たばこ対策の評価及び推進に関する研究

文献情報

文献番号
201222041A
報告書区分
総括
研究課題名
たばこ対策の評価及び推進に関する研究
課題番号
H23-循環器等(生習)-一般-013
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
望月 友美子(独立行政法人国立がん研究センター がん対策情報センターたばこ政策研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 片野田 耕太(独立行政法人国立がん研究センター がん対策情報センターがん統計研究部)
  • 中村 正和(大阪がん循環器病予防センター予防推進部)
  • 細野 助博(中央大学大学院公共政策学)
  • 尾崎 米厚(鳥取大学医学部環境予防医学分野)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
5,400,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
たばこ対策の評価及び推進のためには、評価軸の設定が必要である。様々な政策主体のうち、国及び地方公共団体という政策立案・実行者としての行政セクターのみならず、科学的根拠に基づいた政策形成の礎を担う科学研究セクター、政策の実行者と監視者で、かつたばこ問題の直接的な当事者(喫煙者として、またその家族として)である市民セクター、また、首長や議会という政治セクターも当然のことながら、展望に入れなければならない。たばこ問題については、たばこ産業という公衆衛生政策とは利害を異にする強大なセクターの存在が、通常の健康問題とはかけ離れて、公衆衛生のために効果のある政策の実現に影響を及ぼしている。これらのセクター間の相互作用によって、国や社会における「喫煙」という目に見える選択結果が規定されるので、本研究では、それぞれのセクター内での評価枠組みの設定及び相互作用を想定した場合の、将来的なたばこ政策像をブループリントとして描出することを目的とした。
研究方法
たばこ規制枠組条約という、国際的な行動規範が策定され、日本はその締約国として条約履行の義務を負っているが、これまでは、たばこ産業を擁する財務省寄りの政策主導から、今後は、財務省も含め、国民の公衆衛生の側に舵が切られ、各省庁及び各地方公共団体が歩みを早めている。評価の対象として、アウトカム指標をとらえるのか、プロセス指標をとらえるのか、で評価方法は異なるが、この研究班としては、自治体のたばこ対策については両者を取り入れ、喫煙率把握においてはアウトカムという位置づけを行っている。さらに、ユニークな点は、これまで科学研究セクターの政策貢献については評価されてこなかったところ、データベース化により、研究領域を可視化し、政策とのリンケージをマッピングできるシステムを構築した。また、たばこ産業の政策干渉を明らかにするために、たばこ産業による研究助成の実態を明らかにするとともに、条約で定められた政策干渉を回避する方策の検討を始めた。
結果と考察
これまでのたばこ政策の遂行にあたり、たばこ産業の中でも特に上流に位置するたばこ耕作者の抵抗あるいは配慮が懸念されてきたところであるが、実態としては、小売店とともに過去10年で半減しており、転作補助の仕組みも用意されているところから、政策構図としては、条約の前後で激変していることが予想される。一方、一般市民がたばこに対して持つイメージや規範意識がどのように変化しているのか、リスク認知も含めて、詳細に調査することは、政策の支持母体としての市民セクター側の分析として重要であり、かつ、たばこ産業がどのように影響を及ぼしているかも明らかにする必要がある。
結論
今後は、国全体あるいは地方における「たばこエピデミック」としての諸様相を明らかにし、どの要素を強めることが推進要因になるのか、どの要素が本当の抵抗要因なのかを分析して、ブループリントの形成に役立てる予定である。

公開日・更新日

公開日
2013-07-25
更新日
-

研究報告書(PDF)

収支報告書

文献番号
201222041Z