日本人の健康・栄養状態のモニタリングを目的とした国民健康・栄養調査のあり方に関する研究

文献情報

文献番号
201222049A
報告書区分
総括
研究課題名
日本人の健康・栄養状態のモニタリングを目的とした国民健康・栄養調査のあり方に関する研究
課題番号
H24-循環器等(生習)-一般-005
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
西 信雄(独立行政法人国立健康・栄養研究所 国際産学連携センター)
研究分担者(所属機関)
  • 佐々木 敏(東京大学大学院 医学系研究科 公共健康医学専攻)
  • 横山 徹爾(国立保健医療科学院 生涯健康研究部)
  • 三浦 克之(滋賀医科大学 社会医学講座 公衆衛生学部門)
  • 中村 雅一(国立循環器病研究センター 予防健診部 CDC/CRMLN脂質基準分析室)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
8,800,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
国民健康・栄養調査は日本人の健康・栄養状態のモニタリングのために重要であり、その結果は健康日本21の最終評価や健康日本21(第二次)の策定等に活用されている。本研究は、健康増進法にもとづいて国民健康・栄養調査の集計を担当する独立行政法人国立健康・栄養研究所が中心となり、国民健康・栄養調査のあり方を実践的な応用研究により検討することを目的としている。初年度の平成24年度は、健康日本21(第二次)のベースラインデータを得る目的で国民健康・栄養調査が例年の3倍の規模で実施されることとなったため、調査の計画、実施を含めて総合的に精度管理を検討し、実践的な応用研究により国民健康・栄養調査のあり方を検討することを目的とした。
研究方法
初年度の平成24年度は、国民健康・栄養調査が例年の3倍の規模で実施されることとなったため、栄養摂取状況調査の手法の標準化ならびに調査票およびデータ処理の標準化の研究を実施した。また、国民健康・栄養調査の過去のデータを利用して、精度管理、標準化に関する研究を実施した。
結果と考察
栄養摂取状況調査については調査員の講習の標準化を行うとともに、調査実施後の処理において栄養調査結果のレビュー手法を構築、実践した。また調査票とデータの処理においては、QRコードやスキャナー等を用いた処理システムを開発、運用し、調査票処理の標準化を飛躍的に進めることができた。
過去の調査データを利用することにより、以下の研究を実施した。主要な結果を示す。
①身体状況調査の自己申告値の妥当性
腹囲を家庭で計測(自己申告)した者は、調査員が計測した者より腹囲が有意に小さかった。
②血圧管理の精度管理
収縮期血圧、拡張期血圧とも末端数字が「0」に偏るterminal digit preferenceを認めた。
③歩行数の測定法および集計法
 歩数計を終日装着していた者は、そうでない者より歩数が平均で1,100~1,500歩多かった。
④血液化学検査の精度管理
3レベル(Acceptable、Borderline、Unacceptable)の判定基準からなる総合誤差のモニタリング・システムに基づき2011年の成績を判別したところ、Unacceptableと判定された項目は無かった。
⑤血圧に関する集計結果表
報告書における集計対象の妊婦除外と服薬者除外の扱いについて一貫性がみられなかった。
⑥年齢調整による年次推移の検討
高齢化や年齢別の協力率の違いのため20歳以上など総数の平均値の年次推移には注意が必要である。
⑦習慣的摂取量の分布推定の検討
習慣的摂取量の分布推定については統計学的検討を行い、改良した方法を提案した。また、対象集団での1日間の食事調査データと、参照集団での複数日調査から得られた個人内分散/個人間分散比を用いることにより、対象集団での習慣的摂取量の分布を推定できる可能性が示された。
結論
平成24年国民健康・栄養調査において、栄養摂取状況調査の手法の標準化と調査票およびデータ処理の標準化の研究を実施した。精度管理においては、過去の調査データを利用して身体状況調査の自己申告値、血圧の測定結果、装着状況別の歩行数、血液化学検査の総合誤差を検討し、標準化の重要性を指摘した。さらに、血圧の集計結果表と年齢調整による年次推移の検討を行い、結果報告の標準化が必要であることも指摘した。習慣的摂取量の分布推定については統計学的検討を行い、改良した方法を提案した。平成25年度は栄養摂取状況調査や身体状況調査について実証的調査を実施し、精度管理や標準化のあり方をさらに検討することとしている。

公開日・更新日

公開日
2013-08-21
更新日
-

研究報告書(PDF)

収支報告書

文献番号
201222049Z