縦断的要因解析が進行中であり、今後、個人リスクの定量的評価法、健診・保健指導プログラムや医療連携の制度案の作成、医療経済的解析に必要な多くのパラメータが得られるものと考えられる。死亡以外のアウトカム(透析導入や心血管イベント)の把握については、関連学会等で保有する統計情報の利活用が今後可能かどうかの検討を進めている。
定量的リスク評価に基づく受診勧奨、紹介・逆紹介基準の作成、保健指導・医療連携プログラムの提言と検証にむけた要因解析を進め、特定健診における「脂質代謝異常とCKDの関連」、「CKDと血圧コントロールの関連」、「CKDの高リスク群としての脈圧高値とprediabetesの関連」、「肝機能異常と蛋白尿の関連」を解析した。さらに「地域における慢性腎臓病(CKD)の包括的評価に関する研究」、「血清クレアチニンを測定しない場合のCKD見逃し率の推定」、「特定健康診査による慢性腎臓病早期発見早期治療の財源影響に関する研究」を実施した。(分担研究報告書参照)
諸リスクについての、さらに多方面からの横断的・縦断的要因解析が進行中であり、今後、個人リスクの定量的評価法、健診・保健指導プログラムや医療連携の制度案の作成、医療経済的解析に必要な多くのパラメータが得られるものと考えられる。死亡以外のアウトカム(透析導入や心血管イベント)の把握については、関連学会等で保有する統計情報の利活用が今後可能かどうかの検討を進めている。
結論
研究事業初年度の活動として、先行研究から引き続きCKD関連リスクの要因解析や、医療経済学的解析を継続し、新たに個人リスク評価、健診・保健指導プログラム設定及び医療連携システム作成に必要なパラメータとなりうる健診データの縦断的解析を進めた。並行して、個人の死亡リスクの定量的評価のため人口動態調査死亡個票のデータを入手し、特定健診受診者データとの突合作業も開始した。
公開日・更新日
公開日
2013-05-31
更新日
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