入浴関連事故の実態把握及び予防対策に関する研究

文献情報

文献番号
201222065A
報告書区分
総括
研究課題名
入浴関連事故の実態把握及び予防対策に関する研究
課題番号
H24-循環器等(生習)-指定-022
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
堀 進悟(慶應義塾大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 鈴木 昌(慶應義塾大学 医学部)
  • 福永 龍繁(東京都観察医務院)
  • 新保 卓郎(国立国際医療研究センター医療情報解析研究部)
  • 川平 和美(鹿児島大学大学院リハビリテーション医学分野)
  • 猪熊 茂子(日本赤十字社医療センター アレルギー・リウマチ科)
  • 宮田 昌明(鹿児島大学大学院循環器・呼吸器・代謝内科学分野)
  • 佐藤 文子(東海大学法医学教室・東京都監察医務院(非常勤監察医)
  • 山崎 健太郎(山形大学法医学講座)
  • 神田 芳郎(久留米大学法医学・人類遺伝学講座)
  • 伊香賀 俊治(慶應義塾大学理工学部システムデザイン工学科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
5,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
日本法医学会、日本温泉気候物理医学会、および日本救急医学会の三学会が、入浴関連事故の実態に関して調査研究を行い、原因を究明し、予防対策を立案する(2年連続研究の初年度報告)。
研究方法
日本法医学会: 平成20年から22年の3年間に「浴室内で発見され法医解剖(司法解剖、行政解剖、承諾解剖)が行われた事例あるいは死体検案のみの事例」について、日本法医学会会員(全89賛助機関)にインターネット入力によるアンケート調査を実施した。平成24年12月15日から25年3月15日までの調査期間に、44機関から1441事例の回答を得た。
日本温泉気候物理医学会: 学会員を対象に、2002年 10月1日以降の入浴関連事故について、2013年3月31日を締め切り日とする事故調査を行った。調査項目は対象者の身体特性、入浴事故の種類、事故の発生日時・場所、事故発生時の救急搬送依頼の有無、飲酒の有無、既往歴、事故の転機などとした。
日本救急医学: 2012年10月から2013年3月までの6か月にわたって、東京都、山形県、および佐賀県の各消防機関、および救急告示病院に協力依頼を行い、入浴に関連した救急要請事案の全例調査(アンケート)を行った。
結果と考察
日本法医学会: 平成25年3月15日までに1441事例の回答。冬季(12~2月)が42.4%。71歳以上が58.5%。直接死因は、「溺死・溺水」886例(61.5%)。病死561例、不慮の外因死500例、不詳の外因104例、自殺24例、不詳246例。病死の理由は、「明らかな死因となる疾病の所見」が280例、不慮の外因死の理由は「溺水の所見」が285例、「明らかな死因となる疾病の所見を認めない」が166例。「不詳」の理由は、「明らかな死因を認めないため」が62例と最多であったが、「溺水を認めたが浴槽内溺死は基本的に死因不詳」を35例認めた。
日本温泉気候物理医学会: 事故種類は意識障害(13.2%)、死亡(11.0%)、水没(14.4%)、転倒(10.9%)が約半数。推定診断は溺水(14.0%)、心障害(11.5%)、脳障害(9.0%)の他に、「その他」(55.1%)が最も多い。心障害・溺水に死亡が多く、死亡の70%以上を占めた(p <0.001)。「救急搬送」と「転機」に関連があった(p <0.001)。意識障害、水没、死亡事故は10~3月に集中。
日本救急医学会: 2013年5月1日現在、4か月間の集計が終了した東京都(稲城市を除く)と山形県のデータを解析。事案は2,630件(65歳以上10万人あたり100件)、344件(107件)。救急隊到着時の心肺停止は889件(34%)と86件(25%)、浴槽内発生で外傷以外は1570件(60%)と170件(49%)、このうち心肺停止は818件(心肺停止の92%)、80件(93%)。65歳以上10万人あたりの月別浴槽内発生心肺停止は、気温低下と関係。浴槽の湯は心肺停止群で「深い」。
結論
 3学会のアンケート調査の途中経過が報告され、対象に少なからぬ数の心肺停止、あるいは死亡が含まれていることが示され、入浴事故が生命危機であることがいずれも調査でも明らかとなった。その機序に関しては、今後(次年度)の検討が必要である。

公開日・更新日

公開日
2013-08-21
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2014-03-30
更新日
-

収支報告書

文献番号
201222065Z