住民のソーシャル・キャピタルの涵養を通じた効果的・効率的な歯と口の健康づくりプログラムの開発と効果の検証

文献情報

文献番号
201222051A
報告書区分
総括
研究課題名
住民のソーシャル・キャピタルの涵養を通じた効果的・効率的な歯と口の健康づくりプログラムの開発と効果の検証
課題番号
H24-循環器等(生習)-一般-007
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
山本 龍生(神奈川歯科大学 歯学部)
研究分担者(所属機関)
  • 平田 幸夫(神奈川歯科大学 歯学部)
  • 近藤 克則(日本福祉大学 社会福祉学部)
  • 相田 潤(東北大学 大学院歯学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
7,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
国民の口腔の健康状態が全体としては改善しているものの地域差があり,厚生労働行政上の課題となっている。地域差解消には住民への健康サービスの提供者である市区町村の役割が重要であるが,自治体に歯科専門職がいるとは限らず歯科保健事業の実態は不明である。そこで本研究の目的を,全国の市区町村における歯科保健事業の実態を把握することとした。さらに,近年注目されているソーシャル・キャピタルと歯科保健との関係を検討した。
研究方法
研究1:全国の市区町村の歯科保健担当者宛に自記式の調査票を郵送し,郵送により回答を得た(回収率:48.3%)。
研究2:JAGES(日本老年学的評価研究)プロジェクト参加25自治体(188小学校区)の要介護認定を受けていない65歳以上のうち19歯以下の者(男:19,609名,女:22,634名)を対象に,ソーシャル・キャピタルについて,男女別に,義歯・ブリッジの使用を目的変数,その他の社会経済要因等の変数を説明変数としてすべて投入し,個人,小学校区および自治体の3レベルのマルチレベルポアソン回帰分析を行った。
結果と考察
研究1:常勤の歯科専門職がいない自治体が6割以上であった。健康日本21の歯の健康の目標値における2000~2010年の変化は,改善した自治体から悪化した自治体まで様々であった。これらの自治体間の差の原因究明と対策立案が急がれる。
歯科保健事業の予算金額は自治体間で大きな差があり,予算がない所もあった。予算金額は母子に比べて成人・高齢者の歯科保健事業では少なかった。成人対象の歯科保健事業の実績も自治体間で大きな差があった。成人対象の歯科保健事業の内容は歯周病が多かった。歯科保健事業の連携先は歯科医師会が最も多く,企業は少なかった。これらの結果から,成人住民に対する歯科保健事業の実績は自治体間で大きな差があり,対象者が多く属する企業との連携が少なく,いかに企業(職域)との連携を図るかが課題として浮かび上がった。
成人に対する歯科保健事業のなかで効果がみられたと回答したのは約4割の自治体であった。しかし,有病率が減少したと回答した自治体の事業内容の多くがエビデンスレベルの低い健診(歯周疾患検診)であった。事業の評価を学術論文として送付してきたのは1自治体であった。これらの結果から,成人に対する根拠に基づき効果の認められる歯科保健事業の事例が少なく,早急に調査・研究を進展させる必要性が示唆された。
研究2:義歯・ブリッジの使用は男性において趣味関係のグループへの参加(構造的ソーシャル・キャピタル)と有意な関連がみられたが,男女ともに個人の所得との関連が強いことが明らかになった。今後,ソーシャル・キャピタルと他の歯科保健指標との関連を検討する必要がある。
結論
全国の市区町村における歯科保健事業の実態把握を目的に調査したところ,事業実施の実績に関して自治体間で差がみられた。また,効果がみられた成人対象の歯科保健事業があったと回答した自治体が4割あったが,科学的根拠に関する検討が必要であり,効果的な事業の事例が少なく,調査・研究を進展させる必要が示唆された。
近年注目されているソーシャル・キャピタルと歯科保健との関係を検討したところ,義歯・ブリッジの使用は男性において趣味関係のグループへの参加(構造的ソーシャル・キャピタル)と有意な関連がみられたが,男女ともに個人の所得との関連が強いことが明らかになった。

公開日・更新日

公開日
2013-05-28
更新日
-

研究報告書(PDF)

収支報告書

文献番号
201222051Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
7,700,000円
(2)補助金確定額
7,700,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 3,002,832円
人件費・謝金 885,080円
旅費 496,490円
その他 2,615,598円
間接経費 700,000円
合計 7,700,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2015-10-13
更新日
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